景況調査

第84号-2014年11月
「期待」が「失望」に変わる兆候か ~「次期見通し」大幅悪化

【概況】

【業況判断】 今月の状況2期連続の改善も前年同月比・次期見通しは悪化

【売上高】【経常利益】 売上高・経常利益ともに前年同月比・次期見通し悪化

【在庫感】 流通業で「過剰」超過幅拡大

【取引条件】 製造業、前年同月比で初めての「好転」超過

【資金繰り】 建設業のみ「窮屈」超過幅縮小

【設備過不足】【施設稼働率】 設備過不足、業種で異なる動き。施設稼働率、次期見通しで3期ぶりの「低下」見通し超過

【雇用】 見通しで不足感の高さ更新

【価格変動】 仕入価格、全業種で高止まり。販売価格、サービス業の見通し5期ぶりに「低下」超過

【借入金利】 短期・長期ともに流通業で「低下」超過幅拡大

【経営上の力点など】 経営上の問題点・力点ともに第1位は前回と変わらず

<会員の声>

DI値推移一覧表(PDF:531KB)

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景況調査報告(2014年11月)第84号(PDF:1.3MB)


【概況】

業況が「よい」と回答した企業から「悪い」と回答した企業を差し引いた業況判断DIは前回調査の20から3ポイント改善して23となりました。これで2期連続の改善ですが、前回の次期見通しが31という高い値であったことを考えれば、「期待」が裏切られた形になっています。さらに、前年同月比は前回の9から3と6ポイントの悪化。3カ月後の次期見通しも31から19と12ポイントの悪化となりました。回復への「期待」が「失望」に変わる兆候とも読み取れ、今後の景気動向が注目されます。

ヒアリング調査はアンケート調査の結果を裏付けるものとなりました。建設業からは公共投資だけでなく、増税前の駆け込み需要の積み残しで繁忙な状態が継続しているものの、新規需要は減少傾向にあり、他方資材価格の高騰や人手不足とそれによる労務費の高騰が収益を圧迫しており、先行きに警戒感が出てきています。また、通信業界では設備が飽和し、今後は投資の拡大が見込めないことから、通信工事業は構造不況のような状態に陥っているという意見も出されました。

製造業からは、自動車関連企業で忙しい状態が続いているとのことでしたが、これは自動車関連企業全般に当てはまることではなく、どの部品を生産しているかによって繁閑の差があるようです。さらに、これまでも指摘されてきた部品の海外生産の増加だけでなく取引先による内製化も進展しつつあるため、今後は仕事量が減少し、本格的な企業の淘汰が始まるとの予測も出されました。個人消費関連からは特に明るい話は聞かれませんでした。

今回の調査では、景気動向や産業構造などが転換点に差し掛かりつつあることを予想させるものとなりました。先行きに関してはこのまま回復が続くという楽観的な予測が減り、シビアな見方が増えてきています。急激に進展した円安はいっそうのコスト高をもたらし、企業収益に重くのしかかります。製造業の回復を牽引してきた北米向けの自動車関連輸出もアメリカの今後の金利動向によっては急ブレーキがかかる可能性もあります。さらに、今回の衆議院選挙において自民党が絶対安定多数を維持したことによって、当一地方選挙後は外形標準課税の中小企業への適用などの税制改革議論が再び俎上に載せられることも予想されます。様々な変化に対して迅速に対応するために、常に自社の業界だけでなく日本経済・世界経済の動向にも目を配ることが求められます。

[調査要項]
 1.調査日   2014年11月18日~11月28日
 2.対象企業 愛知中小企業家同友会会員企業
 3.調査方法 会員専用サイト「あいどる」(一部FAX)にて配信、自計記入、回収
 4.回答企業 会員企業より990社の回答を得た。業種内訳は以下。
   (建設業168社、製造業261社、流通業299社、サービス業262社)
 5.平均従業員 25.9名(中央値 9名)

なお、本報告は愛知中小企業家同友会・経営環境調査委員会(委員長、太田厚・(株)太田電工社社長)が実施した調査結果をもとに、景況分析会議(座長、山口義行立教大学教授)での検討を経てなされたものである。

