活動報告

AICL(仕事づくり研究会)12月10日

命と事業を守るために
―南海トラフ地震への備え

~独立技術士交流委員会との合同例会

毎年さまざまなテーマを高度な科学技術の観点から学ぶ

近い将来、巨大地震は高い確率で発生

毎年12月恒例のAICLとベテラン技術士で構成される独立技術士交流委員会の合同例会が、合わせて17名の参加で行われました。

今回は建築構造設計および工事監理を専門とする吉橋秀和技術士が、南海トラフ巨大地震の概要と、中小企業としてどう備えるかについて講演を行いました。吉橋氏はまず、南海トラフ地震のメカニズムと歴史を紹介。南海トラフ地震は東日本大震災と同じメカニズムの海溝型地震で、震源域は東海沖から四国沖までと長大です。

この海域では概ね数十年から200年間隔で巨大地震が発生しており、現在は最後に発生した昭和東南海地震(1944~1946年)から80年が経過、南海トラフ全域が連動した超巨大地震の宝永地震(1707年)からは300年以上が経過しています。

したがって近い将来に南海トラフ巨大地震が発生する確率は高く、昨年発表された最新の被害想定では、最大クラスの場合、死者約30万人、全壊・焼失棟数235万棟、避難者数1230万人、経済被害額270兆円と、きわめて甚大な被害が見込まれています。

リスクを見積もり、損害を減らす対策を

次に吉橋氏は企業として地震リスクをどう捉え、付き合うかについて述べました。

企業にとってのリスクの本質は、地震そのものよりも、経営資源の損失、信用喪失、顧客離れ、社員の安全・雇用維持の困難化、事業停止などであり、まさに経営維持そのものが危機となることにあります。

備えとしてはBCPを策定し、平常時から準備・訓練・教育を含め、どのような手順で緊急時対応を行うか決めておくことももちろん重要ですが、あわせて地震リスクマネジメント ー地震が確実に起きることを前提に、損害を拡大する原因をできるだけ取り除くー が重要です。具体的には施設の改修・補強、設備機能の冗長性確保、防消火設備の増強、バックアップ機能の整備などがあります。

吉橋氏は中小企業の対策事例も紹介し、BCPは結果事象型でソフト面対策、地震リスクマネジメントは原因事象型でハード面対策であり、どちらかに偏重せずバランスよく使いこなすことが重要であるとまとめました。