活動報告

金融アセスだより(第98回)

複数行取引で比較

わが社のグループ会社が新規事業を立ち上げることになり、必要資金の融資交渉の場に同席しました。第2地銀2行との交渉です。両行には事前に資金用途・必要額などを説明しており、当日は事業計画書・キャッシュフロー表などを提示、一時間で説明という同じ条件下でのプレゼンテーションでした。

メインバンクのA行は支店長と担当者が同席。会話は主に支店長とで、担当者は話を聞くだけでした。一方、1年程度の取引であるB行は、担当者1人での対応です。新事業の将来性やキャッシュフローなどを事細かく質問され、融資条件の説明のほか、事業計画書を見ながらのアドバイスなどもあり、今後の事業展開や自社の考え方などを引き出されました。

自社のことをどう理解してくれるのか、金融機関から見て事業に問題点はないかどうかを聞かせてくれたB行の方が好印象でした。実は過去にもB行からは、A行からされたことのない様々な提案やアドバイスがあり、それにA行が言い訳しながら追随するという展開がありました。

選択眼を養おう

今回、両行ともプロパー融資で全くの同利率かつ過去最低の金利が提示されました。ただ、今回はメイン銀行のA行に決めました。なぜなら、A行は融資条件を提示してもらう期日を守り、条件もなかったのですが、B行は同金利にするために「積み立てをしてもらえれば再度稟議を上げて金利を下げます」という仮条件だったからです。

顧客のニーズを聞くまでは良くても銀行都合の条件を出してきたB行は、結局のところ新規参入するための営業トークだったことがわかります。表面金利や提案内容だけで銀行を選ぶ危うさを実感しました。長期取引をしていたA行のリレバン姿勢が、満足いく結果を生んだと思います。

イスクラアセットプランニング(有)  二村 佐斗史