景況調査

第47号-2005年8月
高位安定も3期連続悪化

【概況】
【業況判断】 今月の状況、悪化続く。次期見通しは改善
【売上高】【経常利益】 売上高、前年同月比は悪化するも見通しは明るい。経常利益、サービス業で大幅改善
【在庫】 流通業で過剰感弱まる
【価格変動】【取引条件】 価格変動、今月の状況で建設業が再び「低下」超過に。取引条件、流通業で大幅に悪化
【資金繰り】 次期見通し、3期連続で「窮屈」超過幅縮小
【設備過不足】【施設稼働率】 設備過不足、大きな変化なし。施設稼働率、2期連続の「上昇」超過幅縮小
【雇用】 サービス業で不足感高まる
【経営上の力点など】 問題点で「民間需要の停滞」トップに
<会員の声>
DI値推移一覧表(PDF)

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景況調査報告(2005年8月)第47号(PDF:1.01MB)


【概況】

 「よい」と回答した企業から「悪い」と回答した企業を差し引いた業況判断DI(今月の状況)は16となり、前回調査の18から2ポイント悪化しました。これで3期連続の悪化となります。反対に3ヵ月後の次期見通しは前回の25から32となり7ポイント改善しました。
 業況判断DIが3期連続で悪化したにもかかわらず、ヒアリング調査では業種を問わず忙しいとの意見が多くありました。これは依然として愛知経済が上位安定的に推移しているためと思われます。そしてその要因としてはこれまでと同様に、建設業においては分譲マンションなどの民需、製造業では自動車業界の設備投資が挙げられました。さらにこれまで建設業や製造業と比べて目立たなかった流通業も、製造業の好調さに牽引されて自動車関連企業が忙しいとの声がありました。またサービス業に関しては万博の恩恵を受けて好調であるとのことでした。
 このような現在の状況を未だ踊り場にあってこれから景気は上昇するとみるのか、もしくはすでにピークを過ぎているとみるのかを見極めることが重要になります。現在好調な建設業や自動車関連企業ではいまだピークを過ぎてはおらず、しばらくは上昇が続くという意見が大半でした。しかし、原油・原材料価格の上昇による利益の圧迫や人材不足を指摘する声もあり、そうした指摘は今回の数値の悪化を裏付けるものだといえます。ただし上昇は初めからなく低下する一方だという企業も少なからずあり、光が当たっているのは一部に限られています。マンションの建設が都市部に集中しており周辺部では事情がまったく異なることも、こうした部分的活況を表わしているものと思われます。
 今回の好調はいましばらく続くというのが大方の予想であると思われます。しかし、当面の問題としての万博の終了だけでなく、長期的には自動車業界の成長限界という問題も見落とすわけにはいきません。特にサービス業は万博の恩恵に与るところが大きいことを考えると、その終了は少なからず負の影響をサービス業に与えることになります。また、米国経済の今後の動向も日本経済に大きな影響を与えます。中でも南部を襲ったハリケーン「カトリーナ」による被害が今後の米国経済、ひいては日本経済に対してどれほどの影響をもたらすかは未知数です。こうした海外要因を含めて経済の動向には一層の注意を払うことが必要となってきます。

[調査要項]
 1.調査時2005年8月22日~8月26日
 2.対象企業 愛知中小企業家同友会、会員企業
 3.調査方法 インターネット会員専用サイト「あいどる」とFAXを利用
 4.回答企業 2,262社より、528社の回答をえた(回収率23.3%)
  (建設業82社、製造業172社、流通164社、サービス業110社)
 5.平均従業員 37.0人(中央値 14.0人)
 なお、本報告は愛知中小企業家同友会・経営環境調査委員会(委員長、藤田彰男・赤津機械(株)社長)が実施した調査結果をもとに、景況分析会議(座長、山口義行・立教大学経済学部教授)での検討を経てなされたものである。

【業況判断】
今月の状況、悪化続く。次期見通しは改善

 「今月の状況」DIは前回調査の18から2ポイント悪化して、16となった。これで3期連続の悪化である。業種別では建設業が24から20と4ポイント、製造業が18から16と2ポイント、流通業が14から9と5ポイント悪化したのに対し、サービス業は19から26と7ポイント改善した。前年同月比は前回の18から11ポイント悪化して7となった。業種別では建設業(32→21)、製造業(18→10)、流通業(17→△6)が悪化したが、特に悪化が著しかった流通業は、2003年11月調査以来の悪化超過に転じた。ここでもサービス業のみが7から11と4ポイント改善している。3ヵ月後の次期見通しは前回の25から7ポイント改善して32となった。業種別で見ると、建設業だけが33から29と4ポイント見通しを悪化させたが、流通業が21から26と5ポイント、製造業では22から42と20ポイントの改善となり、製造業における回答企業の約半数が「よい」と見通した。サービス業は26で変化がなかった。

