労使見解が会社の未来をつくる
~混迷の時代を勝ち抜くための経営者の姿勢とは
磯村 太郎氏 サン樹脂(株)
経営者自身が変わる
「労使見解が会社の未来をつくる」と題し、サン樹脂代表取締役の磯村太郎氏に報告していただきました。
冒頭、「『三位一体経営』を真剣にやっていても、会社を潰してしまう会員がいるのはなぜか」と参加者に問いかけました。そして、この問いについて、今回の報告と討論を通して考えてもらいたいと話しました。
磯村氏が入社した当初、今いる社員は自分も含めていつかはいなくなる、そのため継続的に採用し、社員を早く一人前にする必要があると考えていたといいます。しかし、採用した社員は定着せず、10年経って感じたことは、売上は伸びているが仕事が楽しくないということでした。
そんな時、同友会へ入会し、経営指針書の作成に取り組みます。共育講座では「社員が変わるのではなく、経営者自らが変わる場所」だと教わったり、社員から自社の経営指針書はどうなったかを問われたりするなどし、自身の考え方を変える転機となったそうです。
信頼関係づくりを考える
労使見解に基づく経営を実践していた中、社員が一度に6名退社しました。売上にこだわった結果、忙しく余裕のない日々が続き、先輩社員も新人への指導が疎かになるという悪循環が原因でした。
アルバイトを雇って対応した際に仕事の分業化をしたところ、社内の雰囲気が良くなり、作業効率も上がっていることに磯村氏は気づきました。その時、組織とは社員それぞれの良いところを引き出すためのものだということがわかったといいます。
磯村氏は信頼について、「集団主義は安心を生み出すが、信頼を破壊する」という考え方があると投げかけました。安心が不必要ではなく、さらに信頼関係づくりが必要であり、それこそが近代的な開かれた労使関係への転換になると報告をまとめました。
冒頭の問いについて、同友会と会社での行動が違っていないか、本当の意味での信頼関係づくりをしているかと、今一度考えるきっかけになった支部例会になりました。
見田興業(株) 見田 力