【概況】
【業況判断】 今月の状況、大幅に改善
【売上高】【経常利益】 売上高・経常利益ともに次期見通しで悪化
【在庫】 横ばいで推移
【価格変動】【取引条件】 価格変動、前年同月比・次期見通しともに建設業で「上昇」超過に
【資金繰り】 次期見通し、建設業で大幅に悪化
【設備過不足】【施設稼働率】 設備過不足、製造業で4期連続「不足」超過幅増大
【雇用】 回答企業の約半数が「不足」と感じる
【経営上の力点など】 問題点で「従業員の不足」がトップ
<会員の声>
DI値推移一覧表(PDF 29.4KB)
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景況調査報告(2005年11月)第48号(PDF:1.06MB)
【概況】
「よい」と回答した企業から「悪い」と回答した企業を差し引いた業況判断DI(今月の状況)は前回調査の16から29となり13ポイントもの大幅な改善となりました。これは「よい」と回答した企業が6%増加したことに加え、「悪い」と回答した企業が7%減少したことによります。業種別でみても、全業種でDIが25を超えており、全体的に好調であることがうかがえます。また3ヶ月後の次期見通しは前回の32から24と8ポイントの悪化となっていますが、相変わらず高い水準で推移しており、今しばらくはこの好調さが持続するとみる企業が多いようです。 ヒアリング調査では今回の改善を裏付ける要因として2つ指摘されました。一つ目は建設業における堅調な分譲マンションと戸建の建設です。二つ目はトヨタ自動車の好調さです。これらは2003年11月期の調査から続く今回の愛知経済の好景気を支え続けており、また先の見通しに関してもしばらくはこの状態が続くという意見が大半でした。 しかしながら、これらの要因によって仕事の量は減らなくても、それに見合う利益が得られるかどうかという事に関しては悲観的な声も多く聞かれました。というのも、すべての業種において人材不足が大きな問題として挙げられたほか、未だに止まらない原材料価格の上昇が利益を圧迫してしまうからです。さらに建設業に関しては原材料価格の上昇を製品価格に転嫁するどころか、マンション建設などが一部の地域に限られていることから企業間の競争が激しくなって単価が低下するという事態になっており、この状態が続けば経営は厳しくなるだろうとの指摘がありました。 また、今回の調査では二極化が際立ってきたとの意見もありました。以前からも業種間や製品間、企業間において格差があると指摘されていましたが、今回の好景気は裾野を徐々に広げているにもかかわらず、その格差を縮小させるようには作用せずに、むしろ最近では好景気の波にのる企業と取り残される企業との格差が一層はっきりしてきているようです。 全体としてみると、しばらくはこの状態が続くと予想されていますが、先行きに対する懸念材料は多々あります。先に挙げた原材料価格の上昇や人材不足などに加え、米国経済の動向もそのうちの一つです。なぜなら、現在の米国経済を支えている要因の一つに住宅価格の上昇による資産効果がありますが、近頃、その伸びが鈍化しつつあるからです。また国内に目を移せば、来年から始まる定率減税の縮小・廃止や日銀が実施時期を模索している量的緩和政策の転換など日本経済に対してマイナスの影響を及ぼすものも決して少なくありません。マクロ情勢への目配りを怠るわけにはいかないようです。
[調査要項]
1.調査時 2005年11月21日~11月29日
2.対象企業 愛知中小企業家同友会、会員企業
3.調査方法 調査書を電子メール、FAXで発送、自計記入、インターネット専用サイト、FAXで回収
4.回答企業 2,266社より、526社の回答をえた(回収率23.2%)
(建設業83社、製造業177社、流通149社、サービス業117社)
5.平均従業員 36.1人(中央値 14.0人)
なお、本報告は愛知中小企業家同友会経営環境調査委員会(委員長、藤田彰男・赤津機械(株)社長)が実施した調査結果をもとに、景況分析会議(座長、山口義行・立教大学経済学部教授)での検討を経てなされたものである。