業況推移DIグラフ

業況推移DIグラフ
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【売上高】【経常利益】
売上高、前年同月比は悪化するも見通しは明るい。経常利益、サービス業で大幅改善

 売上高DI(前年同月比)は前回の16から4ポイント悪化して12となった。業種別では、建設業が26から10と16ポイント、流通業が16から9と7ポイント悪化させた。反対に、サービス業は11から17と6ポイント改善した。製造業は前回調査と変わらず13であった。次期見通しは前回の11から9ポイントも見通しが改善され20となっている。業種別では建設業(15→20)、製造業(13→27)、流通業(8→24)がそれぞれ強気な予想をしたが、サービス業だけが11から5と6ポイント悪化した。
 経常利益DI(今月の状況)は前回調査の26から24となり、小幅ながら悪化した。業種別では建設業(26→22)・製造業(20→18)がそれぞれ2ポイント、流通業(36→26)が10ポイント悪化させたが、サービス業だけが17から14ポイントも大幅に改善し31となった。前年同月比は前回の16から8ポイント悪化して8となった。業種別では前回調査と変わらなかったサービス業(14)を除いた3業種が建設業(21→9)、製造業(17→9)、流通業(14→2)とそれぞれその数値を悪化させた。次期見通しは前回の21から11ポイント見通しが改善され32となった。業種別でも建設業(22→23)、製造業(21→38)、流通業(27→35)、サービス業(12→24)と全業種で見通しの改善が見られた。特に改善が著しい製造業では回答企業の5割が「黒字」と予想している。

売上高推移DIグラフ

売上高推移DIグラフ
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経常利益推移DIグラフ

経常利益推移DIグラフ
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【在庫】
流通業で過剰感弱まる

 今月の状況DIは前回の17から15と2ポイント「過剰」超過幅が縮小した。業種別では流通業が27から16と9ポイント「過剰」超過幅が縮小したのに対して、製造業は9から14と5ポイント拡大した。前年同月比は前回調査の5から4とわずかながら「増加」超過幅が縮小した。業種別では流通業が16から7と9ポイント「増加」超過幅が縮小したが、製造業では△3から1となり3期ぶりに「増加」超過に転じた。次期見通しは前回の5から10と5ポイント「過剰」の見通し超過幅が拡大した。業種別でも製造業(△1→6)、流通業(14→15)となっている。

【価格変動】【取引条件】
価格変動、今月の状況で建設業が再び「低下」超過に。取引条件、流通業で大幅に悪化

 価格変動DI(前年同月比)は前回調査の△5から△10と5ポイント「低下」超過幅が拡大した。業種別にみると、建設業は前回調査で「上昇」超過に転じたが、今回では10から△7となり再び「低下」超過となった。また製造業は△13から△18となり5ポイント「低下」超過幅が拡大した。流通業(2)とサービス業(△18)は前回調査と比べ変化がなかった。次期見通しでは前回の△3から1ポイント「低下」見通し超過幅が拡大して△4となった。業種別では建設業が7から2と5ポイント「上昇」見通し超過幅が縮小したのに対し、流通業は0から2と2ポイントその幅を拡大させた。また製造業は△6から△8と2ポイント「低下」見通し超過幅が拡大したのに対し、サービス業は△15から△13と2ポイントその幅を縮小させた。
 取引条件DI(前年同月比)は前回調査の△4から△8と4ポイント「悪化」超過幅が拡大した。業種別では建設業(△4→△8)・流通業(△1→△13)・サービス業(△5→△9)が「悪化」超過幅を拡大させたのに対し、製造業だけが△7から△4と3ポイントその幅を縮小させた。次期見通しは前回調査と同じ△6であった。業種別で見ると、建設業も前回と変わらず△4であったが、製造業(△7→△4)では「悪化」見通し超過幅が縮小したのに対し、流通業(△4→△9)・サービス業(△6→△9)ではその超過幅が拡大した。

