【売上高】・【経常利益】 売上高・経常利益、ともにほとんど変化みられず
【取引条件】 小幅な動きにとどまるも、長期的には好転傾向続く
【資金繰り】 建設・サービスは「窮屈」超過幅拡大、製造・流通は縮小
【設備過不足】・【施設稼働率】
設備過不足、全業種で「不足」超過幅縮小
施設稼働率、今月の状況は「低下」超過幅拡大も、見通しは「上昇」超過に
【価格変動】
仕入価格、わずかな動きながら「上昇」超過幅の縮小続く
販売価格、横ばいで推移
【経営上の力点など】 経営上の問題点、第1位は断トツで「従業員の不足」
※全文のPDFファイルはこちら
景況調査報告(2015年5月)第86号(PDF:1.32MB)
【概況】
業況が「よい」と回答した企業から「悪い」と回答した企業を差し引いた業況判断DI(今月の状況)は前回調査の25から4ポイント悪化して21となりました。前回調査では次期見通しが19から26と大きく改善したにもかかわらず、予測は裏切られて1年ぶりの悪化となりました。ただし、前年同月比は前回の4から7、3ヶ月先の次期見通しは26から28となり、ともに改善となりました。
ヒアリング調査では、明暗入り混じる話が聞かれました。建設業では「今月の状況」DIが大きく悪化しましたが、忙しさは継続しているようで、その要因として官需では小中学校のクーラー設置工事、民需では分譲マンションなどの建設が堅調であることが挙げられました。しかしながら、民需は地域間で繁閑の差があることに加え、住宅着工数はいまだ消費増税後に落ち込んだ水準のまま推移していること、また設備が飽和しているため通信工事業の売上高が急減していることを指摘する声もあり、建設関連業界全体が良い状態にあるとは言えないようです。
製造業からは、工作機械関連が補助金の影響もあって活況であるとの意見がありました。また、自動車関連企業においては海外から仕事が戻ってきたという明るい話も出てきましたが、全体的には以前からの二極化がさらに進展しており、しかも経営状態が厳しい企業が次第に増えてきているようです。コストダウン要請のためにある程度の仕事量がないと利益を出せないことから、下位の下請け企業ほど上位の企業に仕事を吸い上げられてしまい、業績を悪化させているとのことでした。個人消費関連企業からは今回も特に明るい話は聞かれず、消費者に近い業種ほど状況は厳しくなっているようです。
このように愛知では足元の忙しさは続いており、このことが「今月の状況」DI値や「次期見通し」DI値の高さにつながっているようです。しかし、「今月の状況」DI値の1年ぶりの悪化に加え、これまで不足感の高まりが続いていた雇用や設備過不足のDI値も反転していること、また全国的に見ても鉱工業生産や消費支出の指数が低下傾向にあることなどから、今回の「悪化」が一時的な「足踏み」に終わらない可能性も推測されます。政府や経済メデイアの多くは依然として持続的な「回復」を強調していますが、今こそ、そうした論調に惑わされることなく、冷静かつ慎重に先行きを見通しながら企業経営を進めることが必要な局面だといえます。
[調査要項]
調査時 | 2015年5月18日~5月29日 |
---|---|
対象企業 | 愛知中小企業家同友会会員企業 |
調査方法 | 会員専用サイト「あいどる」(一部FAX)にて配信、自計記入、回収 |
回答企業 | 会員企業より1,410社の回答を得た。業種内訳は以下。 (建設業232社、製造業317社、流通業432社、サービス業429社) |
平均従業員 | 27.3名(中央値 8名) |
なお、本報告は愛知中小企業家同友会・経営環境調査委員会(委員長、太田厚・(株)太田電工社社長)が実施した調査結果をもとに、景況分析会議(座長、山口義行立教大学教授)での検討を経てなされたものです。
【業況判断】
今月の状況、1年ぶりの悪化
