活動報告

企業変革支援プログラムVer.2を活用しよう

「企業変革支援プログラム」は、同友会の「3つの目的」「労使見解」「21世紀型中小企業づくり」の各要素を整理分類し、自社の成長発展を図るものさしとする目的で中同協より2009年に「ステップ1」、2012年に「ステップ2」が発刊され、創意的で多様な活用が広がりました。ただ、全国で普及が進む一方で、「診断だけで終わっている」「一層の改善を望む」などの意見が上がり、全面的な見直しが行われ、2022年に「Ver.2」が発刊されました。今回はこの「Ver.2」の概要説明と活用の呼びかけを掲載します。

自社変革のガイドに

青木 義彦氏  (株)サンテック
愛知同友会企業変革支援
プログラム推進担当理事

「企業変革支援プログラムVer.2」を構成する各カテゴリー・サブカテゴリー(「VI企業の社会的責任」が追加)

経営指針の更新が前提

この混迷の時代に経営者が求められている最も重要なことの1つが自社の変革です。実際、先日の第55回中同協総会においても多くの方が話題にしていました。

この度出版された「企業変革支援プログラムVer.2」は、私たちにとって自社の変革活動へのガイドとなる強力なツールとなります。ステップ1、ステップ2の改訂版という位置付けからも、経営者の頼れる相棒としても、お薦めできるものです。

前提として、経営指針を毎年見直し改訂をしていることが重要です。変化が激しい現状を理解する上では、経営者の感性も大事ですが、それ以上に、世の中と共通の指標で判断するスキルを上げることが重要だと考えます。

あらゆる場面で活用を

まだ変革の必要性に気付いていない会員がいるなら、周りが「人を生かす経営」の実践を切り口に、気付きを与えることが有効です。同友会は、支部・地区などの組織部門の活動と、専門委員会を中心とした経営課題を扱う部門から成り立っています。例会やフォーラムなどプロジェクト活動も企画されており、あらゆる活動においてテーマを企業変革支援プログラムのカテゴリ項目に照らして、各活動の意味付けや評価を検討して実践することも良い方法ではないかと思います。

自社から始めるか、同友会から始めるかは問題ではありません。同友会活動・行事のあらゆる場面で企業変革支援プログラムの成熟度を課題意識と会員各社の経営指針活動の両面から呼びかけ、成果の共有を図りたいものです。

真の経営課題を発見

加藤 明彦氏  エイベックス(株)
愛知同友会相談役理事

経営指針書のPDCA実践における「企業変革支援プログラム」活用イメージ

企業変革を促進

現在は、経営環境が激変し企業変革の必要性に迫られているといえます。世界経済は多元的危機に直面し、日本経済も長期停滞が続いています。この危機を乗り越える企業づくりの要諦は、環境の変化と市場を把握し、経営戦略と成功要因の明確化、対応する方策と計画の有無です。

それを具体的に実現していくツールが企業変革支援プログラムなのです。これは、経営指針の実践を見直し、事業再構築に向けた「潜在的にある真の経営課題」を発見できるものです。

企業変革支援プログラムVer.2の特長は、(1)経営指針の実践支援を明確に位置づけた、(2)成熟度診断から方策の検討まで1つの体系とした、(3)企業変革に必要な取り組みの具体例を列挙し、経営計画の立案に役立つ内容にした、(4)新カテゴリー「企業の社会的責任」を追記し、各カテゴリーの詳細にも今日的視点での修正と補強を加えた、以上の4点が挙げられます。

企業づくりの課題

企業づくり運動として強化する課題は、企業体質強化のレベルアップと、経営指針の成文化・実践のため、毎年作成し経営指針発表会を行うこと。そして、経営指針書に基づく計画対実績の差異分析・管理会計による課題会議を行い、実践的な共育・社員とのコミュニケーションのため小さなPDCAサイクルを回すことだといえます。

このような真の経営課題の発見のために「企業変革支援プログラムVer.2」にてチェックする。翌年の「経営指針書」に反映し、内容の充実を図る。また真の経営課題の改善・改革から社員の成長を図り、会社を維持・発展させる。このように活用ができると思います。