活動報告

労務労働委員会(12月13日)

社員が考える働き方

八橋 昭郎氏  八橋社会保険労務士事務所
倉野 義和氏  (株)広和木材

企業の「ありたい姿」を明確にし、就業規則を定める

退職金の意味と制度化

12月の労務労働委員会には23名が参加し、八橋社会保険労務士事務所の八橋昭郎氏と広和木材の倉野義和氏に報告をいただきました。

八橋氏は退職金について、その歴史や相場などを踏まえ説明しました。法的な支払い義務はない退職金ですが、制度を定めた場合には支払い義務が生じます。支払う場合は長年の勤労に対する謝意を表しており、これに能力の差や貢献度の加味をどう制度化するかに企業の考え方が反映されるとまとめました。

倉野氏は職場の見直し調査について報告しました。就業規則を見直して1年9カ月が経った現状の変化としては、有給休暇の消化が微増。人手不足を生む悪循環の建築業界では長時間労働の是正が急務ですが、業界の慣習で苦戦しています。無理のない工期の設定と現場作業の効率化が求められる中、倉野氏は年間休日を96日から105日にすることを目指し、仕事の見直しを図っています。

「ありたい姿」を考える

広和木材は、木材業から建築業へ業態変化をしてきました。以前は人手に困ったら採用を繰り返していましたが、同友会に入会し、それは採用ではなく「補充」だと気づきます。「就業規則がしっかりしていないと、新卒採用の土俵にも乗れない」と聞き、同支部の社労士・八橋氏と共に、社員も納得する就業規則を作成することを決意しました。

社員と共に就業規則を作成する目的で行った職場の見直し調査では、出された要望にそのまま経営側が対処するのではなく、「自らの職場は自らがつくる」という考え方で社員同士で解決していく方法をとりました。ここから社員の意識が変化してきたと倉野氏は言います。

「有給休暇が取りづらい」「長時間労働を良しとする風潮がある」などの不満の声を解決すべく、それらを服務規定に盛り込み、共通のルールとしました。長時間労働の是正では、残業を上司の命令事項とすることで、時間や作業面での無駄を省く仕組みを徹底でき、残業時間が曖昧な仕事に対しても残業代を支払い、社員側の働き方の意識も変わってきたといいます。

働く環境を改善するためには、社員自身がどんな働き方をしたいのか、また企業がどうなりたいかという「ありたい姿」が明確でなければいけません。「人を生かす経営」を念仏のように唱えるだけでは意味がなく、社員の想いや考え方を共有し、指針や就業規則に盛り込んで、作りあげていく過程が何よりも大切だとまとめました。