「今月の状況」DIは前回の25から4ポイント悪化して21となった。1年ぶりの悪化である。業種別で見ると、建設業が46から27と19ポイント、製造業が22から12と10ポイント悪化した。流通業は14から15、サービス業は28から30と横ばいでの推移となっている。前年同月比は前回の4から3ポイント改善して7となった。業種別でみると、流通業が△3から3と6ポイント、サービス業が13から17と4ポイント改善した。流通業は2014年2月調査以来の好転超過となった。建設業は11から8と3ポイント悪化した。製造業は△2から△1と横ばいで推移した。3ヶ月先の次期見通しは前回の26から28と高位ながら小幅な動きにとどまった。業種別では、建設業が33から40と7ポイント、流通業が18から24と6ポイント見通しを改善させた。反対にサービス業は34から27と7ポイント悪化したが、製造業は24から25と横ばいであった。
【売上高】・【経常利益】
売上高・経常利益、ともにほとんど変化みられず
売上高DI(前年同月比)は前回の7から9と横ばいで推移した。業種別で見ると、建設業は9から4と5ポイント悪化したが、流通業は0から3と3ポイント、サービス業は20から24と4ポイント改善した。製造業は0から△1とわずかな動きにとどまったが、2013年8月調査以来の「減少」超過となっている。次期見通しは前回の11から変化がなかった。業種別で見ると、建設業は14から16と小幅に変動しただけだったが、製造業では3から8、流通業では4から9とそれぞれ5ポイント見通しが改善した。サービス業だけは22から13と9ポイント悪化した。
経常利益DI(今月の状況)は前回調査の20から変化がなかった。これで2期連続の変化なしである。業種別で見ると、建設業が31から20と11ポイント、製造業は20から16と4ポイント悪化した。反対に流通業は6から14と8ポイント改善した。サービス業は29から30と横ばいでの推移となった。前年同月比も2から3と大きな変化はなかった。業種別では、建設業が0から△1、製造業が0から△3と「悪化」超過に転じた。建設業は約2年ぶりの「悪化」超過である。流通業は△3から0と3ポイント、サービス業が10から14と4ポイント改善した。次期見通しは前回の22から3ポイント悪化して19となった。業種別で見ると、製造業(17→18)・流通業(15→14)は横ばいだが、建設業は23から20と3ポイント、サービス業は33から23と10ポイント見通しを悪化させた。
【在庫感】
大きな動きなし
今月の状況DIは、前回調査の8から10と大きな動きは見られなかった。業種別で見ると、製造業は10から8と横ばいで推移したが、流通業は6から13と7ポイント「過剰」超過幅が拡大した。前年同月比は前回の2から5と3ポイント「増加」超過幅が拡大した。業種別では、ここでも製造業は5から7と横ばいで推移したが、流通業は△1から4となった。次期見通しも前回の4から5と横ばいでの推移となった。業種別では製造業(9→8)・流通業(0→2)とともにほとんど変化がなかった。
【取引条件】
小幅な動きにとどまるも、長期的には好転傾向続く
前年同月比DIは前回の△1から0と横ばいでの推移となった。毎回の調査では決して変動幅は大きくないが、傾向的には好転への動きが続いている。業種別では、建設業(5)が前回調査から変化はなく、流通業(△5→△3)・サービス業(△2→0)で横ばいでの推移となった。製造業(2→△1)はわずかながら3期ぶりに「悪化」超過に転じた。次期見通しも前回の1から0と横ばいで推移した。業種別では建設業(7→2)が5ポイント「好転」見通しの超過幅を縮小させたが、その他の製造業(0→△1)・流通業(△1→△1)・サービス業(2→1)は小さな変化にとどまったか、全く変化がなかった。
【資金繰り】
建設・サービスは「窮屈」超過幅拡大、製造・流通は縮小