【業況判断】
今月の状況、大幅に改善
「今月の状況」DIは前回の16から13ポイント改善して29となった。業種別では前回調査に比べて変化がないサービス業(26)を除き、建設業が20から35と15ポイント、製造業が16から29へと13ポイント、流通業が9から26へと17ポイント、それぞれ大きく改善した。前年同月比は前回の7からわずかに改善して8となった。業種別では、流通業が△6から13ポイント改善して7とり再び「好転」超過に転じた。他方、建設業(21→8)、製造業(10→9)サービス業(11→9)では悪化がみられた。3ヵ月後の次期見通しは前回の32から24となり8ポイントの悪化となった。業種別で見ても、建設業(29→16)、製造業(42→31)、流通業(26→22)、サービス業(26→21)と4業種そろって見通しを悪化させた。
【売上高】【経常利益】
売上高・経常利益ともに次期見通しで悪化
売上高DI(前年同月比)は前回の12から3ポイント悪化して9となった。これで2期連続の悪化である。業種別では、建設業が10から12と2ポイント、流通業が9から10と1ポイントそれぞれ小幅ながら改善したのに対し、製造業が13から11と2ポイント、サービス業が17から2と15ポイント悪化した。次期見通しも前回の20から12ポイント悪化して8となった。業種別では、建設業が20から△10と30ポイント、製造業が27から13と14ポイント、流通業が24から13と11ポイントと、それぞれ見通しを悪化させた。とりわけ建設業の悪化は著しく、2003年11月以来の「減少」見通し超過となったが、これは季節的な要因もあると思われる。サービス業(5)は前回調査から変化がない。
経常利益DI(今月の状況)は前回調査の24から27となり3ポイント改善した。業種別では製造業(18→31)、流通業(26→30)で改善が見られたのに対し、建設業(22→18)、サービス業(31→23)では悪化した。前年同月比は前回(8)から1ポイント改善し9となった。業種別で見ると、建設業(9→5)とサービス業(14→9)は悪化したが、製造業(9→13)・流通業(2→7)は改善した。次期見通しは前回調査の32から17となり15ポイント悪化した。業種別で見ても、建設業が19ポイント(23→4)、製造業が17ポイント(38→21)、流通業が9ポイント(35→26)、サービス業が15ポイント(24→9)と4業種すべてにおいて「赤字」と見通す企業が増大した。
【在庫】
横ばいで推移
今月の状況DIは前回調査から変化なく15であった。業種別でも建設業が前回調査(14)と変わらず、流通業は16→18と小幅な「過剰」超過幅の拡大にとどまった。前年同月比も前回の4から3となり、ほぼ横ばいで推移している。業種別では製造業が前回の1から△2と「減少」超過に転じたが、反対に流通業では7→12と「増加」超過幅が拡大した。次期見通しは前回の10から2ポイント「過剰」見通しの超過幅が縮小して8となった。業種別では製造業(6→7)が「過剰」見通しの超過幅を拡大させたのに対し、流通業(15→10)はその超過幅を縮小させた。
【価格変動】【取引条件】
価格変動、前年同月比・次期見通しともに建設業で「上昇」超過に
価格変動DI(前年同月比)は前回の△10から△2と8ポイント「低下」超過幅が縮小した。業種別で見ると製造業(△18→△5)とサービス業(△18→△11)で「低下」超過幅が縮小したが、建設業では△7から10となり「上昇」超過へと転じた。流通業は3期連続で変化なく、2であった。次期見通しは前回調査の△4から1ポイント「低下」見通しの超過幅が縮小して△3となった。業種別でも製造業(△8→△7)・サービス業(△13→△10)において「低下」見通しの超過幅縮小がみられたが、建設業では2から11と9ポイント「上昇」超過幅が拡大した。流通業は前回調査と変わらず2であった。 取引条件DI(前年同月比)は前回の△8から1ポイント「悪化」超過幅が縮小して△7となった。業種別でも建設業(△8→△5)・流通業(△13→△8)・サービス業(△9→△6)では「悪化」超過幅の縮小が見られたが、製造業(△4→△6)だけは逆の動きとなった。次期見通しは前回調査の△6から△7とわずかな「悪化」見通しの超過幅が拡大にとどまり、2004年8月調査以来ほとんど変化がみられない。業種別では建設業(△4→△12)と製造業(△4→△8)において「悪化」を予想する企業が増大したが、流通業とサービス業はともに△9→△5となり「悪化」見通しの超過幅が縮小した。
