活動報告

AICL(仕事づくり研究会)12月15日

進化を続ける染色技術
日本技術士会との合同企画

今枝 憲彦氏  茶久染色(株)

試行錯誤の繰り返しが新たな技術確立へと繋がる

試行錯誤の繰り返しが新たな技術確立へと繋がる

世界初の画期的技術

今回のAICL(仕事づくり研究会)例会は、日本技術士会中部本部との合同企画として開催されました。当日は30名が参加し、自由闊達に情報交換が行われました。

今回は茶久染色代表取締役の今枝憲彦氏が自社の事例報告を行いました。同社は一宮市の地場産業である繊維染色業で、創業100周年を迎えた老舗企業です。

同社は「チーズ染色」と呼ばれる従来の繊維染色技術に加え、北海道大学との共同で、カーボンナノチューブ(CNT)を糸にコーティングする世界初の技術開発に成功しました。

今枝氏は、この技術確立に至るまでの試行錯誤の経緯を語り、「染める」から「塗る」への発想転換や、社員の奥さんのガーデニングで植木鉢を叩く様子をヒントに、糸に振動を加えてCNTを均一に塗る方法を考え付いたエピソードなどを紹介しました。

未来の新素材として無限の可能性

CNTを塗った糸は導電性と、電気抵抗による発熱性があり、金属導線と比較してきわめて軽く、250万回折り曲げても寸断しない耐久性を持ちます。

この特徴を生かして現在はイヤホンのコードなど非金属の導線として、あるいは道路や配管のヒーターなど発熱する布としての応用など、用途を模索・研究しているとのことです。

画期的なこの技術は開発が成功して以来、経済産業省をはじめ、各メディアや海外の研究機関などからも注目を集めており、未来の新素材として無限の可能性を期待されています。