魅力ある企業づくりこそが「働き方改革」
加藤 明彦
愛知同友会会長、エイベックス(株)代表取締役会長
何のために働くのか
今月から「働き方改革関連法」が中小企業にも一部適用されますが、私は政府が掲げるこの法律に対して腑に落ちないところがあります。生産年齢人口の減少に根本的な対策を講じず、単なる人手不足の解消策として女性や高齢者の積極的活用を掲げているように思えるからです。
働き方は各企業が自主的かつそれぞれの状況に合わせて行うもので、指図されて行うものではないと思います。真の働き方改革とは、私たち経営者が「魅力ある企業づくり」に取り組むことではないでしょうか。
その実現には、安心して働ける環境を整備すること、会社の将来ビジョンをまず描き、社員一人ひとりが5年先、10年先に会社の中でどんな存在で働いているのか、成長ぶりが描け予測できること(社員の未来ビジョン)だと考えます。
本当に価値ある仕事とは
自社は製造業で、世界との競争に勝つためにも、「ものづくりを究めること」が必要不可欠です。それには品質と生産性向上が重要ですが、働き方改革の視点で考えると、単純労働は機械化による自動化・省人化を図っていき、人間にしかできないこと、人間としての価値がある新たな仕事を発掘して、実践改革していくことです。そのことにより、新たな雇用も生まれ、社員は技能を磨いてプロとしての意識を高め、成長することもできます。
つまり、本当に価値のある仕事とは何かを考え、人間尊重の経営を実践し、社員が仕事にやりがいを感じて自らを成長させることができれば、人材の育成にも繋がります。
地道に積み重ねる
経営者がやることは山ほどあります。しかし、社員をパートナーとして信頼関係を築き、共に人間として成長する姿勢を打ち出すことが、企業発展の原動力になり、社会的な存在価値を高めることにも繋がります。
地道な取り組みを続けることが、「真の働き方改革」だと思い、覚悟を持って進めていくつもりです。