活動報告

【連載 第2季】通算第12回/我が社と労使関係

長年の経営実践は確かに根付いていた

三井 哲司氏  (株)三井酢店

三井 哲司氏
三井 哲司氏

2025年度に「『労使見解』50年」の特集企画として連載した「我が社と労使関係」を、このたび連載続行することとなりました。再開第1回は、広報部長の三井哲司氏です。

私は2000年に愛知同友会へ入会しました。当時は経営指針成文化が同友会内で活発になってきていた時期で、私も先輩会員のアドバイスを受け、A4一枚の経営指針を作りました。しかし、当時自分1人で作成したこの経営指針はそのまま机の中にしまったままとなり、活かすことはありませんでした。

その後、同友会での学びにより、指針作成には社員を巻き込むべきであることに気づき、最初は幹部社員、次に中間管理職、そして一般社員にも参画してもらうようになりました。特に現場の社員の意見を取り入れるようになってからは変化が顕著となり、約5年をかけて指針を全社的に浸透させることができたと感じています。この間、指針を「絵に描いた餅」にしないため、半期と期末に社員に集まってもらい、1日をかけたミーティングを行ってきました。半期では目標の進捗確認と修正を行い、期末には1年を社員自らが振り返って来期の目標を設定します。こうして社員が当事者として指針に向き合う場を重ねてきましたが、「本当に浸透している」という実感は、なかなか得られないままでいました。

『労使見解』の学ぶべき点も、意識して取り入れるようになりました。「経営姿勢の確立」の点では、決算時に利益を出せていたらこれを3等分し、社員へ特別賞与として還元、会社の負債返済、そして会社の未来への投資に充てることとして、このことを決算時と指針作成時に必ず説明しています。利益は社員たちの頑張りの結果だから社員に還元すべきであるし、会社の安定的な発展のためにも使うべきだと話しています。

また、「どんな会社にしたいか」については、「社員の皆さんが自分の大切な子どもを入社させたいと思える会社」をめざしていると説明しています。そのような会社は安定・継続して発展し、社員も成長でき、将来を築けていけると実感できるはずだからです。そんな社員たちは私にとって「かけがえのないパートナー」だと考えています。

こうして社員と一緒に愚直に実践してきた中で、ある日突然、会社存続の危機に陥りました。ある事件との遭遇により、社長である私がしばらくの間、会社を不在にせざるを得ない事態が発生したのです。これには私自身も不安でしたし、「うちの会社はどうなるのか」と不安になった社員もいました。得意先にも多大な心配をかけました。

しかし、結果として私の約20日間の不在の間、社員は誰1人退職することなく、通常通りの業務を続けてくれていました。取引先も、社員たちの落ち着いた姿勢を見て、不安を持つことなく取引を継続してくださいました。

私は社員たちに改めて感謝するとともに、『労使見解』に基づく経営指針に沿った長年の経営実践が確かに根付いていたことを実感しました。すぐには成果が見えないことも多い。それでも、地道に継続的に学んだことを実践し続けることが社業の発展につながると確信し、今後も実践していく決意です。