数字を学び合う風土づくり
馬場 愼一郎氏 データライン(株)
愛知同友会では、経営指針推進運動の一環として財務基礎学習会を開催してきました。後継者や若手創業者等、数字が苦手な経営者の増大が背景です。しかし、旺盛なニーズに県主催の学習会だけでは応じきれず、今年度、指針推進本部方針に、地区やグループ会や仲間同士で数字を学び合う風土づくりを掲げています。
そこで7月2日と30日には、副代表理事の馬場愼一郎氏を報告者に迎え、財務基礎学習会が開催されました。
それは社長の仕事?
馬場氏は冒頭に「経営者が数字は苦手というのは職責放棄」と指摘します。局面打開に際し、経営者は営業や技術など自らの得意分野に傾注しがちですが、それは社員としての仕事。経営者の仕事は、環境を知り、戦略を立て、社内外の協力を得ることで、数値に基づく、整合性と説得性が必須と強調しました。数値の掌握なくして人間尊重経営は実現できず、少人数(社長1人の)なら、なおさら意識して社員と経営者を兼務すべきと迫りました。
経営とは未来を創ること
重要なのは数字に裏打ちされた未来の創造です。どんな理念や方針も、科学性と納得性が無ければ、社内外に対する詐欺に近い。理念・方針・計画を貫くストーリーがなければ実践できないのは当然と指摘しました。
数字は創るもの、経費は意思の表れ
粗利益は企業の貢献度を、その分配は戦略と経営者の意思を表します。給与アップ、教育をする、研究開発する、といった意思に基づき、内部費用の将来値を決めることを提案。その合計額を、今の粗利益率で割れば必要売上高が出る。不足となる場合どうするか問いかけました。
新商品事業Xの導入
実現可能性のない売上数字を掲げても、何も始まりません。将来の売上内容は未定という現実を認め、いつまでに確定させるかを行動計画にする。例えば、1年目は新事業をXの模索期とし、役割を決めPDCAを回す。それなら、社員の納得感も出るのではないかと説明しました。
同友会らしい経営指針と一貫性ある数値計画
その他、売上セグメント分析、総資本経常利益率、資産見直し、回収期間、人件費の特殊性等、演習や宿題も交え、経営者目線で動態的に、会計用語やカナ英語は控え、どこに着目すべきかを、自身の例や仲間の辛い経験を踏まえての解説がありました。
「使える指針」に焦点を定め、同友会らしさの要点を押さえた学習会で、地区、グループ会、支部などでの展開が期待されます。