【資金繰り】
次期見通し、建設業で大幅に悪化
今月の状況DIは前回(△16)とほぼ変わりなく△17であった。業種別でみると、製造業では△11から△18となり7ポイント「窮屈」超過幅が拡大したが、反対に流通業(△13→△10)とサービス業(△20→△18)では「窮屈」超過幅が縮小した。建設業は前回調査(△23)と変わりなかった。次期見通しは前回調査の△12から8ポイント「窮屈」見通しの超過幅が拡大して△20となった。業種別でも建設業(△18→△34)、製造業(△8→△18)、流通業(△7→△12)、サービス業(△21→△22)と一様に「窮屈」になると予想する企業の割合が増大している。中でも大幅に予想を悪化させた建設業では「余裕」があると予想する企業が13ポイントも減少している。
【設備過不足】【施設稼働率】
設備過不足、製造業で4期連続「不足」超過幅増大
設備過不足DI(今月の状況)は前回の△19から△25となり6ポイント「不足」の超過幅が拡大した。業種別でも建設業が△13→△26と13ポイント、製造業が△25→△33と8ポイント、流通業が△16→△22と6ポイントそれぞれ「不足」超過幅を拡大させた。製造業では4期連続の「不足」超過幅拡大となった。他方、サービス業(△19→△16)は「不足」超過幅を縮小させた。次期見通しでも前回調査(△17)から5ポイント「不足」見通しの超過幅が拡大し、△22となった。業種別でみても建設業(△14→△25)・製造業(△25→△26)・流通業(△15→△18)・サービス業(△11→△17)と全業種で「不足」見通しの超過幅拡大が見られた。 設備稼働率DI(前年同月比)は前回の4から5となり、わずかであるが「上昇」超過幅が拡大した。業種別でみると製造業でも4→6となり2ポイント「上昇」超過幅が拡大したが、流通業では前回調査(5)と変わりがなかった。次期見通しは前回調査の13から7ポイント「上昇」見通しの超過幅が縮小して6となった。業種別でも製造業(18→6)・流通業(7→6)となり「上昇」見通しの超過幅が縮小した。
【雇用】
回答企業の約半数が「不足」と感じる
今月の状況DIは前回の△33から6ポイント「不足」超過幅が拡大して△39となり、回答企業の約半数が「不足」と答えた。業種別で見ても、建設業(△37→△49)・製造業(△31→△42)・流通業(△26→△35)においては「不足」超過幅が拡大している。反対にサービス業では△44から△33と11ポイントその超過幅を縮小させたが、それでも不足を感じている企業の割合は依然として高い。次期見通しにおいても前回(△33)から△39となり6ポイントの「不足」見通しの超過幅拡大となった。業種別でもサービス業だけが△40から△34と6ポイント「不足」見通しの幅を縮小させたが、建設業(△45→△46)・製造業(△34→△41)・流通業(△21→△37)では「不足」見通しの超過幅が拡大しており、いましばらくは雇用不足が解消されないと予想している企業が多いようである。
【経営上の力点など】
問題点で「従業員の不足」がトップ
全業種でみた「経営上の問題点」は「従業員の不足」(30%)が第1位であった。以下は第2位が「仕入単価の上昇」(27%)、第3位が「販売先からの値下要請」(25%)となっている。業種別では建設業の第2位に「下請業者の確保難」(27%)、製造業の第3位に「熟練技術者の確保難」(29%)となったことが特徴的であった。また、文書回答では「税制の変更」への対応や長期的な経営戦略などが挙げられた。 「経営上の力点」では3期連続で「新規受注(顧客)の確保」(55%)が全業種における第1位となっている。それに次いで「付加価値の増大」(54%)が第2位、「社員教育」(34%)が第3位となった。業種別でみると特徴的なのは、建設業と製造業で「財務体質の強化」(ともに25%)が第5位に挙げられていることである。文書回答では、「新規事業所の開設」や「仕入ルートの拡大」などが指摘された。
