【概況】
【業況判断】 今月の状況は14ポイントの大幅改善も次期見通しは悪化
【売上高】・【経常利益】 売上高、前年同月比、2期連続の改善。経常利益、今月の状況で大きく改善し5割が「黒字」と回答
【在庫感】 2期連続の「過剰」超過幅縮小
【取引条件】 建設業で「好転」超過幅拡大
【資金繰り】 今月の状況、「窮屈」超過幅縮小
【設備過不足】・【施設稼働率】 設備過不足、サービス業のみ「不足」超過幅縮小。施設稼働率、流通業で3年ぶりの「上昇」超過
【雇用】 建設業で3分の2が不足感じる
【価格変動】 仕入価格、「上昇」超過幅拡大。販売価格、2015年2月調査以来の「上昇」超過幅拡大
【借入金利】 短期・長期ともに全体では大きな変化なし
【経営上の力点など】 経営上の問題点、「従業員の不足」・「人件費の増加」が上位に
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景況調査報告(2016年11月)第92号(PDF:1.32MB)
【概況】
「よい」と回答した企業から「悪い」と回答した企業を差し引いた今月の業況判断DIは、前回の18から32と14ポイントもの改善となりました。これで2期連続の改善です。前年同月比も前回の2から6と4ポイント改善しましたが、3カ月後の次期見通しは28から3ポイント悪化して25となりました。大きく改善した愛知経済ですが、この改善が一時的な要因による可能性もあり、いまだ不透明感をぬぐえない状況です。
ヒアリング調査でも、製造業の改善が熊本地震による操業停止の「巻き返し」による可能性があることから、今後も改善傾向が続くかどうかは予断を許さないとする声が聞かれました。中国向けが回復してきたとする指摘はありましたが、その背後には中国政府による自動車税の減税措置があり、「効果」がどの程度持続するかについては疑問符がつきます。先行きに対しては、さらに仕事量が増えるという声がある一方で、設備投資が一巡したことによる落ち込みの影響もあり、さしたる回復は期待できないという声も聞かれました。
今回、大幅改善をけん引したのは建設業でした。ヒアリングでも、マンションなど住宅建設が回復してきており、この傾向はしばらく続くとする強気の見通しが聞かれました。かつての異様な建設ブームが沈静化し、深刻な人手不足が多少和らいだことが建設着工の回復につながっているとみられています。ただ、建設需要の背景にあるのは低金利にもとづく「マンション投資ブーム」であり、消費者の住宅購入意欲は必ずしも強くないため、金利動向次第で状況が一変する可能性があることが懸念されています。工事関係者からは、名古屋駅前の再開発がほぼ終了したことから、オリンピック関連の建設が本格化するまでの今後1年間は「空白期」に陥るのではないかとする予想も聞かれました。
消費関連分野からは、依然として厳しい状況が続いており、回復の実感はまったくないとする声がほとんどした。
年明け以降はトランプ政権の始動とともに現在の「トランプ期待」が反転する可能性もあり、米国経済は見通しがつけにくい状況にあります。国内経済についてもいよいよ日銀の国債買い上げ政策が限界に近づくことから、金利が不安定化するのではないかという予測もあります。景気の不透明感はますます強まってきています。中小企業経営者は経済情勢の変化にそなえて、より強靭な企業づくりにさらに注力する必要があるといえます。
[調査要項]
調査日 | 2016年11月21日~11月30日 |
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対象企業 | 愛知中小企業家同友会 |
調査方法 | 会員専用サイト「あいどる」 |
回答企業 | 会員企業より1726社の回答を得た。業種内訳は以下 (建設業297社、製造業373社、流通業483社、サービス業573社) |
平均従業員 | 24.0名(中央値7名) |
