調査・研究・提言

各政党への愛知同友会からの質問状に対する回答(2024年10月衆議院議員選挙)

愛知同友会の高瀬喜照会長名で各政党(政党要件を満たし、かつ愛知県内に県連等の本部機能を有する政党)に対して公開質問状を提出し、以下の回答をいただきました。

1.明らかな誤植については、修正の上掲載しています。
2.回答文量については各400字以内でお願いしました。
3.到着順に上段より掲載しています。

質問趣旨

世界経済は、長く続いた高インフレの落ち着きなどを背景に底堅さを維持しています。しかし、金融市場や政策運営をめぐる不確実性は高まっており、今後金融市場を中心にどのような影響を及ぼすことになるのか見通すことは困難です。とりわけ利下げに転じた米国経済がソフトランディングに失敗し、景気後退の可能性が高まれば、株価の大幅な下落が世界に波及し、世界経済の需要抑制につながります。さらに、中東情勢を中心とする地政学リスクの一段の緊迫化による資源高などによる物価高の再燃懸念、失速した中国経済が世界経済に悪影響を拡大させる恐れもあります。
こうしたなか日本経済は、24年6月に実質賃金がプラスに転じ、個人消費も5四半期ぶりに増加しました。金融市場に不安定な動きが見られるものの、一見すれば景気は踊り場を抜けて持ち直しの動きが始まったようにも見られています。しかしながら、日本経済の屋台骨を支える中小企業を取り巻く情勢は厳しさを増しています。経済全体が需要不足状況から抜け出していない中、引き締めに舵が切られた金融政策の下、借入金利の上昇はすでにリーマンショック前の水準に届こうとしています。また、最低賃金の大幅な引き上げとかつてない人手不足を背景とした賃上げ圧力は、適正な取引条件が確保できない中小企業にとって激烈な淘汰の波となりかねません。
当会では日本経済・日本社会における中小企業の役割を正当に評価し、豊かな国づくりに向けた諸政策の柱に中小企業を位置付けることを謳った「中小企業憲章」の制定を政府に提案し、同憲章は2010年6月18日に閣議決定されましたが、現実の諸政策への反映は十分ではなく、中小企業は困難を深めています。
中小企業の直面する困難は、地域経済、日本経済の落ち込みと疲弊に直結し、国力の減退に拍車をかけます。疲弊した地域経済を立て直し。日本経済を再生させるためには、事業所数の99%、雇用の70%を占める地域の中小企業へのより実効性ある政策展開が不可欠です。その意味で今後は一層「中小企業憲章」の理念を政策全般に具体性を持って反映させることが求められると考えています。以上の趣旨を踏まえ、以下のご質問をさせていただきます。

質問事項と事項別回答PDF

質問事項タイトルをクリックすると、その質問への各党の回答(PDF)が表示されます。

(1)恒常的人手不足と今後一層進む労働力人口減少への対応について、御党のお考えをお聞かせ下さい。

この間日本社会は恒常的な人手不足状況です。人口統計からも労働力人口のさらなる減少は避けられず、極めて大きな国家的課題と考えます。とりわけ製造業の集積地である愛知県では、業種柄すでに外国人労働者なしには立ち行かない状況にあります。そして、人手不足の厳しさは、中小企業ほど傾斜的に重くなっています。さらに、ここ数年の採用難は過去に類を見ない状況にあり、もはや労働力人口の減少は産業、企業、ひいては国家の盛衰を左右する事態に立ち至っていると認識しています。移民の受け入れ、省力化投資のさらなる促進など、各方面ではさまざまに議論がなされていますが、御党の考える対応策をお聞かせ下さい。

(2)食料やエネルギーの国内・域内自給率引き上げについて、御党のお考えをお聞かせ下さい。

日本の諸産業における輸入浸透率が従来と比べて高まっているなかで、この間の円安進行は需給両面にわたる悪影響を日本経済に及ぼしました。国際収支の分析から、すでに日本は構造的通貨安の段階に立ち至っているとの指摘もなされる中、その多くを輸入に依存している食料やエネルギーなどの安定供給は、安全保障上の重要課題です。こうした点に関して当会では、現状の過度な輸入依存体質からの転換を転換し、各地域ごとでの地消地産(地域の需要を地域内の供給によって満たしていく)考え方に立ち、地域の一次産業の積極的振興とともに、休眠発電施設の有効活用、中小規模発電設備の整備により石油やガス、大規模発電依存体質から再生可能エネルギーによる地域エネルギーの自立化を戦略的に進めていく必要があると考えています。御党のお考えをお聞かせください。

(3)御党の考える需要不足克服策(需要拡大策)をお聞かせ下さい。

日本経済は緩やかな回復基調をたどるとの見通しがなされていますが、また、輸入物価の上昇を起点とした物価高による実質賃金の下落、税や社会保険料の負担増は、可処分所得を減少させ、需要不足を引き起こしています。
このことは、物価高、労務費上昇、金利上昇などの多重の困難に直面している中小企業に対するさらなる追い打ちとして経営の重すぎる足かせとなっています。景気を安定的に回復させるには、地域経済に根差し、雇用の圧倒的多数を支える中小企業の持ち直しが決定的に重要です。こうした観点から、御党としてどのように需要拡大を実現していくかお考えをお聞かせ下さい。

(4)「中小企業憲章の国会決議」、ならびに「中小企業庁の中小企業省への昇格、中小企業担当大臣の設置」についてお考えをお聞かせ下さい。

当会では、中小企業が直面している様々な困難や矛盾を克服し、豊かな日本経済を実現するためにも「中小企業憲章」を現在の閣議決定に留めず、国民の総意である国会決議とすることが重要と考えています。また経済の大部分を占める中小企業を、政府の政策の中軸に据え、総合的に展開していくためにも中小企業担当大臣の設置が必要と考えます。この点について、貴党のお考えをお聞かせ下さい。

回答一覧PDF

全質問・全回答の一覧(PDF)です。