<会員の声(業種別)>
(1)建設業
●建設業の業況判断は、今月の状況DIが20から35と15ポイント改善しましたが、前年同月比は21から8と13ポイント悪化、次期見通しも29から16と13ポイント悪化しています。しかし、建設業では秋から年末にかけて良く、年明けに悪化するのは毎年のことで、いわば季節要因と言えます。また、前年同月比が悪化しているのは、前年同月の状況が45ポイントと過去最高を記録していますので、それに比べれば悪化しているのは当然と言えます。人手の不足、設備の不足、資金繰りの窮屈感など、相変わらず続いていることがデータ的にも、会員の声からもうかがえます。経常利益の推移はどのデータも下がっていますので、原材料の値上げなどにより利益は出にくくなっているものの、今しばらくこの忙しさは続くものと思われます。(事務局・山田)
1.総合建設業
・近年来の建設不況により労務者の職種転換が進み、作業員が確保しづらい状況になっている。(A社)
・仕事は多いが受注しても仕事がこなせないので困っている。(B社)
・仕事が名古屋方面に集中しているような感がある。公共事業の削減による影響が大きい。地元の中小ゼネコン(当社のお客様)に仕事が無く(少なく)大手ゼネコンには仕事があるという現状。(C社)
2.リフォーム・エクステリア
・リフォーム需要が減ってきている感がある。従ってピークかなと思い今後は弱めの判断をしている。人手は足りないなりに、協力してもらって何とかやっている。しかし今後は自社の経営指針がしっかりしていないとやっていけないと思う。(D社)
・全体の着工棟数は確実に落ちている。ただしこの間に変な業者は淘汰されたので、当社は10%アップ。一般からの仕事が半分と、ハウスメーカーからの紹介が半分だが、ハウスメーカーを見るとローコストは苦戦し、高級なものを扱っているところは伸びている。長い目で見れば先細りの業界なので人材のレベルアップが課題だと考えている。(E社)
3.電気工事業
・銅の値上がりにより電線の太いのがまったくない。しかし契約は12ヶ月前に済んでいるため材料費が上がっても転嫁できない。職人がいない。10月くらいからマンション関係の見積もりが多い。ただし値段は安い。見積もりが多いということは仕事のピークはまだ先ではないか。(F社)
・仕事量を考えて受注しないと、人の手配がつかない状況(業界全体が人手不足)。(G社)
4.鉄筋工事
・長い間、「コストダウン」という言葉に踊らされてきた建設業界。その結果としてか、その代償としてか、技能・技術者を育成できず、人手不足(職人)で工期が間に合わないゼネコンも多数発生して来た。淘汰は未だ続く中で、最近マスコミを賑わしている構造設計事務所までもが踊らされていとは全くの驚きである。今後は「適正」という言葉を意識しなければならない建設業界に変身する必要があると考える。(H社)
5.住宅設備販売
・現在の仕事量も今後の見積もりも多い(ただし相見積もりも多い)が、売上が伸びない。国家有資格者で不正が発覚し、社会問題になっている。私としては、成るべき事が起きたと思っている。なぜなら、市場価格が、必要不可欠な所まで要求されているので自分の生活を守るために、やってはいけない事に手をつけたと思う。(I社)
・今は業界全体が、忙しいので好調だが、いつまで続くかという不安もある。景気に左右されない独自のものが必要。(J社)
6.型枠・木工事
・建設業は最近ミニバブルと言われているが、当社はまだそこまで来ていない状態。年明け3月頃より、また値下げ要請が来そうな気配があり心配。また4月以降の仕事量も不安がある。(K社)
(2)製造業
