活動報告

「地震と建築」-シニア部会(11月28日)

三輪 邦夫氏  RE建築設計事務所

長年蓄積された知識をわかりやすく説明

一概に言えない被害

建築設計歴30年の三輪邦夫氏より、「地震と建築」をテーマに報告いただきました。

地震大国の日本において、建物と地震の関係は切っても切り離せないものです。三輪氏は明治24(1891)年の濃尾地震から平成23(2011)年の東日本大震災までの8つの事例から、地震が発生した後の建築物の被害状況を紹介。地震による建物の被害は一概には言えず、跡形もないほど壊れたり、液状化で建物が傾いたりする様子が写真とともに説明され、参加者は真剣に聞き入りました。

これらの事例を踏まえ、三輪氏は地震と建物被害の関係を、(1)地震動の性質、(2)場所による地盤の違い、(3)建物自体の性質の3つにまとめます。そして、これらが複雑に絡み合っているため、「木造より鉄筋コンクリート造が安全」などの一般的に考えられていることが正しいとは言い切れないところに、問題の難しさがあるといいます。

また、昭和53(1978)年に発生した宮城県沖地震後に、建築基準法が大幅に改正されました。これにより必要な鉄筋の量が増えましたが、それを価格に転嫁しづらいという当時の苦悩なども語られました。

その他、古民家の再生や桑名市の六華苑の復元に関わった三輪氏の報告に、「一度は訪れてみたい」という声も聞かれるなど、話が盛り上がるなか閉会しました。