【業況判断】
今月の状況2期連続の改善も前年同月比・次期見通しは悪化

「今月の状況」DIは前回の20から3ポイント改善して23となった。これで2期連続の改善である。業種別にみると、建設業が32から43と11ポイント、製造業が19から23と4ポイント改善した。流通業は10から12、サービス業が23から24と横ばいでの推移となった。前年同月比は前回の9から6ポイント悪化して3となった。業種別でみると、建設業が12から8と4ポイント、製造業が15から△3と18ポイントの悪化となった。製造業は2013年8月調査以来の悪化超過である。流通業は0から△1、サービス業は10から11とここでも横ばいでの推移となっている。次期見通しも前回調査の31から12ポイント悪化して19となった。業種別では、建設業が40から38と小幅な変動となったが、製造業は35から10と25ポイント、流通業が20から14と6ポイント、サービス業が32から22と10ポイントもの見通し悪化となった。

業況推移DIグラフ (クリックすると大きく表示します)

業況推移DIグラフ
(クリックすると大きく表示します)

【売上高】・【経常利益】
売上高・経常利益ともに前年同月比・次期見通し悪化

売上高DI(前年同月比)は前回の10から4ポイント悪化して6となった。業種別では、製造業が13から1と12ポイント、サービス業が15から12と3ポイント悪化したが、建設業だけは8から11と3ポイント改善した。流通業は4から2と横ばいで推移した。次期見通しも前回の17から3と14ポイントもの悪化となった。業種別でみても、建設業が21から16で5ポイント、製造業が18から△3で21ポイント、流通業が13から△3で16ポイント、サービス業が17から7で10ポイントと全業種で見通しが悪化している。

経常利益DI(今月の状況)は前回調査の16から4ポイント改善して20となった。業種別でみると、建設業が20から27と7ポイント、製造業が14から26と12ポイント改善したが、流通業は前回の12から変化なし、サービス業は前回の19から20と横ばいでの推移となった。前年同月比は前回の6から5ポイント悪化して1となった。業種別では、建設業が11から6と5ポイント、製造業が10から△3と13ポイント悪化したが、流通業が0から△2、サービス業が7から5と大きな変化はみられなかった。次期見通しも前回の23から13と10ポイントの悪化となった。業種別でみると、建設業は23から22と動きは見られなかったが、製造業が28から10と18ポイント、流通業が17から9と8ポイント、サービス業が24から16と8ポイントの大きな見通し悪化となった。

売上高推移DIグラフ (クリックすると大きく表示します)

売上高推移DIグラフ
(クリックすると大きく表示します)

経常利益推移DIグラフ (クリックすると大きく表示します)

経常利益推移DIグラフ
(クリックすると大きく表示します)

【在庫感】
流通業で「過剰」超過幅拡大

今月の状況DIは、前回調査の10から13と3ポイントの「過剰」超過幅拡大となった。業種別でみると、製造業(10→11)は横ばいで推移したが、流通業(11→16)は5ポイント「過剰」超過幅が拡大した。前年同月比も前回の6から11と5ポイントの「増加」超過幅拡大となった。ここでも製造業(8→10)の変化は小さいが、流通業(3→13)では「増加」超過幅が拡大している。次期見通しも前回の4から12と8ポイントの「過剰」超過幅拡大となっている。業種別では製造業(7→12)、流通業(1→13)ともに「過剰」見通しの超過幅が拡大した。

【取引条件】
製造業、前年同月比で初めての「好転」超過

前年同月比DIは前回の△2から△1と横ばいでの推移となった。業種別でみると、建設業(2→8)・製造業(△2→1)では「好転」超過幅が拡大し、製造業は初めての「好転」超過に転じた。流通業(△2→△9)では反対に「悪化」超過幅が拡大した。サービス業(△3→△1)は小幅な変化であった。次期見通しは前回の0から変化がなかった。業種別でみても、建設業(6→8)・製造業(0→2)・流通業(△4→△5)・サービス業(△1→△2)となっており、全業種が横ばいで推移した。

【資金繰り】
建設業のみ「窮屈」超過幅縮小

今月の状況DIは前回の△23から△25と小幅な変化にとどまった。業種別では建設業(△24→△20)で「窮屈」超過幅が縮小したが、流通業(△24→△28)・サービス業(△26→△30)では反対に拡大した。製造業(△17→△18)は横ばいでの推移となった。次期見通しは前回の△23から5ポイント「窮屈」超過幅が拡大して△28となった。業種別でみると、ここでも建設業(△27→△24)だけは「窮屈」見通しの超過幅が縮小したが、製造業(△19→△22)・流通業(△23→△32)・サービス業(△25→△31)では「窮屈」見通しの超過幅が拡大した。