●製造業の各DI値は次の通りです。業況:「今月の状況」16→29(13ポイント↑)、「前年比」10→9、「次期見通し」42→31(11ポイント↓)。売上:「前年比」13→11、「次期見通し」27→13(14ポイント↓)。経常利益:「今月の状況」18→31(13ポイント↑)、「前年比」9→13、「次期見通し」38→21(17ポイント↓)。前期予想どおりに「今月の状況」は良いとする企業が多く、次期見通しについては全て低下、ジグザグ模様が続いています。3期連続低下してきた経常利益DI値が今期のみ31ポイントと大幅上昇し、次期は21ポイントと前期並に戻る数値となっています。
「人手不足」のかなり深刻な状況が聞かれる中で、経営上の問題点の1・2・5位には価格要因が上がってきています。文章回答でも、取引関係における中小企業の利益圧迫問題を切々と訴えるものが目立ちます。
生産財分野に改善状況が拡がっていますが、依然、消費財分野は厳しく、二極化は一層進行しているといえます。また、2005中小企業白書で「リスクをとるのは誰か」と衝撃的な見出しでまとめられていましたが、設備投資判断が極めて難しい状況に立たされる中、「投資を行わなければ勝っていけない」という事実に迫られているようです。一方で設備投資のピークアウトも指摘されています。どのように工夫し、方向進路をとるか。経営上の力点5位に「財務体質の強化」があがっているのも、それを要因として考えられます。(事務局・加藤)
1.繊維関連
・絶対的な仕事量の低下で倒産や廃業がますます増加する。分業のため最終製品になるまでに数社の工程を経てくる業種であるが、空洞化の拍車がとまらず、結果として「モノのつくれない国」となり、国力低下の要因となる。国の制度融資や支援事業は、ある程度の規模がないと活用できないのが現状。本当に技術を持っているのは、町工場や中小零細企業であり、そういう会社が活用できるような制度ができることを期待したい。(A社)
2.食品関連
・受注はあるが低単価で利益確保できない。主原料の大豆は一昨年の3倍となっており、生産しない方が良い状態。大手のみならず、中小を含めた量販店(食品スーパー)の激烈な価格競争はとまるところを知らない。景気の大幅回復が喧伝されているが、実情はまったく逆である。(B社)
3.印刷関連
・自社は独自技術と営業方針で健闘中であるが、周囲を見回すと、景況感が良くなったとの報道は現実感からの乖離をより一層感じる。現状、底辺では悪い方向に向かっており、本当の意味では日本は破綻すると感じている。(C社)
4.自動車関連
・自動車部品の下請け受注は完全に過熱状況・しかし、人材難・原料高・製品単価低下などで「働けど働けど我が暮らし楽にならず」が続いている。この構図はいつか破綻を来たす思いがする。何故、大手メーカーだけが1兆円以上の純利益を上げ、それに携わる下請けが赤字なのか理解に苦しむ。単価の下げ過ぎとしか言いようがない。(D社)
・自動車関係の生産量は前年度より増加しているが、原材料関係(ゴム・樹脂)の仕入れコストの高騰がまだ続いており、その値上げを客先にお願いしてもなかなか認めてもらえない。自助努力を行ってはいるが、値上げ分には及ばずわが社の利益を圧迫している。今後も客先に要請を行っていく。(E社)
・製造業の受注単価は、最低のレベルになっており利益の上がらない、また上げられない状況にある。ここらで、選択と大改善が必要になってきている。(F社)
・新車が次々と立ち上がり忙しくなってくるが、品質・コスト・納期とも厳しくなり、きちんと生産を行わないと利益が確保できない。「数字が出てこなくなった」と言われるが、受注の急増に設備や冶具や人手計画などの社内体制が追いつかず人海戦術で大変厳しい状況。その肝心の人手においても、あらゆる手段を尽くしてもなかなか集まらず困っている。多忙とコスト高による利益圧迫があるが、今のうちに新しい柱を考えないといけない。そのための優秀な人材も欲しい。(G社)
・トヨタが九州の高卒採用を再開した。わが社は、北海道に求人活動を行おうと思っている。会員某社は、人手確保のため九州に工場を新設し増産体制をとるらしい。地元愛知では、人手も外注先も見つからず、東北方面へ仕事が流れている様子。外国人労働者が急増しているが、景気が冷えた場合の社会対応は大丈夫なのか、国内人材技術の空洞化も危惧している。(H社)