今月の状況DIは前回の△25から△23と横ばいで推移した。業種別で見ると、建設業(△22→△26)・サービス業(△24→△27)で「窮屈」超過幅が拡大したが、製造業(△22→△17)・流通業(△29→△22)では縮小した。次期見通しも前回の△22から△24と大きな動きはなったが、業種別で見ると、建設業(△23→△27)・サービス業(△16→△25)での「窮屈」見通しの超過幅拡大、製造業(△24→△21)・流通業(△27→△24)での縮小と、今月の状況と同じ動きになっている。
【設備過不足】・【施設稼働率】
設備過不足、全業種で「不足」超過幅縮小
施設稼働率、今月の状況は「低下」超過幅拡大も、見通しは「上昇」超過に
設備過不足DI(今月の状況)は前回調査の△20から5ポイント「不足」超過幅が縮小して△15となった。業種別でも、建設業(△23→△15)・製造業(△22→△15)・流通業(△13→△10)・サービス業(△22→△19)と全業種で「不足」超過幅が縮小した。次期見通しも前回の△19から5ポイント「不足」超過幅が縮小して△14となった。業種別で見ると、横ばいで推移した流通業(△12→△10)を除いて、建設業(△20→△16)・製造業(△24→△15)・サービス業(△23→△15)の3業種で「不足」見通しの超過幅が縮小した。
施設稼働率DI(前年同月比)は前回調査の△3から△5とわずかながら「低下」超過幅が拡大した。これで2期連続の「低下」超過幅の拡大である。業種別で見ると、流通業(△7→△5)は横ばいで推移したが、製造業(1→△5)は2013年8月調査以来の「低下」超過に転じた。反対に次期見通しは前回の△1から1と3期ぶりに「上昇」見通し超過となった。業種別では製造業(4→5)・流通業(△6→△4)とともに大きな変化はなかった。
【雇用】
今月の状況、1年ぶりに「不足」超過幅縮小
今月の状況DIは前回の△46から8ポイント「不足」超過幅が縮小して38となった。縮小は1年ぶりのことである。業種別で見ると、建設業(△59→△52)・製造業(△39→△28)・流通業(△40→△37)。サービス業(△49→△39)と全業種で「不足」超過幅が縮小している。次期見通しも前回の△39から△36と3ポイント「不足」超過幅が縮小した。2期連続の縮小である。業種別では、製造業(△31→△26)・サービス業(△42→△36)で「不足」見通しの超過幅が縮小したが、建設業(△54→△53)・流通業(△35→△34)は横ばいで推移した。
【価格変動】
仕入価格、わずかな動きながら「上昇」超過幅の縮小続く
販売価格、横ばいで推移
仕入価格変動DI(今月の状況)は前回の37から36と横ばいでの推移となった。業種別で見ても、建設業(44→43)・製造業(41→39)・流通業(37→38)・サービス業(29→26)と大きな変化は見られない。とはいえこの1年を見ると、全業種で「上昇」超過幅は緩やかながら縮小傾向にある。前年同月比は前回の39から3ポイント「上昇」超過幅が縮小して36となった。業種別では、サービス業だけが30から23と7ポイント「上昇」超過幅を縮小させた。建設業(47→45)・製造業(49→46)は小幅な変化にとどまり、流通業(36)は前回から変化がなかった。次期見通しも、前回の30から3ポイント「上昇」見通しの超過幅が縮小して27となった。これで2期連続の縮小である。業種別で見ると、建設業(35→28)・サービス業(22→18)では「上昇」見通しの超過幅が縮小したが、製造業(33→31)・流通業(31→33)は横ばいで推移した。
