中小企業家が社会を変える
木全 哲也氏 (株)三恵社
第22期同友会役員研修大学・第7講座、木全哲也氏の報告の概要を紹介します。
金融アセス運動を振り返って
私は、同友会に入会して42年になります。2001年に全国の同友会で金融アセスメント法制定運動が起こり、愛知では私がプロジェクト長を務めましたが、今も同友会に在籍している会員の中に当時を知る方は少なくなっています。
金融アセスメント法制定運動は、1997年の金融危機をきっかけに金融機関から中小企業への貸し渋りや貸し剥がしが起こったことが発端でした。その背景を学習していくと、BIS規制をすべての金融機関に適用する政策に原因があることが分かり、そこから署名運動へ発展。全国で100万筆(うち13万筆は愛知)を超える署名を集め、2003年に「金融検査マニュアル別冊・中小企業編」が策定されました。当時の参議院財政金融委員会の会議録にも「署名を集めてくださった中小企業の(中略)活動が大きく影響している」と記録されています。
この「学習から始まる運動こそが同友会らしい中小企業運動」と評価され、中小企業憲章・条例制定運動へとつながっていきますが、一方では中小企業運動の観点からの総括がされず、同友会が目指したものが会内に浸透しませんでした。
同友会での学びの本質
同友会には3つの目的があり、会員は襟を正しながら良い会社・良い経営者を目指してきました。しかし、いつの間にか、即効性のあるメリットだけを求めて外部環境の変化に興味を持たない視野の狭い会員が増加し、同友会が単なる経営塾になってしまっているように感じます。同友会での学びの本質は「時間をかけた学習とともに、時間をかけてメリットを享受する運動」にあると思っています。
今年、愛知同友会の60周年で「2022ビジョン」が発表されました。この中には、私たちが目指す企業像、会員経営者像、地域像が、3章にわたって書かれています。中小企業経営者としての誇りと、同友会会員としての誇りを持ち続け、学んだことに魂を入れて経営に取り組む役員になってほしいと願います。