活動報告

人を生かす経営総合学習会(第6回/3月16日)

人間讃歌の子ども理解と障害を抱えて働くということ

山本 万喜雄氏  愛媛大学名誉教授、聖カタリナ大学教授

参加者に語りかける山本氏

参加者に語りかける山本氏

第6回「人を生かす経営総合学習会」では、愛媛大学名誉教授・聖カタリナ大学教授の山本万喜雄氏にお話しいただきました。以下に概要を紹介します。

「生きるっていいな」

人は誰しも、転びながら、転ばなくなるという道筋を辿り育ちます。しかし、障害がある子どもの場合、周囲がサポートをし過ぎると、自分でやれなくなってしまいます。

危ないからさせない、させないからできない、できないからやろうとしなくなる道か、危ないけれども時間をかければできる、その達成感から次もやってみようと思える道か、どちらを選ぶのかが問われます。

自己決定、能動性、自尊感情、目的意識、個別性という視点で人間を肯定的にとらえ、「生きるっていいな」「人間っていいな」という思いを、若い人たちに伝えていくことが大切です。

心の扉を開ける

昔、ある同友会の新入社員研修で、部屋から出てこない社員をどうしたらよいかと意見を求められ、「心の取っ手は内側にある」と答えました。外から無理にこじ開けても、問題は解決しません。生徒時代に突っ張っていた青年が、スーツを着て2日間の研修に出たのですから相当疲れているはずです。その背景を思えば、1日でもよく参加したなと声をかけたくなります。そういう社長の思いが伝われば、青年はこの社長の下で働いてみようと思うでしょう。

心の扉を開けるのは、信頼関係の中にある安心感です。起こった現象にはそうなるだけの理由があり、そこに心を寄せれば見方が大きく変わります。

視野を広げる学び

特別支援学校の生徒たちは職場実習で、学校では学べない新しい経験を重ねて成長します。また、障害のある人に合わせた仕事づくりや適材適所の工夫で、一般就労の場も広がっています。自立とは、すべて自分の力だけでできるということではなく、「助けて」と言える力も必要です。

障害者が働く現場を見学する中で、「弱さを力に」「説得よりも納得を」「平和・民主主義を今一度考える」大切さを実感しています。人を生かす経営の学びを、自分自身や自社の社員のみに留めず、視野を広げる機会にしていただけることを心から願っています。