【設備過不足】・【施設稼働率】
設備過不足、業種で異なる動き
施設稼働率、次期見通しで3期ぶりの「低下」見通し超過

設備過不足DI(今月の状況)は前回調査の△15から△17と大きな変化がなかった。業種別では、建設業(△18→△27)・サービス業(△15→△19)で「不足」超過幅が拡大したが、製造業(△19→△15)では縮小した。流通業(△10→△11)は横ばいで推移しており、業種によって動きが異なっている。次期見通しも前回の△15から△16と横ばいでの推移となっている。業種別でみると、建設業(△19→△23)・サービス業(△14→△19)では「不足」見通しの超過幅が拡大したが、製造業(△20→△14)では縮小した。流通業(△10→△12)では横ばいでの推移となっており、今月の状況と同じ動きとなった。

施設稼働率DI(前年同月比)は前回調査の5から0と5ポイントの「上昇」超過幅縮小となった。業種別では、製造業(11→1)で10ポイント「上昇」超過幅が縮小した。流通業(△2→△3)はほとんど動きがみられなかった。次期見通しも前回調査の4から△1となった。「低下」見通し超過は3期ぶりのことである。業種別でみると、製造業(10→△2)では「低下」超過幅が拡大したが、流通業(△3→△1)はわずかではあるが反対の動きとなった。

【雇用】
見通しで不足感の高さ更新

今月の状況DIは前回の△41から△43と横ばいで推移しているものの、「不足」と回答した企業は半数以上に達した。業種別では、建設業(△54→△57)・流通業(△40→△43)では「不足」超過幅が拡大した。製造業(△36→△37)・サービス業(△38→△40)は横ばいで推移した。次期見通しは△39から△41で小幅な動きとなったが、前回記録した不足感の最高値を更新した。業種別でみると、製造業(△51→△57)・サービス業(△34→△39)で「不足」見通しの超過幅が拡大したが、製造業(△38→△34)では縮小した。流通業(△39→△40)は横ばいでの推移となっており、業種で動きが異なっている。

【価格変動】
仕入価格、全業種で高止まり
販売価格、サービス業の見通し5期ぶりに「低下」超過

仕入価格変動DI(今月の状況)は前回調査の41から変化がなかった。業種別でみても、製造業(49)およびサービス業(30)は前回から変わりがなかった。建設業(51→46)は「上昇」超過幅が縮小したが、流通業(37→40)は拡大した。前年同月比は前回の47から横ばいでの推移となり45となった。業種別では、建設業(54→55)・製造業(57→55)・流通業(45→42)・サービス業(34→31)と総じて大きな変化はなく高止まりしている。次期見通しは前回の33から35となった。業種別でみると、建設業(44→43)は横ばいでの推移となったが、製造業(36→40)・流通業(31→36)で「上昇」見通しの超過幅が拡大した。反対にサービス業(25→21)では縮小した。

販売価格変動DI(今月の状況)は前回の7から5と横ばいで推移した。業種別でみると、建設業(14→17)で「上昇」超過幅が拡大したが、製造業(5→2)・流通業(11→4)では縮小した。サービス業(1→△1)はわずかながら「低下」超過に転じた。前年同月比は前回の11から5ポイント「低下」超過幅が縮小して6となった。これで2期連続の縮小である。業種別では建設業(17→15)・製造業(8→6)で大きな変化はなかったが、流通業(15→3)・サービス業(8→3)は「低下」超過幅が縮小した。次期見通しは前回の6から5となった。業種別でみると、サービス業(2→△2)では「低下」超過に転じた。これは2013年8月調査以来のことである。建設業(13→12)・流通業(9→8)は横ばいで推移した。製造業(4)は前回から変化がなかった。

【借入金利】
短期・長期ともに流通業で「低下」超過幅拡大

短期借入金利DIは前回調査の△2から△3で大きな変化がなかった。業種別でみると、建設業(△2→△3)・サービス業(0→△1)は横ばいで推移した。製造業(△5→△2)は「低下」超過幅が縮小したが、流通業(0→△5)は拡大した。

長期借入金利DIも前回の△4から△7と「低下」超過幅が3ポイント拡大した。業種別でみると、流通業(△4→△11)での「低下」超過幅の拡大が大きいが、建設業(△4→△3)・製造業(△5→△7)・サービス業(△4→△3)は横ばいで推移した。

