調査・研究・提言

各政党・政治団体への愛知同友会からの質問状に対する回答(2019年7月参議院選挙)

愛知同友会の加藤明彦会長名で各政党(政党要件を満たし、かつ愛知県内に県連等の本部機能を持つ政党)に対して公開質問状を提出し、以下の回答をいただきました。

  1. 明らかな誤植については、修正の上掲載しています。
  2. 質問については各400字以内でお願いしました。到着順に上段より掲載しています。
  3. 愛知維新の会、社会民主党愛知県連合からは、残念ながら期限までに回答を頂くことはできませんでした。ご了承ください。

質問趣旨

世界経済の明らかな減速が始まったなか、日本経済の状況にも変化が生じています。愛知県経済を支える中小企業の現場では、原材料や燃料価格の上昇、内需の低迷、人手不足など、厳しい状況が続いています。全国的に地域経済の多くが危機的状況に立たされているなか、その根幹を支える中小企業の直面する困難は、国民経済の落ち込みと疲弊に直結し、国力の減退に拍車をかけることになります。

このようななかで、地域の雇用を守り安定させ、疲弊している地域経済を再生させるには、事業所数の99%、雇用の70%を占める地域の中小企業、さらには、その大部分を占める小規模事業者へ、より実効性ある政策展開を進めることが必要です。

当会は日本経済における中小企業の役割を正当に評価し、豊かな国づくりに向けた諸政策の柱に中小企業を位置付けることを謳った「中小企業憲章」の制定、各自治体での「中小企業振興基本条例」の制定を提案するとともに、この間直面している社会の閉そく感打開のためには、これらの具体的実行を求めています。

以上の趣旨を踏まえ、以下のご質問をさせていただきます。ご回答をいただけますよう、お願い申し上げます。

質問事項と事項別回答PDF

質問事項タイトルをクリックすると、その質問への各党の回答(PDF)が表示されます。

(1)消費税率引き上げに関して、中小企業への支援策についてお聞かせ下さい。

2019年10月に消費税の引き上げが予定されています。中小企業にとって消費税の引き上げは、価格転嫁や賃金の見直し、あるいは仕入価格の一層の上昇をともなうもので、経営上極めて影響の大きなものです。さらに今回は軽減税率、インボイス制度の導入も予定され、中小企業への負担は一層大きいと想定します。折しも、世界経済の減速と国内景気の状況変化が生じるなか、当会としては今回の消費税の引き上げは凍結し、かつ中小企業に事務負担が傾斜的に重くなる軽減税率、インボイス制度の導入の白紙化が、中小企業経営の見地からは妥当であると考えております。貴党のお考えをお聞かせ下さい。

(2)中小企業の円滑な事業承継を実現するために、現在進められている取り組み以外で貴党がお考えの具体的方策をお聞かせ下さい。

日本の企業数は長期低落傾向にありますが、近年は事業承継を円滑に行うことが困難なことを背景に、中小企業の大廃業時代が近い将来訪れることが危惧されています。

こうした状況の回避に向け、この間さまざまな新しい取り組みが進められていることを歓迎する一方、事業継続に最大の力点を置き、例えば株式は額面での承継、法人の資産・剰余等による「承継贈与(相続)」については、課税の猶予期間を設け、10年から15年の事業継続で免除するなど、もう一歩踏み込んだ大胆な仕組みづくりを進めることも必要と考えられます。現在の取り組み以外で、中小企業の円滑な事業承継を実現するために、貴党が考えられる具体的方策をお聞かせ下さい。

(3)中小企業の健全な発展に「働き方改革」をつなげる具体的方策をお聞かせ下さい。

2019年4月より「働き方改革関連法」が施行されました。この間悪化をたどってきた長時間労働による過労被害などを考えれば、前向きに評価できる点もあります。しかし長時間労働が前提とされてきた日本の雇用慣行や商慣行のなかで、上位にある企業が、より下位の企業に対して煩雑な実務や、低付加価値の仕事を移管する事例なども聞き及びます。

こうしたなかで、十分な人手確保が難しいなかでの労働時間の短縮、単価引上げが極めて困難ななかでの生産性向上など、矛盾に直面する中小企業も数多くあります。こうした状況を踏まえ、中小企業の健全な発展に「働き方改革」をつなげる具体的方策について貴党のお考えをお聞かせ下さい。

(4)中小企業の発展と、最低賃金引き上げを両立させる具体的政策対応をお聞かせ下さい。

政府は「経済財政運営の基本方針(骨太の方針)」で、最低賃金を現状の水準から大幅に引上げ、早期に全国平均の最低賃金1000円を実現する目標を明記する方向にあると聞き及びます。最低賃金が引き上げられることは、国民の消費購買力の向上、内需拡大、経済の活性化の点からも歓迎すべきことと理解しています。しかし中小企業の経営現場では、上がらない単価、容易でないコスト上昇分の価格転嫁の矛盾に直面しながらも、この間の深刻な人手不足状況のなかで賃上げに最大限の経営努力をすでに重ね、なかには実力以上の賃上げに踏み切る企業も出始めています。

景気の先行きが不透明さを増すなかで、中小企業が自律的に賃上げを行うことができる環境整備を進める政策展開なしに、最低賃金引き上げを急激に進めることは、中小企業をさらなる困難に陥らせる可能性が極めて高いと言わざるを得ません。中小企業の発展とより豊かな国民生活を実現するための最低賃金引き上げを両立させる具体的方策について、貴党のお考えをお聞かせ下さい。

(5)「中小企業憲章」の国会決議、ならびに「中小企業担当大臣の設置」についてお考えをお聞かせ下さい。

当会では、中小企業が直面している様々な困難や矛盾を克服し、豊かな日本経済を実現するためにも、「中小企業憲章」を現在の閣議決定に留めず、国民の総意である国会決議を行うことが重要と考えています。また、経済の大部分を占める中小企業を、政府の政策の中軸に据え、総合的に展開していくためにも中小企業担当大臣の設置が必要と考えます。この点について、貴党のお考えをお聞かせ下さい。

回答一覧PDF

全質問・全回答の一覧(PDF)です。