なお、本報告は愛知中小企業家同友会・経営環境調査委員会(委員長、太田厚・(株)太田電工社社長)が実施した調査結果をもとに、景況分析会議での検討を経てなされたものです。
【業況判断】 今月の状況は14ポイントの大幅改善も次期見通しは悪化
「今月の状況」DIは前回の18から32と14ポイントもの大幅な改善となった。これで2期連続の改善である。業種別でみると、建設業が34から52と18ポイント、製造業が4から26と22ポイント、流通業が8から23と15ポイント、サービス業が29から34と5ポイント改善し、全業種で2期連続の改善となった。前年同月比は前回の2から4ポイント改善して6となった。前年同月比も2期連続の改善である。業種別でみると、建設業が2から12と10ポイント、製造業が△15から△8と7ポイント、流通業が△5から△1と4ポイント改善した。サービス業だけは18から16とわずかながら悪化した。3ヶ月後の次期見通しは前回の28から25と3ポイントの悪化となった。建設業では43から35と8ポイント、流通業では19から16と3ポイント見通しが悪化したが、製造業は21から20、サービス業は33から31と横ばいで推移した。
【売上高】・【経常利益】
売上高、前年同月比、2期連続の改善
経常利益、今月の状況で大きく改善し5割が「黒字」と回答
売上高DI(前年同月比)は前回の2から8ポイント改善して10となった。これで2期連続の改善である。業種別でみると、建設業が2から20と18ポイント、製造業が△13から△8と5ポイント、流通業が△6から3と9ポイント改善した。サービス業は21から23と横ばいで推移した。次期見通しは前回の13から8と5ポイント悪化した。業種別でみると、建設業が18から13と5ポイント、製造業が5から0と5ポイント、流通業が6から3と3ポイント、サービス業が22から14と8ポイントそれぞれ悪化した。
経常利益DI(今月の状況)は前回調査の19から30と11ポイントの大幅改善となった。回答企業5割が「黒字」と回答するにいたっている。業種別でみても、建設業が34から45と11ポイント、製造業が9から28と19ポイント、流通業が7から20と13ポイント改善した。サービス業は30から31と横ばいでの推移となった。前年同月比は前回の0から4ポイント改善して4となった。業種別では、建設業が5から13と8ポイント、製造業が△11から△7と4ポイント、流通業が△9から△6と3ポイント改善した。サービス業は13から14と大きな変化はなかった。次期見通しは前回の24から3ポイント悪化して21となった。業種別でみると、サービス業は31から22と9ポイント見通しを大きく悪化させたが、建設業は29から27、製造業は19から18、流通業は15から17と横ばいで推移した。
【在庫感】 2期連続の「過剰」超過幅縮小
今月の状況DIは、前回調査の9から4と5ポイントの「過剰」超過幅縮小となった。これで2期連続の縮小である。業種別でみても、製造業(9→3)・流通業(8→4)ともに「過剰」超過幅縮小となった。前年同月比は前回の2から1と横ばいでの推移となった。業種別でみても、製造業(0)は変化がなく、流通業(3→1)は横ばいで推移した。次期見通しは前回の3から0と3ポイントの「過剰」見通し超過幅の縮小となった。これも2期連続の縮小である。業種別でみても、製造業は3から1となり、3期連続の縮小である。流通業は3から△1と3期ぶりの「不足」見通し超過に転じた。
【取引条件】 建設業で「好転」超過幅拡大
前年同月比DIは前回の0から2となった。業種別でみると、建設業(1→9)が8ポイントの「好転」超過幅拡大となった。製造業(△4→△3)・流通業(△3→△1)・サービス業(5→4)は横ばいでの推移となった。次期見通しも前回の1から2と大きな変化はなかった。業種別で見ると建設業(3→7)は「好転」見通しの超過幅が拡大したが、製造業(△2→△1)・流通業(△2→△1)・サービス業(3→2)では見通しに大きな変化は見られなかった。