販売価格変動DI(今月の状況)は前回の10から9と大きな変化はなかった。しかし、業種別でみると、建設業(15→8)は「上昇」超過幅が縮小したが、製造業(3→7)では拡大している。流通業(15→13)・サービス業(7→8)は横ばいでの推移となった。前年同月比も前回の12から11と大きな変化は見られない。業種別では製造業(6→10)で「上昇」超過幅が拡大したが、流通業(16→12)では縮小した。建設業(18→16)・サービス業(8→9)は大きく変化はしなかった。次期見通しも前回の6から7とわずかにしか変化しなかった。業種別では建設業(12→7)で「上昇」見通しの超過幅が縮小し、サービス業(3→6)では拡大した。製造業(2→4)・流通業(9→11)は横ばいで推移した。
【借入金利】
短期・長期ともに大きな変化なし
短期借入金利DIは前回調査の△5から△4と横ばいで推移した。業種別でみると、建設業(△9→△5)で「低下」超過幅が4ポイント縮小したが、その他の製造業(△7→△6)・流通業(△5→△4)・サービス業(△3→△2)は横ばいでの推移となっている。
長期借入金利DIも前回の△8から△7と横ばいでの推移となった。業種別で見ると、建設業(△6→△10)は「低下」見通しの超過幅を拡大させ、流通業(△9→△6)は縮小させた。製造業(△12→△11)・サービス業(△3→△4)は大きな変化はなかった。
【経営上の力点など】
経営上の問題点、第1位は断トツで「従業員の不足」
全業種で見た経営上の問題点は、「従業員の不足」(40%)が断トツの第1位となっている。それに「民間需要の停滞」と「人件費の増加」が同率(24%)で続いた。業種別で見て特徴があったのは、建設業で「下請業者の確保難」(38%)、製造業で「熟練技術者の確保難」(30%)、サービス業で「新規参入者の増加」(30%)がそれぞれ第2位になっていたことである。
全業種における経営上の力点は、前回と同じ順位で第1位「付加価値の増大」(59%)、第2位「新規受注(顧客)の確保」(55%)、第3位「人材確保」(32%)であった。
<会員の声(業種別)>
(1)建設業
●主要指標ではいずれも「今月の状況」で大きくポイントを下げ、季節要因を外した「前年同月比」においても少し下がりました。「次期見通し」は業況判断と売上高でやや上昇、経常利益はややダウンとなっています。特長的な指標としては、設備過不足の「今月の状況」が△23→△15、「次期見通し」△20→△16、雇用動向の「今月の状況」が△59→△52、「次期見通し」△54→△53に緩和傾向が見られます。仕入価格「今月の状況」では、46→44→43、「次期見通し」43→35→28と、水面上位にありながらも一旦の減速感が見られます。
輸出産業や株価上昇等で利益を得た高額所得者層に関連した動き、大手ディベロッパーなどの投資物件、自動車産業の内部留保を次代への投資にあてる建設需要など一部の動きが特徴的に見られるものの、建設需要全般の底堅い動向につながっているものとは言い難いようです。(事務局 加藤)
1.一般建築
- 分譲マンションや個人住宅も堅調だが大手ディベロッパーやハウスメーカーの独壇場であり、地元工務店や中小建設業は厳しい。投資物件やディベロッパーによる土地買い占めなどの動きが多い。
- 大手企業は良いが中小企業には新築物件需要が少なくリフォームや改修に参入せざるを得ない。職人不足は相変わらず続き、何とかやりくりして間に合わせているがお客様との板挟みでリスクが高い
- T車関連の技術開発部門の設備投資が動いている。製造ラインではなく技術開発部門に毎年1兆円投資との話だ。ラインの組み換えでT車の各工場も動き出している。
2.土木、外溝工事
- 個人住宅部門の落ち込みが大きく経営状態を悪化させている。職人不足も深刻で若手定着率も悪い。
- 取引先の資金繰りがかなり悪くなっているところが出ており、与信管理に注意を払っている。
- 行政の積算単価は若干上がっているが平成10年のピーク時と比べるとまだ戻っていない。建設業の若い担い手を確保するには課題が山積みと感じる。
- 建設業就業者数が2010年450万人だったの2025年は216万人と推定され圧倒的な人手不足になる。人手不足に対応するためのスマートコンストラクションをすすめる政策も見られる。
