活動報告

金融アセスだより(第117回)

企業の実態を把握

2000年代前半に起きた金融アセスメント法制定運動の波は、金融行政の重点施策として、金融機関は中小企業を定性評価していくべきであるという流れにつながりました。最近では事業性評価という言葉が頻繁に使われています。

現在は、担保・保証に依存しない、事業性評価による融資の推進が、金融行政の方針に盛り込まれています。言葉は違えど、これは金融アセス運動の頃からよく使われるようになった「リレーションシップバンキング」そのものです。

「目利き力」が課題

創業間もない会社や過少資本の零細企業の持つ独自技術やアイデア、社会性といった、数字に表れない部分も評価されることで、企業のポテンシャルを限りなく発揮できる土壌になってきたとも言えます。

一方で、金融機関内に中小企業を公正な視点で評価できる人材が育っているのかといえば、疑問が残ります。いわゆる「目利き力」の欠如です。金融機関の最大の経営課題は、この目利き力を持つ人育てが十分にできていないことだと思います。

また事業性評価とは、取引する金融機関が長期的にパートナーとして共に発展できる相手であるかを評価する力を、私たち企業側にも求めているものではないかと思います。

イスクラアセットプランニング(有)  二村 佐斗史