【経営上の力点など】
経営上の問題点・力点ともに第1位は前回と変わらず

全業種で見た経営上の問題点は、第1位「従業員の不足」(37%)、第2位「民間需要の停滞」(29%)、第3位「仕入価格の上昇」(24%)で前回から変化がなかった。業種別で特徴があったのは、建設業では「下請業者の確保難」(46%)が、サービス業では「新規参入者の増加」(36%)がともに第2位になっていることである。文書回答では「円安による仕入れ価格の上昇」が非常に多かった。

全業種における経営上の力点は、第1位「付加価値の増大」(56%)、第2位「新規受注(顧客)の確保」(54%)、第3位「人材確保」(35%)でこちらも前回調査から変化がなかった。


<会員の声(業種別)>

(1)建設業

●「今月の状況」として、業況判断DI(32→43)、経常利益DI(20→27)共に好調さを示しました。その反面、資金繰りDIは、△24→△20と悪化傾向が続き、「11月期見通し」でも△24と悪化を予測しています。雇用動向DIは△54→△57と、深刻な人手不足にさらに拍車がかかっています。仕入価格DIは51→46と材料費の高騰傾向は続き、それに対して販売価格DIは14→17とそれ程改善しておらず企業の利益を圧迫しています。

消費税増税の影響で新設住宅着工数が落ち込んでいます。その反面、中小企業には深刻な人手不足感が続いています。業況判断が上向いているにも関わらず、資金繰りには窮しているので「公共工事をいくら出してもトリクルダウンはしない」という現場の実感も聞かれました。(事務局 八田)

1.総合建築

  • 多発する入札不調から国交省はECI(施工予定者技術協議)方式を取っている。これは実施設計段階から施工者を特定するもの。スーパーゼネコンは忙しすぎて仕事を断るのに必死のようだ。仕事が忙しいと景況分析の数値が良くなるが、利益などの中身が伴っているか疑問である。デフレの時は受注に走っても良いが今は違う。

2.一般建築

  • 下請仕事は、仕事量が前年比3割減で、発注金額の圧縮、協力という名の無償対応の要求が酷い状況である。下請けでは会社を維持できない事は以前にも増して色濃くなっている。一刻も早く元請け体質への変化を実現しないと会社の存続はない。

3.土木建築

  • 今年一年は、施工案件が溢れている状況である。しかし来年以降の見積、特に大型案件の依頼が減少気味。業界全体の印象は末端施工業者の人手不足はもちろん、元請け・ゼネコン・大手ともに人材不足が目立っている。ほとんどの元請けは「取り付け単価上昇は致し方ないね」という。実際のところ、単価が上昇しても、下請け業者の確保難・人材確保難を克服しなければ、受注に踏み切れない。建設業全体の雇用が進まないといけない。

4.鉄筋・鉄骨

  • 業界全体が技能工不足による工程遅延や受注拒否などのトラブルが発生し始めている。まだ記憶に新しい3~4年前までの安値受注合戦は今は全く無い。もしも建設業界が技能工を大切に育成することを忘れ、再び愚かな受注合戦を繰り返すなら我々の将来はない。官庁をはじめ建設業界の各セクションの責任者が「愚者になるか・賢者になるか」は誰にも予測はできないが、愚者にならぬよう肝に銘じる必要がある。

5.電気設備

  • トヨタが史上最高益の一方、下請企業の7割はリーマンショック以前の売上を回復していないと聞く。建設業界でも同じ状態である。大手ハウスメーカーばかりに受注が集まり、地元工務店や町の大工に仕事がほとんど回ってこない。つまり中小企業には単価の安い仕事しかこない。このように、仕事も利益もあるかないかの両極端な状態になりつつある。

6.内装・リフォーム

  • 内装仕上げ業自体は価格競争の激化が進んでいる。今後の見通しは、付加価値すらつけにくい状況になり、利益が出ない市場になりそうである。請負金額自体はものすごく低いものと割に高い案件に二分化してきている。いかに資金繰りを良くしていくかが喫緊の課題であり、その為に人材確保が早急に必要である。

7.空調設備

  • 政治不安と消費税、税制改革の見通しがつかず不安材料が山積みである。円安の影響がどのように降りかかるかも気にかかる。脱下請けの電気工事業と新規事業の展開、地域密着、高齢化社会に向け取り組みが弊社の鍵となる。

