地域経済を支える
~物価高騰への対策
人材確保で支給が増加
愛知同友会では2022年夏の賞与調査を行いました。
賞与を「支給する(支給した)と回答した企業は、前年同時期の調査から5.9ポイント増加して81.6%となりました(グラフ2参照)。
業種別で見ますと、建設業は昨年比0.6ポイント増の76.4%、製造業は昨年比6.6ポイント増の91.0%、流通・商業は昨年比1.5ポイント増の76.3%、サービス業は昨年比11.3ポイント増の80.2%と、全業種で「支給する(支給した)」企業が増加しました。
しかし実態は、資金的余裕から支給されているわけではなく、人材不足問題のために賞与支給にも取り組んだ企業が調査に多数回答したと言えます。中小企業は資金的にも人材的にも非常に厳しい状況が、2020年の新型コロナウイルス感染拡大以前から続いています。
建設業が最大の増額幅
平均賞与額は、前年同時期と比較して17,102円増加しました(グラフ1参照)。全業種で増加となり、建設業は31,861円、製造業は9,900円、流通・商業は18,194円、サービス業は12,519円のアップとなりました。増額幅は建設業が最大、一方で製造業が最小幅の増額となっています。
なお賞与支給月数は、業種を問わず「1カ月~2カ月未満」の回答が最も多く、その次に「1カ月未満」が多い回答となりました。
社員の生活を守る
記述回答では、「支給する(支給した)」と回答した企業のなかでも、「もっとたくさん賞与をあげたいが、物価上昇で余裕がない」(サービス業)、「原料費高騰により賞与は減少しなければいけないが、社員の生活必需品の物価も高騰しているため、賞与も上げなければいけない」(製造業)など、社員の生活のために支給に踏み切った経営者の声もありました。また「支給しない」と回答した企業では、「新型コロナウイルス感染症による影響で資金的余裕がない」(製造業)などの声が聞こえてきました。
止まらない円安のなかで、いつまで原料費が高騰し続けるのかも予測がつきません。また、その高騰分を価格転嫁できていないなかで、地域経済を支える中小企業の生き残りが厳しくなっています。
【調査要項】
(1)調査日 | 6月17日~26日 |
(2)回答企業 | 661社(建設126社、製造165社、流通・商業160社、サービス210社) |
(3)平均従業員数 | 29人 |