活動報告

金融アセスだより(第104回)

中小企業には、その企業を深く知る「目利き」の存在が重要だといわれています。金融庁のいう「目利き」能力とは、融資の審査において、顧客の事業価値を適切に見極めるための能力を指します。

金融機関が新規融資の審査をする際、損益計算書や貸借対照表などの財務状況である顧客の「定量面の要素」のみならず、技術力や販売力等の「定性面の要素」を総合的に評価し、積極的な工夫・取組みを行っている場合をプラス要素とするのが、現在の金融庁の監督方針です。

金融機関の目利き力

金融機関の渉外担当者は、顧客を数十件抱えており、1件あたりに費やせる時間は限られますし、「半沢直樹」のような敏腕金融マンは滅多にいません。そこで、しっかりと会社を評価してもらうためには、金融機関の「目利き」を受け身で待つのではなく、自ら行動することが必要といえます。

外部環境は日々移り変わります。現在でも為替相場は大きく変動し、仕入れ値は高騰して、経営状態は常に変化しているのです。このような中で経営状態や課題、そして今後の展開をどう考えているか。それを語れるのは経営者だけなのです。

私たちには、様々な同友会での勉強を通じ、「理念・方針・計画」「採用・共育」と、先を見極め準備できる学びや機会が多くあるのです。

信用獲得のために

自ら金融機関にアポイントを取って、経営指針や決算書を持っていき、現状の報告や先の事業計画を話してみてください。金融機関が見る経営者のポイントは上がるはずです。

金融機関も他の顧客と同じように1つの取引先と考え、どう信用してもらうかと考え抜けば、経営者が見てもらいたいポイントは明確になると思います。

相手に見てもらうばかりではなく、経営者自身が、しっかりとした未来を描き、それに沿った強み弱みを相談することで、新しい道が開けてくるのです。

私たち中小企業家が、「ここを見てくれ」という目利きのポイントを金融機関と共有していく必要があるといえます。

日研工業(株)  出原 直朗