8.建築設計

  • 大手と中小の格差が広がっている。大手は消費税の駆込み需要に上手く対応したから好調である。物件が減っているのに深刻な人手不足は、大企業に人手が集中し、中小企業は仕事を受注さえできない。今後は不況局面に入ったので、値下げされた物件が動き出すが中小と大手のスパンが全く違う。営業戦略やキャンペーンの張り方など、相続税の問題にからみさらに格差が広がると予想される。

(2)製造業

●消費増税前の駆け込み需要期であった「前年同月比」を除外し、主要DI値の「今月の状況」はいずれも水面上でやや上昇。しかし「次期見通し」は、業況判断35→10、売上高18→△3、経常利益28→10と大幅な悪化を示しました(グラフ参照)。

製造業 業況推移DIグラフ (クリックすると大きく表示します)

製造業 業況推移DIグラフ
(クリックすると大きく表示します)

景況分析会議では、工作機械やロボット関連の繁忙も中国やアジア向けの外需が多く中国自体も北米等外需比率が高い生産投資であり直近やや伸びの低下も見られること、自動車関連は北米が好調なものの自動車版サブプライムローンのデフォルトが出てきていること、国内T社系単独ではそれほど伸びておらず出向社員が戻され始め、リコール問題の対処も9割下請負担となりメーカー直系以外のティア1は直系の下に組み込まれ業界再編が起きるのではないかとの予測、メーカー等の急速な内製化動向、アジアも地域により業況が大きく異なること、資材燃料その他のコストアップによる経営圧迫、それらの要因から取引先や業界や取扱品などにより一層の二極化が進展していること、大手と中小の利益格差の拡大化、などが報告されました。業界を取り巻く構造が大きく変わりそうです。時代の先を読みながら仕事をしていくことが必須の要件となりました。(事務局 加藤)

1.樹脂、金属加工量産部品、金属製品

  • 国内需要が横ばいで海外需要が伸び、全体として15%の増産計画アイテムが昨年実績を下回る結果となっている。海外需要は予定どおりと聞いているため国内需要が15%以上落ち込んだということだ。全体的に需要が少ない状態が続いている。資材仕入価格の上昇、電力・燃料費や運送費の上昇
  • 自動車関連の上場企業は円高株安で軒並み営業利益を増やしている。それらを取り巻く我々中小企業は、国内需要の低下でさほど良くなっていない。来期の値下げ要請が無くなることがほぼ決まり少し安堵。
  • 円安の影響で輸出関連が大幅に伸びると思っていたが、仕事量が上昇しないことに不安を覚える。
  • 今までの既存顧客先に対する営業活動では現状維持は難しい。新規の製品開発と顧客開拓が必要だ。

2.化学薬品、鍛造

  • 人材確保に困っている。面接に来る人の人間性にも驚かされる。
  • 9月頃から設備関連メーカーからの受注が増えてきている。工作機械、産業機械の需要が増えている印象。ただ来年の情報が貧しく長期的な展望が見えない。また、産業構造の変化からの影響がもろに出ているのも事実。

3.治工具、設備・機械部品、機械

  • やや景気は上向いているのか、社員の残業時間などはリーマン前に戻ってきていて感覚的な忙しさは「回復」しているが、売上や利益は戻っていない。
  • 忙しいことで景気が良い、という経営者が増えていないか?忙しくて利益が出た時に景気が良いというべきではないか?マスコミやエコノミストの発言に惑わされないように実態経済を掴んでいきたい。
  • 設備投資関連は低調。案件が単発的で安定的な仕事が出ない。短納期化による設備稼働率の低下。
  • 仕事量はどんどん受注するもリピート品の原価上昇で利益率は落ちる一方。新規受注と交渉に注力。

4.電子・電気関係

  • ある程度の受注から製造が見込まれる状況でも得意先からの発注が確定しないことがある。大手メーカーの発注に不透明感があり、仕入や製造を前倒しして準備することが難しいため、仕事量の平準化(効率化)がより困難な状態になっている。当然、利益を目減りさせる原因になっている。
  • 顧客からは来年の方が仕事の負荷が高くなると言われているが、本当にそうなるのかはその時になってみないと判らない。安心できない。今は完全に守勢。

5.特殊印刷・印刷

  • アベノミクスで潤った中小企業は極少数で大部分は大企業の内部留保が増大しただけ。末端の零細企業は円安による輸入原料の値上りと消費増税分の値上げが販売価格に反映できず経営を圧迫している。7割以上の人間が不景気と感じているのに増税すれば当然GDPなんてプラス成長するわけがない。
  • 急速な円安で海外からの輸入品原価が上昇。商品の価格転嫁も難しいため輸入コスト低減が必要。

