愛知同友会の髙瀬喜照会長名で各政党(政党要件を満たし、かつ愛知県内に県連等の本部機能を持つ政党)に対して公開質問状を提出し、以下の回答をいただきました。
1.明らかな誤植については、修正の上掲載しています。
2.回答は各400字以内でお願いしました。到着順に上段より掲載しています。なお、社会民主党からは(1)(2)を共通回答としていただきました。
3.立憲民主党、公明党の各党所属衆議院議員による中道改革連合が結党されたことを受け、公開質問状への回答は中道改革連合よりいただきました。
4.参政党からは残念ながら期限までに回答を頂くことはできませんでした。ご了承ください。
質問趣旨
地政学的リスクや米中対立の激化、トランプ前大統領の関税政策に代表される保護主義の拡大を背景に、世界経済の不確実性はかつてない水準に達しています。特に米国ではインフレ再燃への懸念が根強く、今後も金利上昇が続けば、資金コストの上昇を通じて世界にショックを及ぼしかねません。金融政策の動向は市場に大きな影響を与えています。中国経済の減速も足かせとなり、世界経済は低成長局面にあると見られます。
日本経済はマクロレベルでは緩やかな回復が評価されていますが、屋台骨を支える中小企業の状況は一段と厳しさを増しています。コストプッシュインフレが続き、需要不足も解消されない中、売上不振や借入金利上昇に加え、最低賃金引き上げや深刻な人手不足による賃上げ圧力に直面しています。適正利潤の確保が困難な中小企業にとって、現状はすでに過酷な淘汰の波となっています。
当会では中小企業の役割を正当に評価し、豊かな国づくりの柱として位置付ける「中小企業憲章」の制定を提案し、2010年6月18日に閣議決定されましたが、政策への反映は不十分であり、中小企業の困難は深まる一方です。こうした困難は地域経済や日本経済の疲弊に直結し、国力の低下を加速させます。地域経済の再生、日本経済の立て直しには、事業所数の99%、雇用の70%を占める中小企業への実効性ある政策展開が不可欠です。今後は「中小企業憲章」の理念を政策全般に具体的に反映させていくことが求められます。
以上の趣旨を踏まえ、ご質問させていただきます。ご多忙の折恐縮ですが、ご回答をお願いいたします。
質問事項と事項別回答PDF
※質問事項タイトルをクリックすると、その質問への各党の回答(PDF)が表示されます。
(1)中小企業の持続可能な賃金引き上げを担保する商慣行の確立(公正取引の実現)について
賃金上昇は国民生活の向上や内需拡大、経済活性化に寄与するものであり、歓迎すべきことと理解しています。しかしながら、中小企業を取り巻く取引環境は依然として厳しく、利益は著しく圧迫されています。雇用者の7割が働く中小企業が持続的に賃上げを行えれば、国民の購買力は高まり、内需拡大にもつながりますが、現実には労務単価の上昇分を取引価格に転嫁することは、力関係に左右されるため極めて困難です。政府は「価格転嫁対策パッケージ」などを打ち出していますが、実効性には疑問の声もあり、企業現場では十分な改善が感じられていません。
「中堅企業成長ビジョン」や「中堅企業成長促進パッケージ2025」のように、一部識者が主張してきた「中小企業再編論」(日本経済の低迷を中小企業の低生産性にかづけ、中小企業数を減らすことで生産性向上を図る)を念頭に置いたと考えざるを得ない政策も出されています。しかし、日本の中小企業の実質労働生産性が世界でも高水準である一方、名目労働生産性は伸び悩んでいるという事実があります。つまり、生産性向上やGDP拡大の前提は、中小企業の再編ではなく、不公正な取引条件(しわ寄せや低工賃)の是正を徹底することにあります。下請二法の施行も注目されていますが、実効性を高めるには監視体制の強化や、中小企業側の交渉力向上を政策的に支援することが不可欠と考えます。貴党のお考えをお聞かせください。
(2)企業倒産が激増するなか、日本経済の持続的発展を実現するための中小企業支援策について
中小企業は、①深刻な人手不足、②最低賃金の上昇、強い賃上げ圧力を背景とした労務費負担の増大、③原材料、エネルギー価格をはじめとするコストの高止まり、④過剰債務と過度な返済負担、⑤社会保険料負担の重さなど、多重苦に直面しています。このようななか、新型コロナ禍を乗り切るために実施された中小企業向けの資金繰り支援(いわゆるゼロゼロ融資)も本格的な返済フェーズに突入し、倒産件数は激増しています。今後はさらに金利上昇が追い打ちをかけることは必至です。中小企業の弱体化は国力低下と同義です。貴党は中小企業政策をどのような位置づけで捉え、今後、どのような政策展開を構想されているのか、貴党の考える方針とビジョンをお聞かせ下さい。
(3)中小企業の人材確保や地域共生の観点を踏まえた、外国人材の受け入れに関する政策について
中小企業における人手不足は年々深刻化しており、特に製造業、建設業、農業、介護・福祉、飲食業などの分野では、日本人だけでは人材が確保できず、外国人材の受け入れが不可欠な状況です。現在の制度(技能実習、特定技能)は徐々に改善されていますが、受け入れ手続きの煩雑さ、管理団体とのトラブル、日本語教育の不足、外国人労働者への過重労働など、受け入れる企業・地域・本人の三者にとって大きな課題が残っています。さらに、外国人材の「一時的な労働力」としての位置づけにとどまるのではなく、「地域に住み、働き、納税し、家族を育てる一員」として、共生・定着を支援する施策が求められています。特に中小企業が集積する地域では、外国人材の受け入れが「地域経済の持続性」と直結しており、企業単体では対応しきれない共生環境整備が必要と考えます。以上について、貴党の具体的な政策方針をお聞かせ下さい。
(4)中小企業の持続的発展を支える税制のあり方について
日本経済を支える中小企業は、売上の不安定化、仕入コストや人件費の高騰、金利上昇、社会保険料の負担増など多方面からの圧力を受けています。その中で、税制は企業経営の持続性や投資余力に直接影響する重要な制度であり、負担のあり方次第で中小企業の成長・存続可能性が大きく左右されます。しかしながら現在は、法人税や消費税の実質的な負担感、インボイス制度導入による小規模事業者の影響、外形標準課税の適用問題、事業承継税制の煩雑さと不透明さなどが中小企業経営の現場では大きな課題となっています。中小企業の持続的発展を支える税制のあり方について、貴党のお考えをお聞かせ下さい。
(5)現行の「中小企業憲章」の見直しと国会決議、ならびに「中小企業担当大臣の設置」について
2010年に閣議決定された「中小企業憲章」は、中小企業の社会的・経済的な役割を正当に評価し、「中小企業を成長と雇用の源泉」と位置づけることを目的とした基本となる政策理念です。しかし、現実の中小企業政策は、断片的・後追い的である印象が拭えません。
当会では、中小企業が直面している様々な困難や矛盾を克服し、豊かな日本経済を実現するためにも「中小企業憲章」を現在の閣議決定に留めず、国民の総意である国会決議とすることが重要と考えています。その観点から、現行の憲章を日本国民の総意とするために改めて全国民的議論に付し、そのなかで取りまとめられた「新たな」「中小企業憲章」を国会決議していく道筋を求めています。さらに、経済の大部分を占める中小企業を、政府の政策の中軸に据え、総合的に展開していくためにも中小企業担当大臣の設置が必要と考えています。この点について、貴党のお考えをお聞かせ下さい。