(3)流通業
●「業況判断」DI(以下全てDI値)の『今月の状況』は、14→24と改善しています。『前年同月比』は17→7と悪化。『次期見通し』は21→22とほぼ横ばいです。『今月の状況』の内容として、前回落ち込んだ「経常利益」が26→30、「資金繰り」が△13→△10と回復している他は全て悪化しているのに、『今月の状況』としては改善を示しています。『前年同月比』では、「施設稼働率」5→5と横ばいの他は全項目で改善しています。『次期見通し』では、「取引条件」△9→△5と小幅改善を示している他は全項目で悪化を予測しています。特に「売上高」24→13と「雇用状況」△21→△37が共に2桁の悪化を予測しています。『経営上の問題点』では「民需の停滞」が、33→24と、ここ5年間で始めて20台になりました。「従業員の不足」21→30が更に厳しくなり、「販売先からの値下げ要請」が23→23と横ばいなのに対して、前回下がった「仕入先からの値上げ要請」が、7→13と復活しています。「大企業の進出による競争の激化」も、15→19強まっています。『経営上の力点』では、他の項目がほぼ横並びに対して「社員教育」29→36が大きな伸びを示しています。
全体として、繊維・日用品・雑貨関連、食品関連、化学関連が厳しい戦いを継続しています。一方、高値を示す鋼材・石油などの資材関連で反転の兆しがあり、自動車関連では二分化が進んでいます。(事務局・服部)
1.ソフト関連
・仕事量としては増加傾向だが、人材不足により売上高に頭打ち。人材雇用の確保と、1~2年後の事業展開を考え人材育成が必要。構成比の変化やスピードに対してバランス感が必要。(A社)
2.運輸関連
・景気対策の施策が希薄になり、大手の動向を指標化される傾向と思われ、弱者切捨ての方向が強く感じられる。金融機関の姿勢が依然、護身に徹した様子で、監督庁のあり方に理解出来ないものが多分に感じられる。自主自立の体制構築を目標として鋭意努力中。(B社)
・原油高でトラックの軽油の値段が上がり(以前に比べ1リッター30円ぐらい)、以前に比べ仕事はあるが、単価が安く、いかに効率良くトラックを動かせるかに苦労している。(C社)
3.小売関連
・少子高齢化、個人情報保護法などでギフト市場は市場縮小。最大手のシャディがUCCの子会社になるなど業界の先が見えない状況。ネット市場でいかに景品ばかりでなくギフト需要、通販商材を売れるサイトを構築するかが生き残りのキーワードだと思って舵取りをしている。(G社)
4.食品関連
・老舗と言われる大手が破綻して業界の優劣が出てきた。その予備軍もあるので警戒が必要。トヨタ、万博、セントレア効果は一部だけ? 食品はあまり良くないと感じている。(I社)
・ディベロッパー企業の経営不振による店舗閉鎖・直営化が相次ぐ。経営不振をテナントや仕入・取引先へ転化し、その犠牲によって生き延びようとする傾向が顕著に現われて来た。不景気の最終段階か?業種間格差、企業間格差がますます広がってきた感じがする。(J社)
5.自動車関連
・引き続き好調を維持。機械工具は特殊品を中心に納期が長くなり供給に余裕がない。最大の課題は「人の確保」。絶対数が少ない上に、面接に来る人材の質が落ちている。(M社)
・設備需要は今後も高い状態で続き、従来の需要の様な急激な減少はないと思われる。加工分野で値上げが始まる可能性。機械部品関連では支払条件を改善したが回収が課題。(N社)
・ここ1、2ヶ月は目にみえての仕事量減少にその原因追求と対策に頭を悩ませている。私共の業界は一様に仕事が大幅に減っている危機にとても暗い状況である。(O社)
6.その他(鋼材卸)
・一昨年の後半、鋼材の高騰で、大手商社は海外のメーカーと契約を急いだ。それが今港に届き山積状態。一方、国内メーカーは生産調整に入り、発注の7~8割しか受け付けない。市中相場は4月から連続ダウン。物により、有無が歯抜け状態で見通しがつかない状態である。(L社)