6.家具、建材、食品、雑貨など

  • ここに来て急に売上が上がらなくなってきた。販売不振で在庫が溜まり工場は急遽残業を止めた。倉庫を探すが手頃な倉庫は無くうまくいかない。年末決算までの売上の見通しが立たない。
  • 通常なら年度末に向けて需要が盛り上がる季節だが消費増税の反動減から大手の受注の回復に勢いがない。大変心配している。
  • 輸入部材、資材の高騰。仕事は多いが大型チェーン店への対応が難しい。人件費増、人材確保困難。
  • 円安のため商品仕入価格の値上がりが早く、売価転嫁が追いつかない状態が続き円安は何のメリットもない。円高の方が経済のためにはいいのでは?

(3)流通業

●今月の業況判断DIは10→12、経常利益DIは12→12と、前回調査結果から大きな変動は見られません。業況判断の2ポイント上昇の内訳は、「良い」と「悪い」に二極化しており、底上げによるものではありません。前回調査でいったん低下した仕入価格DIは、37→40と再び上昇、販売価格DIは11→4と連続して低下し、次期見通しも同じ傾向です。主要指標の次期見通しも、売上高13→△3、経常利益17→9、業況判断20→14と期待感は低下しています。文書回答では、海外向け自動車部品、スマートフォン向けロボット関連、BtoCインターネット通販などにおいて好調という回答もありますが、多くは、4月に実施された消費増税の反動減の長期化、円安による経営への圧迫、人手不足問題、社会保障費負担増など厳しい現状が挙げられています。(事務局 岩附)

1.機械器具(自動車、事務機器、電設資材等)

  • お客様に中小零細企業が多く、今更ながら後継者不足がどんどん出てきている。日本の将来や自社の先が見えにくい。この景気とあいまって新規を増やしていかなければ立ち行かなくなる。
  • 自動車の生産は伸び悩んでいるため、全体的に停滞感があるが、部品メーカーは仕事が多い。海外はインドネシアが依然好調。さばききれないほど案件がある。他はスマートフォン向けロボット関連が好調。
  • 冬は繁忙期で売り逃しの無いよう適切な仕入れが重要である。年々、競合店の値下げにより、商品の利益率は低下している。

2.建築資材

  • 需要が伸びない状況の中、為替変動(円安)により原材料、運賃コストの上昇で業界全体の値上げが加速すると思われる。
  • 際限ない社会保障費の増加に留まらず、あらゆるコストが増加している。また、売上の減少と利益率の低下が同時に起きており、経営環境はとても厳しい。
  • 当社は輸入が主力なので急激な円安で困っている。なぜ、政府は何も策を講じず沈黙を保っているのか。インフレ率を上げるのに拘り過ぎて、その悪影響を何も考えていない。

3.繊維、衣服、雑貨

  • 予想以上に急激な為替の変動により、春夏物の仕入価格が上昇してしまう。
  • 円安による大企業の史上最高益等の話題は、別世界のようだ。目前の利益の為だけに社会が動いているようでこの先は大丈夫か不安が残る。子ども達が夢を持って生きていける社会にする必要がある。

4.飲食料品

  • 先の見えない円安で、輸入品の販売価格の設定に苦慮している。
  • 最低賃金の上昇により、だれでも雇い入れるという状況ではなくなってきている。しかし、人口減少により労働人口も減少するとなると人材確保が非常に厳しい。

5.家具、什器

  • 増税の駆け込み需要の反動がまだ終わらず、業界全体の売上高も落ち込んでいる。扱う商品も増税を機に仕入れ値が微妙に上がっている。海外の製造が多いため、円安の影響と思われる。
  • 入札価格の低下、不調入札が最近とても多い。行政は市場実情を把握しているのかわからない。負のスパイラルで回っている。

6.運輸、情報通信

  • 9月10月と急激に荷動きが悪化していたが、11月に入り若干荷動きが活発となってきた感がある。しかし、円安傾向が進む中、取引先の経営状態を危惧する情報も入り、先行きを不安視している。
  • 仕事量はあるが、質の変化が早く、社員教育とその成果が追い付かない。またそのための費用が重い。 特に社員教育に必要な費用を売上の中に原価として請求できる社会になってほしい。
  • BtoCのインターネット通販の売上は引き続き好調。ただし、価格競争に陥ると利益確保は難しく、独自性・付加価値を追求するショップが勝っている。