【資金繰り】
次期見通し、3期連続で「窮屈」超過幅縮小

 資金繰りDI(今月の状況)は前回調査の△11から△16と5ポイント「窮屈」超過幅が拡大した。業種別で見ると、流通業(△9→△13)・サービス業(△1→△20)では「窮屈」超過幅が拡大した。サービス業におけるこの著しい変化は「余裕」と回答した企業の減少によるところが大きい。反対に製造業(△13→△11)では「窮屈」超過幅が縮小した。建設業では△23で前回と変わりがなかった。次期見通しでは前回の△14から2ポイント「窮屈」見通しの超過幅が縮小して△12となった。これで3期連続の「窮屈」見通し超過幅の縮小である。業種別では建設業(△20→△18)・製造業(△15→△8)・流通業(△14→△7)で「窮屈」見通し超過幅が縮小した。サービス業だけが△9から△21と12ポイントも大幅にその超過幅を拡大させた。

【設備過不足】【施設稼働率】
設備過不足、大きな変化なし。施設稼働率、2期連続の「上昇」超過幅縮小

 設備過不足DI(今月の状況)は前回の△17から△19と2ポイント「不足」超過幅が拡大した。業種別で見ると、製造業(△22→△25)・流通業(△13→△16)・サービス業(△8→△19)で「不足」超過幅が拡大したのに対して、建設業(△22→△13)だけが「不足」超過幅を縮小させた。次期見通しは前回の△16からわずかに「不足」見通し超過幅が拡大して△17となった。業種別では製造業(△22→△25)・流通業(△13→△15)・サービス業(△8→△11)が「不足」見通しの超過幅を拡大させた。建設業は△18から△14と4ポイントその超過幅を縮小させた。
 設備稼働率(前年同月比)DIは前回の8から4となり4ポイント「上昇」超過幅が縮小した。これで2期連続の「上昇」超過幅の縮小である。業種別では製造業も9から4となり2期連続で「上昇」超過幅が縮小した。流通業(5)は前回に比べ変化がなかった。次期見通しは前回の8から5ポイント「上昇」見通し超過幅が拡大し、13となった。業種別でも製造業(12→18)・流通業(3→7)ともに「上昇」見通しの超過幅が拡大した。

【雇用】
サービス業で不足感高まる

 今月の状況DIは前回の△37から△33となり4ポイント「不足」超過幅が縮小した。しかしながら、「過剰」と答えた企業は7%強しかなく、人材の不足は大きな問題といえる。業種別では建設業(△45→△37)・流通業(△36→△26)において「不足」超過幅が縮小した。サービス業では△40から△44となり3期連続で「不足」超過幅が拡大した。製造業は△31で前回調査に比べ変化がなかった。次期見通しでは△35から△33となり2ポイント「不足」見通し超過幅が縮小した。業種別では建設業(△41→△45)・サービス業(△34→△40)が「不足」見通し超過幅を拡大させたが、流通業(△34→△21)ではその超過幅が大きく縮小した。製造業(△34)は前回から変化がなかった。

【経営上の力点など】
問題点で「民間需要の停滞」トップに

 全業種でみた「経営上の問題点」は「民間需要の停滞」が28%で第1位であった。次いで「仕入単価の上昇」(26%)、「従業員の不足」(25%)、「販売先からの値下要請」(24%)が続く。業種別で特徴的であったのは、サービス業で第2位が「新規参入者の増加」(32%)となったことである。文書回答では「取引先の海外生産加速」や「軽油の値上げ」などが指摘された。
 「経営上の力点」では第1位が「新規受注(顧客)の確保」(59%)となっている。以下、第2位「付加価値の増大」(58%)、第3位「社員教育」(33%)となっている。業種別で見ると、サービス業で第3位が「人材確保」(37%)、建設業で第5位が「新規事業の展開」(24%)となっていることが特徴的である。文書回答では「品質の維持・向上」などが挙げられている。

<会員の声(業種別)>

(1)製造業
●製造業の業況DIは、「今月の状況」で3期連続悪化、「前年同月比」は一進一退、「次期見通し」は大きく改善数値を示しています(各DI値=18→16、18→10、22→42)。売上DIは一進一退で徐々に下降(前年比13→13、次期13→27)、経常利益「今月の状況」DIでは04年5月をピークに下降を示しています(今月20→18、前年比17→9、次期21→38)。
「概況」の指摘どおり部分的活況の進行が見られます。経営上の問題点1位「仕入単価の上昇」2位「販売先からの値下要請」3位「民間需要の停滞」であり、「従業員の不足」は4位となっています。業務過多を訴える自動車・機械関連とは違い、内需型生活関連製造業では全般的傾向として思わしくなく、利益圧迫要因は進行しているといえます。(事務局・加藤)