3.鉄筋・鉄骨
- 人手不足という割には今年に入って全体的に余裕のある調整が可能であった。後半戦から年内の受注量を既に確保しており順に着手していくことになるが、本格的な不足状態が待っている。数年前まではこの時期に来年の仕事がまったくなかったが、今年はすでに来年に向けて受注調整の必要性を社内では議論している。
- 鋼材仕入単価は去年秋口から徐々に下がっている。5月は下げ止まりか単価据え置きが続く。例年だと夏以降上昇する傾向と睨んでいるが不明。鋼材メーカー、商社、ゼネコン、協力業者共に受注は万遍なくある様子で資材単価、手間単価ともに大きな変動なく安定している。
4.内装、リフォーム
- 建築業界の社会保険未加入問題やマイナンバー制度導入などの影響を受け、書類や金銭的負担が増加する見込み。消費税増税の影響を受けやすいため将来が不安で、今後の投資計画は見送る予定。自分の身は自分で守る気持ちで行政に期待を持たないようにしていく。
- 3カ月後も読めず先行き不透明。雇用も全くうまく行かず人手不足で倒産する危機さえ見えてくる。
5.電設工事、通信工事
- マンション分譲は拡張しているが個人木造住宅は少ない。三河自動車関連の設備工事が活況。名古屋駅関係は全国大手企業ばかりで地元業者は殆ど関係ない。
- 通信工事は前年比30~10%の仕事量に激減、一方で電気工事は名古屋駅を含む新築ビル需要が多く人手不足が深刻化。大手は名古屋から引き上げて東京へ人を連れて仕事に行っているのが現状。
6.建築設計、不動産
- 建築費高騰が相変わらず続いており、施工会社も監督不足で手一杯。一時期よりも価格は収まってきている感はあるが大きく下がる気配はない。土地も動きが鈍く価格が高値安定になっている。投資意欲がある人は増えているが土地はない。土地がある事業者は価格が合わないのでやれない。今動いているのは改修や耐震工事が多い。とりあえず設計しておいてタイミングを見計らって着工しようという中長期の案件が多い。いろいろな要因から全般的傾向はどちらかというと下がり気味ともいえる。
- 建売新築分譲の家余り。サブリース契約による賃貸物件の過剰な建設が社会問題化しつつある。
- 一部の潤いを得ている高額所得者層の動向と一般庶民の暮らしや財布事情の格差が益々拡大している。
- 高齢者の相続対策に関連した投資や戸建て等の動きも大手ハウスメーカーに集中している。
(2)製造業
●「今月の状況」DI値はやや低下した前回調査よりもさらに低下(業況判断22→12、経常利益20→16)しました。「次期見通し」はわずかに上昇(業況判断24→25、売上高3→8、経常利益17→18)しましたが、前回調査時も「次期見通し」は上昇であったものが今回調査では低下しており、見通しの難しさを表しています。一方で、設備過不足DIが△22→△15、雇用動向DIが△39→△28と、前回調査時をピークに改善傾向が見られ、全体としてピークアウト感が出始めているとも読み取れます。
今年1~3月期のGDPは約3%上昇していますが、在庫分で持ち直しているのが現状で、在庫が売れなければ生産が止まるので、翌期以降の調査では大きく落ち込む危険性も指摘されています。実際に、「4月以降、新規の受注が進んでいない」との声も聞かれます。特に三次以下の下請け企業や小規模の町工場などではかなり厳しい状況にあることが予想されます。(事務局 井上一)
1.金属、樹脂などの量産加工
- 海外生産化の流れは円安政策でも変えられない。大型補助金による設備投資もそろそろ一段落し、年度後半は内示割れが続きピークは過ぎたと思う。電気代が粗利の5%近く増収減益のためコスト削減を努力。
- 円高の時に原価低減要請で製造単価を下げたが円安になっても元には戻らない。大手メーカーや大手銀行が法人税を納めなくてもいい状況が理解できない。