【資金繰り】 今月の状況、「窮屈」超過幅縮小
今月の状況DIは前回の△23から3ポイント「窮屈」超過幅が縮小して△20となった。業種別でみると、建設業(△24→△18)・製造業(△25→△21)・流通業(△25→△19)で「窮屈」超過幅が縮小したが、サービス業(△19→△21)は横ばいで推移した。次期見通しは前回の△19から△20と横ばいであった。業種別では、サービス業(△16→△21)だけは「窮屈」見通しの超過幅が拡大したが、建設業(△20→△19)・製造業(△23→△23)・流通業(△21→△19)は横ばいでの推移となった。
【設備過不足】・【施設稼働率】
設備過不足、サービス業のみ「不足」超過幅縮小
施設稼働率、流通業で3年ぶりの「上昇」超過
設備過不足DI(今月の状況)は前回調査の△15から△17となった。業種別でみると、製造業(△15→△21)・流通業(△10→△13)で「不足」超過幅が拡大したが、建設業(△19→△21)・サービス業(△18→△16)は小幅な変化にとどまった。次期見通しは前回の△15から3ポイント「不足」見通しの超過幅が拡大して△18となった。業種別でみると、建設業(△17→△22)・製造業(△11→△22)・流通業(△11→△14)で「不足」見通しの超過幅が拡大したが、サービス業(△19→△16)は反対に縮小した。
施設稼働率DI(前年同月比)は前回調査の△8から0と8ポイントの「低下」超過幅縮小となった。業種別でみると、製造業(△12→△4)は「低下」超過幅が縮小した。流通業(△5→4)は2014年2月調査以来の「上昇」超過に転じた。次期見通しは前回の△4から1と5期ぶりの「上昇」見通し超過となった。業種別にみると、製造業(△2)は変化がなかったが、流通業(△5→4)は3年ぶりの「上昇」見通し超過に転じた。
【雇用】 建設業で3分の2が不足感じる
今月の状況DIは前回の△43から△45と2ポイントながら「不足」超過幅が拡大した。これで2期連続の「不足」超過幅拡大である。業種別でみると、建設業(△55→△64)・製造業(△38→△40)・流通業(△38→△41)で「不足」超過幅が拡大した。建設業では不足感は著しく、回答企業の3分の2が不足を感じている。サービス業(△45→△41)だけは反対に縮小した。次期見通しは前回の△40から変化がなかった。業種別見ると、製造業(△32→△36)は「不足」見通しの超過幅が拡大したが、サービス業(△41→△37)は縮小した。流通業(△33→△34)・建設業(△57→△59)の見通しは横ばいで推移した。
【価格変動】
仕入価格、「上昇」超過幅拡大
販売価格、2015年2月調査以来の「上昇」超過幅拡大
仕入価格変動DI(今月の状況)は前回の12から18と6ポイント「上昇」超過幅が拡大した。業種別で見ると、建設業(19→18)は横ばいでの推移となったが、製造業(5→16)・流通業(11→20)・サービス業(14→18)では「上昇」超過幅が拡大した。前年同月比は前回の10から16と6ポイント「上昇」超過幅が拡大した。業種別で見ると、建設業(15→19)・製造業(5→12)・流通業(9→14)・サービス業(12→17)と全業種で「上昇」超過幅が拡大した。次期見通しも前回の9から3ポイント「上昇」見通しの超過幅が拡大して12となった。業種別でみると、製造業(5→15)は「上昇」見通しの超過幅が拡大したが、建設業(11→13)・流通業(10→10)・サービス業(11→12)は横ばいで推移した。