1.食品関係
・食品加工業では、安心・安全のための施設および設備の改善要求が多くなってきた。(A社)
・HACCP対応で一工程4千万円の設備投資をし、トレーサビリティ管理費も増加。小売競争激化で最新設備への入替要求が強まり、大手資本との狭間で経営の舵取りが益々難しくなってきている。(B社)
2.印刷関連
・原油高で紙、版材の値段が上がった。値上げ要請をしないとやっていけない。「名古屋は好調」とのうわさで大手、中堅が「名古屋支店」を展開してきているが、実際はそれほど仕事はない。限られたパイの取り合い状態。価格破壊による同業者の足の引っ張り合いがある。(C社)
3.医療用品関連
・売上高の増加は望めないが、輸入商品や他社商品の比率を下げ自社製造商品の販売を強化することで、粗利の向上が明確化してきた。売上高重視よりも利益重視に向けることが、自社の得意分野をさらに伸ばすことになる。(D社)
4.窯業関連
・瓦業界では、当地域で1年に3件の中堅窯元が倒産。瓦1枚の単価が上がらなく重油などが倍になって苦しい。また、設備の老朽化も目立ってきている。三州瓦は、現在は月産4800万枚で、いぶし瓦、陶器和瓦、陶器平板等の種類を生産している。(E社)
5.自動車関連
・原油価格高騰が原価に影響を与えている。1年で10%値上率の消耗品(製造)が出ている。2008年の見通しが全く読めない。(F社)
・三河方面の量産部品メーカーで、利益が上昇しているところは稀。設備関係は比較的好調。増産要請に対して設備不足で対応に苦慮。増設には土地・建物から検討が必要だが、将来の不安があり踏み切れない。機械の期間リースや勤務の2直化などの対応も出てきている。(G社、H社)

(2)建設業
●建設業の今月の状況DIは、24から20と4ポイント悪化、前年同月比も32→21と11ポイント、次期見通しも他の業種と違い33→29と4ポイントとすべて悪化を示しています。ところが、売上高DIの前年同月比は、26→10と16ポイント悪化を示していますが、次期見通しでは、15→20と5ポイント改善を示しています。また経常利益DIも前年同月比は21→9と12ポイント悪化しましたが、次期見通しは22→23と1ポイントの改善が見られます。
ヒアリングの結果では、地域間格差があり、都心部・特に地下鉄東山線沿線で千種から名古屋駅までの間はマンション建設の着工率が高く、それに関わっている業者はバブル以上に忙しいということです。このように地域間格差が企業間格差となって、全体としての傾向が表れにくくなっているのではないでしょうか。ただ前回も指摘しましたが「人手不足」は全体としての傾向で、雇用についてのDIは、今月の状況で△45→△37と若干改善されたように見えますが、次期見通しは△41→△45と更に厳しくなることが予測されています。(事務局・山田)