- 大企業の賃上げ記事が取り上げられることが多いが、中小企業では賃上げできるだけの余力がない。しかし物価が上昇していることや社員のモチベーションを考えると何とか捻出せざるを得ず非常に苦しい。
- 輸出頼りが大きいのが不安要素。決して国内景気が良くなっているわけではないのが今後の課題。
- 自動車関係取引先の動きが悪く、材料屋からも暇だという声。先行き不安感は拭い去れない。
- 忙しいが利益が出ず苦しんでいる。後継者不足や不採算による町工場の減少、価格競争の鈍化
2.熱処理、表面処理、鍛造、鋳造関係
- 技術者不足、人材不足により技能伝承が進まない。電気代の高騰、海外への拠点移動が経営問題。
- 株価は上がっていても日銀や年金機構の買い上げが主要因だと思う。仕事量は悪くはないがさほど多くもない。欧州ギリシャ、アメリカの自動車サブプライムローン、中国後退等の外的要因が心配。一番困るのは仕事量の急増、急減だ。
3.試作、治工具、設備・機械部品、機械
- 新聞紙上の情報と当社の現状があまりに違いすぎる。
- 短納期特急品の依頼が多く生産予定を頻繁に見直すことにより生産効率が低下。受注量の増加に対し人材の確保と社員教育が追いつかず稼働率が低下し収益率が伸びるどころか悪化してしまっている。客先要請による設備投資も予定遅れで動かない設備が発生し固定費負担のみ増加。
- 人材確保が非常に難しく仕事を断らざるを得ない。負荷のバランスが非常に悪く利益に繋がりにくい。新しいやり方、新しいものを生み出し続ける努力をしないと残っていけない。
- 大企業の値下げ要求は新規売り込みを装ったり多数者購買による改善提案と称して値下げをしてくる。
- 短納期で高い技術力を要求される案件であっても受注価格は低く押さえられるため忙殺されている感。
4.特殊印刷・印刷、建材
- 大手メーカー国内生産の動きがあるが要求単価が安く利益の上がる仕事ではないため景気上昇感はない。
- 昨年9月頃から非常に厳しい状況が続いている。定期受注周期が遅くなり客先の仕事や金が動いていない感じ。昨年から倒産ではなく廃業が目立ってきた。仕事の引き継ぎと新規受注の確保に細心の注力。
- 官公庁の競争見積りは価格デフレを進行させており参加業者は体力消耗の一方。高年齢者から若手へのシフトが課題。雇用延長は政府の年金事業失策のつけを企業負担にしているに過ぎないと思う。
- 住設部品の動きが悪く先の見通しも良くない上にコストダウン要請。人材不足で動きが悪いのはわかるが下請けへのコストダウン要請は厳しい。
5.食品、繊維、雑貨など
- 後継者不足と建設費の価格上昇および需要頭打ちなどの理由から、大手が農場新設から買収に戦略をシフトし商品価格の低下が抑えられる可能性あり。
- 大企業有利の経済政策を見直し、地方地域の商店の活性化と市民の生活環境の改革改善政策が早急に必要。大型店出店やあり方も今一度見直しが必要であり、世直しと市民の活力ある生活が始まることを望む。
- 設備老朽化が深刻だが資金が厳しくものづくり補助金を獲得したい。
- 円安、中国製品の高騰による国産への回帰があったが国内工場の生産機能低下により陶磁器製マグカップ商品の納期が間に合わず機会損失増加。部材生地輸入を手控えていたが高くなっても圧倒的な生産量を誇る中国製品の活用を再度検討する必要に迫られている。
- 原油価格が大幅に下落してもPP原料の下がりが非常に遅く業界全体で裏がある話しが伝わってくる。
(3)流通業
●「今月の状況」は、業況判断DI(14→15)、経常利益DI(6→14)で改善傾向を示した一方、仕入価格変動DI(37→38)に対し販売価格変動DI(15→13)と、利益が圧縮する傾向が見られました。「経営上の問題点」では「大企業の進出による競争の激化」が17.6%(全業種平均11.5%)と、他業種と比較して突出しています。「次期見通し」は、業況判断DI(18→24)、売上高DI(4→9)、経常利益DI(15→14)と、動きはやや活発化するも利益はさほど上がらない見通しとなっています。