販売価格変動DI(今月の状況)は前回の1から4ポイント「上昇」超過幅が拡大して5となった。「上昇」超過幅が拡大したのは、2015年2月調査以来のことである。業種別でみると、建設業(4)は変化がなかったが、製造業(△7→△3)は「低下」超過幅が縮小した。流通業(0→9)・サービス業(4→7)は「上昇」超過幅が拡大した。前年同月比も前回の1から4と3ポイント「上昇」超過幅が拡大した。業種別でみると、建設業(1→6)・流通業(0→3)は「上昇」超過幅が拡大したが、製造業(△7→△4)は「低下」超過幅が縮小した。サービス業(6→8)は横ばいで変化した。次期見通しは3期連続で1から変化がなかった。業種別見ても、建設業(1→2)・製造業(△4→△5)・流通業(2→0)・サービス業(4→5)全業種で見通しに大きな変化はなかった。
【借入金利】 短期・長期ともに全体では大きな変化なし
短期借入金利DIは前回調査の△7から変化がなかった。業種別でみると、建設業(△7→△6)・製造業(△11→△13)は横ばいで推移した。流通業(△7→△11)は「低下」超過幅が拡大したが、サービス業(△5→0)では縮小した。
長期借入金利DIは前回の△9から△8と横ばいで推移した。業種別で見ても、建設業(△8→△6)は横ばいで推移したが、製造業(△13→△16)では「低下」超過幅が拡大し、流通業(△12→△9)・サービス業(△6→△3)では縮小した。
【経営上の力点など】 経営上の問題点、「従業員の不足」・「人件費の増加」が上位に
全業種で見た経営上の問題点は、第1位は前回から変化なく「従業員の不足」(47%)であった。「人件費の増加」(25%)が前回の第3位から第2位となり、「民間需要の停滞」(23%)が順位を落として第3位となった。業種別で見て特徴があったのは、建設業で「下請業者の確保難」(44%)、サービス業で「新規参入者の増加」(33%)が第2位に、「取引先の減少」(23%)が流通業、「熟練技術者の確保」が建設業・製造業(ともに27%)で第3位に入ったことである。文書回答では「円安の進展による仕入れコストの上昇」があった。
全業種における経営上の力点は、第1位「付加価値の増大」(55%)、第2位「新規受注(顧客)の確保」(50%)、第3位「人材確保」(38%)で前回から変化がなかった。
<会員の声(業種別)>
(1)建設業
●業況判断DIは、「今月の状況」(34→52)と大幅に改善した反面、「次期見通し」は、43→35と2期ぶりに落ち込みました。この傾向は全業種に見られるものです。経常利益DIは、34→45と黒字幅が拡大、前年同月比の売上高DIも2→20と売上増加幅を二ケタ増やしています。一方、資金繰りDIでは、△24→△18と若干は持ち直しているものの、「窮屈」の回答が34%寄せられました。雇用動向DI(△55→△64)は、過去の調査の最悪レベルで、人手不足感がさらに高まっている状態です。仕入価格DIは19→18に対して、販売価格DIは4→4となっており、変化はほとんどありませんでした。
住宅着工数は回復傾向にあり、消費税10%を見越した物件着工の継続、低金利の住宅ローン、相続税の優遇などが後押しをしていると言われています。しかし民需を牽引してきた投資物件が落ち着き、名古屋中心部の再開発が完成間近となったことから、先行きに関しては不透明です。特に需給ギャップが不安視され、来年には供給過剰で市場価格が暴落することを危惧する声が出されました。(事務局 八田)
1.総合工事
- 建設業界の不透明感が増してきている。政府対策の良しあしにより大きく変動を受けざるを得ない。新築物件を受けるときに価格差が大きく利益が出ない場合が多い。新築物件から引かざるを得ない現状に苦しんでいる。需給のアンバランスが続いている。それを良しとしている世間の変わらない風潮がより厳しくしている。現状としてはリフォームに特化していくしかないのか悩んでいる。
- 管理者の能力不足=教育不足のため、いろいろな弊害が出てきている様に思われる。
2.土木・舗装
- 大手ゼネコンが談合で処分を受け、公共事業に参加できなくなったため、今まで参入していなかった民間の1億円以下の物件にも参加するようになり、そのなりふり構わない入札でほぼ決まっていた工事が2件流れた。中小零細は大手ゼネコンが参加している大きな物件に参加できる訳も無く、結局中小には悪影響しか感じられない。その辺りを国や県はどう考えているのか非常に疑問である。
