労使見解と向き合った7年
吉田 幸隆氏 エバー(株)
成功体験が自信に
労務労働委員長を退任する吉田幸隆氏に、委員長としての7年間、また会員としての26年を振り返る報告をしていただきました。
吉田氏が委員長に就任したのは2011年。東日本大震災の発生や会社ではリコールの対応に追われ、委員長を降りることも考えましたが、苦しい状況をさらけ出せるのが委員会で、心の拠りどころだったと語ります。一方で、自社のビジョンを描けない悩みも抱えていました。他の会員はビジョンを描きながら経営できているのかと懐疑的な見方をしていて、会合でヒントをもらっても聞く耳を持っていなかったといいます。
ある時、外注だった機械の修理を自社で行うことになり、修理代がそれまでの半分以下になりました。また社員が率先して勉強したいと声を上げ始め、こうした成功体験の積み重ねが自信に繋がると思ったといいます。
同友会で社員教育について率直な疑問を投げかけたところ、「社内の教育に留めてはいけない。教育とは人格の形成を目指すもの」という新たな価値観に出合った吉田氏。共同求人や共育講座に社員と参加し始め、自分の言葉で会社のことを社員が話せるようになってきたといいます。
企業づくりの原点
創業50周年を迎えた2016年、分かりやすい会社と経営をテーマに掲げて3年かけて実践した結果が現れたと吉田氏は振り返ります。新工場の設立に伴って新たな課題にも直面しますが、社員が率先して動いてくれて少しずつ改善してきています。
「労使見解は企業づくりの原点」と語る吉田氏。先輩経営者が積み上げてきたものを実践しているのが現在の会員です。同友会で学ぶ中でエネルギーに満ち溢れた経営者と出会い、今日まで続けてこられたと感謝を述べました。
最後に「労務労働委員会は経営者としての姿勢がどう反映されているのかが分かる場」と話し、労使関係の新しい次元への発展について考えてほしいと吉田氏は伝え、報告を締めくくりました。