活動報告

労務労働委員会(12月14日)

事業展開とリーダーのあり方

馬場 愼一郎氏  データライン(株)

「社長の仕事は社員を信頼し任せること」と馬場氏

「社長の仕事は社員を信頼し任せること」と馬場氏

本質課題の気づき

馬場氏は、創業者である父親の死を受けてサラリーマン生活から一転、事業継承をして経営者としての人生が始まりました。10年スパンで訪れる不況に対応すべく、総合印刷会社として顧客を獲得しようと試みますが、事業領域を見直していく過程で、自社の強みを勘違いしていたことに気付きました。他社にはできないことこそが強みだと再認識し、特殊印刷の技術を生かした分野へ切り替えていきました。

厳しい経営状況が続く中、自分のやってきたことを例会報告で語ると「それ、君1人でやっていないか」と言われました。当時はその意味がわからず、自社でリーダーシップを発揮すればするほど、社員間に溝が生まれました。気がつけば、自分ひとりで計画を立て、現場で働く社員は後付けでした。

前に出ないリーダー

ついてこられる者だけがついてくるというやり方では、多くの犠牲を伴い、組織としてやる意味がないと感じた馬場氏は、社員で組織したプロジェクトと一緒に自社の5年後について議論しました。顧客は誰かを考え、売上は半減すると予測したところ、「自社は製造業からサービス業へ」との結論に至りました。

当時の会社について、「最終的には社長が決めるという風土があった」と振り返る馬場氏。このような状況での対応は各社の事情によりますが、データラインでは「前に出ないリーダーシップ」を決意したといいます。具体的には部課長会議で財務状況を公開して権限を委譲し、社員自らが判断する状況を作ることで、あまり話さない社員からも意見を引き出すことができ、全社一丸体制を意識できるようになりました。

経営者をオーケストラの指揮者と例えるなら、今まではジャズセッションで、皆がプロという1つの価値観を押し付けていたことに気付いたといいます。馬場氏は、経営者の仕事として「社員を信頼して任せること」が必要で、社員の隠れている才能を引き出し、それを伸ばしていくことが大切であるとまとめました。