文書回答では「中小企業には厳しい」という回答がほとんどで、大手参入による競争の激化、二極化の更なる進行を懸念する声が散見されました。特に不動産については、工場用地や分譲マンションなど投資物件・高額物件が好調な一方で、中古住宅・建売住宅は振るわずという報告もあり、消費者に近い分野ほど厳しい二極化の様相が特徴的に表れているといえます。(事務局 政廣)
1.機械器具(自動車、事務機器、電設資材等)
- 中小の製造業は、仕事が減少の一途。仕事があっても単価、納期が厳しく旨味は無い。また、人材の確保が難しく現場に仕掛材料があふれ仕事が捌けていかない所も一部にあり、非常に混沌とした状況である。7月以降に自動車関連の設備の仕事が出回るとの情報もどれだけどこに流れるのか全く不透明だ。
- リーマンショック以降、競争の激化、長引くデフレなどにより単価の下落に歯止めがかからず、黒字の確保が容易ではない。耐久消費財を扱う企業は今後、激減するとしか思えない。この単価下落に対して社内体質の変革に時間がかかり結果において赤字体質から脱却できずにいる。大企業中心に業界の再編が近いうちに起こると考えられる。
2.建築資材
- 4月の長雨は業績も悪かったが、5月中旬以降忙しくなってきた。長い取引先の部長から紹介をうけた会社の自己破産宣告にはショックを受けている。取引期間7ヶ月あまりでの債務不履行は厳しい。
- 太陽光発電の売電価格が年々下がっているので、50kw以上の案件は激減してきたが、住宅その他の引き合いに関してはあまり変化はない。土木関係の客先は例年に比べ仕事を確保しているようだが積極的に設備投資していくという意欲にはまだまだなれないようだ。
3.繊維、衣服、雑貨
- 今まで攻めてこなかった弊社の領域を、大企業の姿がちらほら見えてきている。
- 相変わらず流通業には景気が好転している感じはあまりない。
4.飲食料品
- 原材料米価の低下に伴い販売価格が減少し大手卸も売上減少が著しい。大手卸が売上げ確保の為に今まで取引をしてこなかった小規模スーパーにも参入してきている。最近は付加価値商品の開発があり競争が厳しい中でも新しい商品でお米の消費を促している事は中小の米穀店にも良いことである。
5.運輸、情報通信
- 官公庁では2015年問題と名付けて、2020年位までIT人材不足など業界発展の必要性と現状のギャップが大きい。しかし、25年くらい前にも同じようなアナウンスが有ったが、その直後に人材過多でその時の10分の1の人員で十分などと言われた。実態の産業界の変化をしっかり見て行く必要がある。
- 労働力不足は二極化している。待遇改善がなされていない会社は確保どころか、更に流出してしまい、より厳しい状態となっている。逆に待遇面に力を入れることの出来る会社には、人が集まってきており、企業間格差が更に広がると思われる。
6.保険、不動産
- アベノミクスの実感はまるでない。現に取引先の中小零細企業は、どこも原材料高、仕入れ値上がり、消費税、電気、ガス、燃料のアップで非常に厳しいところが多い。大企業優先でありトリクルダウンなど有り得ず、実際には妄想でしかない。大本営発表みたいな、景気が良くなったというプロパガンダ記事にも正直ウンザリしている。
- 住宅用地の販売は順調で、金融機関の貸出も積極的である。しかし、お客様は慎重な姿勢を崩しておらず、順調な販売も季節要因と良い物件だけが売れている。中古住宅、新築住宅(建売)はあまり売れてない。中小企業の景況はよくない。円安による一時的な企業の景況に振り回されることなく、広い情報を持って構築する必要がある。メディア等の根拠のない報道に惑わされないように警鐘を鳴らし、中小企業の横の繋がりをもっと大切にしたい。
(4)サービス業