1.総合建設業
・非常に忙しい。来年の2月まで、どうやって仕事をこなそうかと悩んでいる。いつもなら11月に職人の確保にかかるのだが、今から取り合いになっている。仕事は民間のマンションが多く、いま街中の空き地には必ずと言って良いくらいマンションが建ちはじめている。公共工事はほとんど無い。あるのは耐震工事だけ。新築は名古屋市では年間で一棟くらい。建て替えは計画的にやらざるを得ないのでいくつかは出ている。(A社)
・建設業関係の仕事は職種によって異なるが、仕事量は増えてきてると思う。しかし人材(職人)の減少や労務賃金上昇により利益が下がり労務費が吊り上る最悪のケースになってきている。(B社)
・人材確保が非常に困難。(C社)
2.電気工事
・とにかく忙しい。職人の引っ張り合い。見積もりもひっきりなし。しかし価格は上がらない。職人がいないと思ったら、非常に安い値段で大手流通会社の仕事をやっていたという事実もある。この春電財の各メーカーが一斉に値上げしたが、M社以外は値引き幅も大きくなり、実質はあまり変わっていない。公共工事は学校の耐震工事に関するものが多い。(D社)
・仕事が土・日曜日に集中する(人手不足)。下請業者の確保難。(E社)
・仕事はあるが、下請け確保が非常に困難。(F社)
3.土木、舗装、コンクリート工事
・原油高による材料代、燃料費にかかる費用の増大に伴う対策が急務。(受注先との単価交渉等の)熟練工の年齢が高くなっていくに伴って次世代の物への引き継ぎができる対象となる人材確保が困難になっている。 工事量的には、今のところ問題ないが、今後の人材確保や特に原油高に伴う負荷等に左右されない新規事業やコストのなるべく少なくすむ(今より) 事業を模索しながら、本業の維持、充実をはかっていく。(G社)
・土木が主流だが、官公需要は減り民間需要が増えている。(H社)
・業界全体のレベルが低く、価格下落、高齢化等さまざまな問題点があるが、最近では、プロ意識のある業者と、あいかわらずの30年前の商売根性でいる業者との、分化がはっきりとしてきている傾向にある。(I社)
4.住宅、店舗、新築・リフォーム
・平成17年の新設住宅着工戸数について、愛知県についてみてみると、半期で全体では37714戸で前年比109.4%増だが、我々の中心事業である持家の動向をみると、11、159戸ということで同92.4%と減ってきている。その数字以上に、当社では引き合いが減少している。同業者の話でも、共通している。今、改めて新規引き合い営業の強化をせねばと、強く思っている。(J社)
・建設業界としては需要もあり、よい流れになっているのではないか。ただし、価格の上昇は当面望めないのではないか。(K社)

(3)流通業
●流通業の業況DIは、「今月の状況」で2期連続大幅悪化、「前年同月比」は大幅下降、「次期見通し」は少し改善数値を示しています(各DI値=14→9、17→△6、21→26)。売上DIは一進一退(前年比16→9、次期8→24)、経常利益「今月の状況」DIは一進一退しています(今月36→26、前年比17→2、次期27→35)。
流通業界も、車関係とその他に二分される状況です。好調な車関係では、円高が懸念されます。人手不足は相変わらずですが、不況の中で人件費コストを押さえつづけた業界において特に深刻です。経営上の問題点1位「民需の停滞」2位「仕入れ単価の上昇」3位「値下げ要請」であり、「従業員の不足」は4位となっています。経営上の力点1位「付加価値の増大」2位「新規の確保」がともに58.5%と56.1%、3位の「社員共育」28.7%を大きく引き離し、売上・利益の確保を第一にしなければならない状況です。それだけに、分析と舵取りに集中することが求められています。(事務局・服部)

1.機械・設備関連
・自動車関係は相変わらず好調。商品の納期が逼迫し、間に合わせることにかなり時間、手間をとられる状況。半導体関係は一服状況は変わらず。ただし、先行きの話はそれなりにある。来年は今年よりも増える感じあり。原材料の値上がりによる製品の値上げの話がちらほら出てきています。(A社)
・一過性のITと比べると、車関係の設備は長期にわたるので好調は来年も続きそう。ITも関東方面での動きあり。元の切上げは目下影響なし。恐いのは円高、アメリカの動きは微妙に心配です。(B社)
2.運輸・通信関連
・車の好景気に支えられ受注はあるが燃料費の高騰で現段階で1ヶ月360~400万円のコストアップ、高速道路の早朝深夜割引で150万円位が還元して、何とか持ちこたえている状況です。荷主に転嫁するのも大変厳しく、今期のままいくと経常利益の確保が危ぶまれる状況です(D社)
3.繊維関連
・クールビズでネクタイメーカーは元気なく、シャツメーカーは元気。ブームや景気に左右されず自社の強みを明確にしロイヤルカスタマー(超高級客)を増やす勝組(デパートや小売屋)がいます。(D社)
4.食品関連
・巨大スーパーの乱立、ディベロッパーの直販化で、店内競合激化等→客割れ現象→売上低下→経営環境の悪化が急速に進行。小売部門の売上向上は期待できない。よほどの自助努力が必要であり、量的拡大か?質的向上か?その両ねらいか?そのバランスは?等々、課題は山積しています。(E社)
5.石油・化学薬品関連
・原油高がこれほど続くとガソリン需要が減気になり販売価格に転嫁が難しくなった。マ-ジン減。しかし元売は確実に値上し空前の利益UP。供給構造の変化が進み、上流部門のみが儲かるしくみになってきた。ほかの素材産業も同じだと思います。人材不足甚だしい。募集コスト増も頭が痛いです。(G社)