あるべき姿から考える
~ZEB・ZEHから始まる脱炭素社会
未来を見据えた経営
愛知同友会の外郭団体「愛知県中小企業研究財団」の周年の集い(以下、集い)が、26名の参加で開催されました。
28回目となる今回の集いでは、まず「10年先を見据え今行うべきは~バックキャスティング経営・建築業編」として加藤昌之氏(加藤設計)が報告しました。加藤氏は、あるべき未来の潮流から、環境建築をいち早く取り入れ、競争力が飛躍的に上がっているといいます。「安全・健康・快適・省エネ」に向かう建築業界の未来を予測し、エネルギーシフトを軸に、同友会で学んだ有限資源節約型経済と環境保全型社会を確立する試みが紹介されました。
エネルギーを生む建築
次に「ZEB・ZEH(※)から始まる脱炭素社会~エネルギーを消費する建築から生み出す建築へ」をテーマに井内尚樹氏(名城大学教授)の講演が行われました。
井内氏からは、ドイツの経済戦略から、(1)中小企業の横断的連携の場づくり、(2)フォアキャストとバックキャストの突き合わせ、(3)漏れバケツ理論から自らの経営を見直す、(4)開発から販売までの中小企業の研究機関の創設、(5)新しいビジネスモデルの構築が提言されました。
また共有経済モデルの例として、再生可能エネルギーの使用拡大、エネルギーを自給する建物の建築、エネルギー貯蔵媒体としての水素の使用を指摘しました。
※ZEBはゼロエネルギービル、ZEHはゼロエネルギーハウスの略称
中長期課題を検討
愛知同友会では中小企業の課題研究を行う会員有志の集まり「愛知県中小企業研究財団」を1993年に発足。EU視察による中小企業憲章の必要性の発信など、同友会運動に関わる中長期課題の検討に取り組んできました。とりわけこの間は、「中小企業憲章の国際展開」「10年後の愛知県の課題」の研究グループを設け、研究者の協力のもと、中小企業家自身が自らの手で研究に取り組んでいます。