▼経済産業省が警鐘を鳴らしている日本経済の現状をみると、今後10年の間に70歳を迎える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人に上り、うち約半数の127万人(国内の中小企業全体の約3割)が後継者未定だと分析しています。現状を放置すれば、廃業する中小企業が急増し2025年までに650万人の雇用が失われ、GDPで22兆円失われる可能性を挙げています
▼こんな状況を受けて、中小企業の事業承継を後押しするべく、事業承継の際の贈与税・相続税の負担軽減をする「事業承継税制」を平成2018年度の税制改正で拡充しました。これは今後5年以内に承継計画を提出し、10年以内に実際に承継を行う者を支援する制度です
▼愛知同友会でも、金融委員会の中で昨年から研究会を結成して外部の専門家も交えて学習会を開催してきました。今年度はこの活動を県内の全会員に向けて推し進めるための組織を作りました
▼私たちは、企業づくりを学び地域を発展させることを運動の軸のひとつにしてきました。従って、単に改正された制度に便乗するのではなく、自社を魅力ある会社に育てることが同友会の考える企業づくりであり、そうすれば会社は自ずと事業承継されていきます。経営指針の毎年の改定に際して、会社の承継を無理にでは無く、次の世代へとバトンタッチすることが最も自然な事業承継といえます。会員の皆さんもまずは企業づくりの活動から取り組み、その上で改正された税制の特徴やメリットを学び、成功する事業承継を共に推し進めていきましょう。
副代表理事 青木 義彦