アセス法制定運動から学ぶ
木全 哲也氏 (株)三恵社
同友会創立から50余年、私たち会員企業経営者は社会から大きな期待を寄せられる存在になりました。メディアへの登場、政府や自治体委員会等への参加、教育機関との連携協力など、地域における存在感は高まっています。中小企業憲章や地域振興条例の取り組みで、私たち自身がその自覚を持ってあたることが肝要といえます。
今後の政策運動を展望するにあたり、同友会運動を質的に転換させた「金融アセスメント法」制定運動について、当時プロジェクト長の木全哲也氏から経緯や教訓などを報告いただきました。
声をかたちに
バブル経済絶頂期から総量規制、BIS規制などで金融機関が破綻し、不良債権処理など日本経済に激震が走りました。愛知同友会は会員の声から先んじて「貸し渋り調査」を3回実施。多くの学習会を重ねて「金融機関が地域経済に果たすべき役割」を求め、「金融アセスメント法」の制定運動に取り組み街頭署名活動を展開、マスコミや国会にも取り上げられました。
全国同友会でも同様の動きがあり、私たちの声が「リレーションシップバンキング構想」「金融検査マニュアル別冊・中小企業版」となり、国政や金融機関を動かし、現在の経済と金融機関との関係を築いてきたのです。
「困った」「苦しい」という状況から「自分たちの手で経営環境を変える運動」へと変わりました。その過程を通じて自分たち自身の誇りや生き方に繋がり、社会を良くしていく企業家としての役割に気づいてきた経緯が語られました。
当事者意識を持って
「最初は何もわからなかった」と木全氏。事実を発信しわかるところから語り、理解を広げる中で勉強を重ね、金融や世界経済の仕組みなどの知識も習得してきました。
経営者として自らの襟を正し、自助努力と共に社会に共感を拡げてきたこと。動けば勉強せざるを得ず、自らが変われば必ず世の中も変わること。同友会は経営塾ではなく、目先の利害や自社の近視眼に陥らず、広く世の中を見渡して、当事者意識を持って勉強を積み重ねていくことが大切だとまとめました。