7.不動産、保険

  • 不動産の買取時の仕入価格が高騰し仕入難が続く。販売価格に仕入高が転嫁出来ない為に利益確保が難しい状況が続く。また、消費税増税からの反動期間が思っていた以上に長い。
  • 損害保険料の値上げが最近著しいため、保険料の安い通販型保険への移行など、顧客離れが起きてきた。

(4)サービス業

●業況判断DI「今月の状況」は23→24、経常利益DI「今月の状況」は19→20と横ばいで、前回調査での期待値に及ばず、「次期見通し」も業況判断DI32→22、経常利益DI24→16と、それぞれ4~6ポイント悪化を予測しています。資金繰りDIは「今月の状況」△26→△30、「次期見通し」△25→△31で窮屈幅が拡大しました。雇用動向DIの「今月の状況」は△38→△40、対個人向けサービス業においては△53→△53と人手不足が恒常化しており、経営上の問題点として従業員の不足が4期連続で1位となっています。様々な技術革新が新しいサービスを生み出す裏側で、他業種からの参入がますます活発になる中では、自前のノウハウ、固有の付加価値を持っていないと生き残れない時代になっています。経営上の問題点は1.従業員の不足39%、2.新規参入者の増加36%、3.民間需要の停滞25%、経営上の力点は(1)新規受注の確保57%、(2)付加価値の増大55%、3.人材確保36%でした。(事務局 浅井)

1.飲食関連

  • 最近、名古屋大曽根付近では、大手外食居酒屋が増えて、今まで以上に顧客の流出が多くなっている。 年末の繁忙期に大きく数字に表れそうで、今は戦々恐々と言った感じである。
  • 業界としてはかなり逆風がふいている。会社の経費による飲食が減ったように見受けられる。

2.生活・健康・美容関連

  • 新規参入も増え競争は激しくなり、今後は価格にも影響がでると思う。独自の路線と付加価値を上げることが重要である。
  • 人口の減少により、お客様・従業員の確保が困難になる。付加価値・強みを確立させ、発信していくことが急務である。

3.印刷・広告関連

  • 消費税増税の4月以降は、やはり市場は停滞気味であったが、11月は久々にそこそこの受注を確保できた。しかし例年受注していた12月の大型案件が、得意先の売り上げ減少が原因で無くなり、12月決算の当社としては勝負の月となりそうである。今後も、景気の動向にしっかりと注視したい。

4.ビジネス支援サービス

  • 人の問題で悩んでいる人が多い。歯科業界、介護業界、飲食業界等、景気はそこまで悪くないと思うが、逆に人を残せていないので、売上げ拡大ができていない状態だと思う。
  • 日本の中小企業の現状と違う海外の施策が際だっている。その反面、大企業の優遇処置の手厚さにはあきれている。実際に景気は悪い。
  • 新規参入、安売りが増えている。付加価値を高め、価格決定権をしっかり握り続ける必要がある。
  • イベント業界では、忙しいという企業と暇で仕事がないという企業の二分化傾向が顕著にみられている。経営状況が悪い会社も多いので、取引先の状況確認をしっかりと掴んでおきたい。
  • 建設関連業のため今は好調ではあるが、今後については不透明である。現在は人手不足であるが、従業員の採用の判断は難しい。
  • 景気がよい会社と悪い会社の二極化が進んでいる。業界的には先行きが厳しい意見が多い。
  • アベノミクスに少し期待していたが、中小零細にはほとんど波及してこない。円安でまわりは値上げばかりで、サービス業でもさすがに経費が増えてきた。消費税値上げの影響は大きく、先の見通しが立たない。

5.産廃・環境関連

  • 円安になったのに、以前の100~120円の円安時よりメリットが感じ取れない(もちろん享受できてもいない)。むしろ燃料他の値上がりなど、デメリットを強く感じる。業界では、円安による海外マーケットへの競争力アップが、国内取引にもいい影響を与えるのだが、今回は期待の東南アジアマーケットの不活性、中国製のダンピング的販売等に起因し、円安になる分だけ価格が下がり、海外マーケットへの輸出も難しい環境が続いている。

6.保険・医療・福祉関連

  • 今後、深刻な人員不足になっていくと思う。福利厚生の充実を図り人員確保に努めて、人材教育をしていくしかないと思っている。