●今月の業況判断DIは28→30、経常利益DIは29→30、前年同月比売上高DIは20→24といずれも昨年5月から連続で上昇しています。対個人向けは、今月の業況判断DIが16→31、経常利益DIが19→20、対事業所向けは、業況判断DIが32→29、経常利益DIが32→34と変動しています。対事業所向けの内、専門サービス業の今月の業況判断DIは32、経常利益DIは35で、対事業所向けの結果を押し上げています。しかし、次期見通しでは、業況判断DIは34→27、売上高DIは22→13、経常利益は33→23と落ち込み、業界内の競争激化、人手不足、消費税増税などを理由に警戒感が強まっています。今月の雇用動向DIは、水面下において△49→△39と改善しましたが、対個人向けでは不足超過幅が拡大しました(△50)。経営上の問題点の上位3項は、1.従業員の不足、2.新規参入者の増加、3.取引先の減少で、いずれも全体の平均%を上回っており、特に、2.新規参入者の増加は、他業種に比べ高い値を示しています。(事務局 岩附)
1.飲食業
- 居酒屋業界は、ここ数年ジリ貧状態が止まらない。全体的にみて店舗数、既存店売上の両方が減少している。それでも客数を増やすために安売りや広告宣伝費を多く使っている企業が多く見られる。
2.洗濯・理美容
- 競争激化。良い店とそうでない店が明確になりつつある。より自社の強みを打ち出す必要がある。
- 美容業界は飽和状態であり、少子高齢化、美容師のなり手の減少など、人材確保が難しい。サービスや技術の向上、自社特有の付加価値の増大を目指すか、異業種とのコラボで新規事業開拓を狙うか、そこに賛同してくれるスタッフをどう確保していくか。
- 季節的な要因により5月の業況が好転しているが、その反動で夏以降が不透明な状況になるのでは?と業界内で話題になっている。同業他社の廃業が加速し業務はそれなりにあるが、雇用面で好転しない。
3.自動車整備
- 事故車の修理で、保険を使わず安く実費で修理を希望するお客様が増えてきている。
- 若者の車離れ、少子高齢化などにより供給過多となっている。弊社所在地区内の世帯数6万に対し、国に届けを出す認証工場だけでも107件の整備工場があり、届け出の必要がない業社を含めると相当数となる。カーディーラーでも新車が売れず、車検や鈑金塗装、メンテナンス等で営業を展開している。
4.機械等修理
- 他地域からの新規参入への対応で一部単価が下がるところもあったが、しっかりと弊社の価値を伝え相応な対価を頂く努力の継続と、一方で新たな価値の提供や分野への参入も進めている。
- 爆発的な伸びはないが順調に受注できている。しっかり先を見据えないと苦しくなるのはまちがいない。消費税増税までにどこまで顧客を創造できるか。
5.広告・印刷
- 業界の未開拓分野を見つけて攻めることに集中している。
- 物価の上昇は顕著だが、中小零細企業従業員や非正規雇用従業員の人件費が上昇しておらず、消費自体は低下傾向にある。弊社も従業員の給与を上げるほどの余裕はない。日本の格差はどんどん広がる。
- 業界は金額勝負的な色が年々濃くなっており、付加価値をもち差別化できるよう、受注タイプの営業から造注(注文をつくりだす)タイプの営業に変えていく。
6.産廃・環境
- 業界には、良い兆しのきっかけが半年ぶりに起こった(5/19からの値上げ)。しかし、中国の安売りにより日本以外のアジアのマーケットが冷え込み、商品が輸出困難になっている環境は変わらない。みせかけの好景気の可能性も高く、財務面まで含めた自社の構造改革に迫られている。
7.ビジネス支援・専門サービス業
- IT業界は、売り手市場であるが人材確保が困難という課題が慢性的にある。オリンピック開催に関連した需要増もピークに突入していると感じるので対策を日々考案している。
- 新規参入者の増大と広告規制緩和により、大規模事務所と中小零細事務所との格差が増大。顧客へのサービスや提供方法等、一層の工夫が求められている。