挑戦と地域の発展
~地域資源を活かしてグローバルニッチトップへ
南川 勤氏 ミナミ産業(株)(三重同友会)
革新と共生
地域に根を張り人々の豊かな人生を育む中小企業家として、その地域をどのように捉え経営に活かし、地域に還元すべきかを学ぶことを目的として名古屋第4支部合同例会が開催され、約100名が参加しました。報告者は、三重県四日市市で豆腐など大豆加工食品機械の設計・製造販売業を営む南川勤氏です。
南川氏が父である先代社長から会社を引き継いだ当時は、バブル崩壊や豆腐の価格競争による市場縮小、協力企業のライバル化、社員の離職など、経営課題が山積していました。そんな中、先代の計らいで机の上に置かれた、東京都大田区のある町工場の新聞記事を目にし、小さいながらも独創性を活かすことでニッチトップとなれる事例に勇気を得て、会社を立て直そうと奮起したのです。
地域を活かし、世界に挑む
製造の自動化が進み、年々淘汰されていく豆腐業界で、オンリーワン企業になるにはどうしたらいいのか考えます。南川氏は、あえて業界の逆を行き、お客さんに目の前で作った出来立てを食べてもらえる小型の卓上豆腐製造機を開発しました。
するとホテルや外食業界から反響があり、寄せられた声を元に改良を重ねる中で、南川氏は四日市の名産品である「万古焼」を商品に活かせないかと思い立ちます。窯元と協力して「萬来鍋」を開発し、さらに大学との産学連携で、製造過程で9割が産業廃棄物として処理されている「おから」が出ない豆乳を開発し、商品化しました。
かつては業界から「異端」と言われた南川氏の取り組みですが、「食を通じて、世界の人たちの健康や平和に貢献する」という経営理念があったからこそ、協力会社や地域を巻き込み、ぶれることなく実現できたと語ります。また、同じ志を持つ三重同友会の先輩会員の姿勢やアドバイスにも大いに影響を受けたといいます。
自社独自の技術を手に、南川氏が挑戦するのは海外市場です。コツコツと営業を重ね、今や輸出実績は27カ国にも及びます。南川氏の飽くなき挑戦事例から、地域に眠る資源の可能性と、それを活かす経営者としての姿勢を学ぶ例会となりました。