3.鉄筋・鉄骨
- 技能工の賃金を適正かつ将来構想へ繋げていくために、安値受注は避け、無理しない受注を心掛けていたらいつの間にか受注量が減少してきた。今年になって既に11ケ月も経過してしまったが、業界では全体的に落ち着いていたというのが実感だ。ということは大中小建設会社或いはサブコンの一部が将来の展望を考えず安易な気持ちで安値受注を行なってしまい、量的にかなり偏っているように見える。同業界内で二度と互いの首を絞め合ってはならない。
4.設備・管工事
- 大手ゼネコンでの仕事は、社員が社会保険に未加入だと仕事ができなくなる(2017年4月~)。しかし私のとこはともかく、下請けの2次、3次となると一人親方で未加入者もいる。現状では適応除外としてよいが、常時そこの仕事をしていると従業員同様とみなされ、社会保険に加入しなさいとの指導がくる。こうなると人手不足となる上に入場できなくなると、建物自体納期に間に合わなくなる恐れあり。また、最近始まった訳ではないが、年末、年度末に工事が集中し過ぎ。特に官公需はひどい。もう少し年間平準化できないものか。
5.内装・塗装
- 2016年上半期までは建築業界(店舗内装業)もかなり忙しく、売上自体も予想より1.5倍ほどだったが、下半期になると上半期の半分に落ち込み、最終的にはトントンくらいになりそう。名古屋は名古屋駅辺りの開発も今年度で終わりそうで、来年度(特に2017年5月以降)の受注はかなり厳しくなると思われる。
- 景気の非常に良い業種(半導体等特殊製造業の纏わるもの)と絶望の真っただ中に置かれている業種(スクラップ事業・鋳造業)が存在し、一概に言えないが、より未来を見据えて動いていたところが成果をつかんでいるように思える。
6.建築設計
- 5月まで仕事量は低調だったが、それ以後は堅調に出ている。人手不足は依然として続くが、仕事がやりきれない状態である。三重や岐阜には見られない愛知だけのブームで、今が絶頂期だと思われる。建築費は上昇しており、大きなプロジェクトを抱えている会社は売り上げを伸ばす。賃貸マンションは入居が少なく、分譲マンションもあまり売れていない。日銀がリート(不動産投資信託)を買い支え、金利も必ず下げるので、大手は活発に投資を行っているが、かつてのバブル崩壊の時に似てきたため中堅企業以下は慎重になってきている。
(2)製造業
●業況判断DIの「今月の状況」では、全業種で回復が見られます。特に製造業では、今月の状況で4→26、前年同月比でも△15→△8と大きく回復しています。売上DIでは「前年同月比」で△13→△8、経常利益DIでは「今月の状況」で9→28、「前年同月比」では△11→△7と、いずれの数値も改善傾向を示しています。12月の景況分析会議では、「建設業の好調により建築関連の分野での動きが活発になっている」との声が聞かれたほか、自動車関連では「4月の九州での地震や関連会社で相次いだ事故などによる前半期の遅れをここに来て取り戻す動きが出ている」との声も聞かれました。実際に「次期見通し」では、業況判断DIで21→20、売上高DIで5→0、経常利益DIで19→18と、このまま盛り返すのかどうかの判断も分かれています。(井上一)
1.金属加工・樹脂加工
- 目先の仕事は確保できているが新規分野の受注が滞っている。今年から無理な仕事は受けないようにして残業時間の削減は進んでいるが、その結果、今後伸ばしたい新規の仕事の受注機会損失が発生している。
- 当社のまわりでは、ここ1年で廃業・倒産した企業が3件ある。今でもよい話は少ないのに、自動車業界は、これからどうなるのかと思う。
- 短納期・高品質・急な見積り回答要請など、取引先に従わざるを得ない状況になっている。
- 各客先の生産数の減少が感じられるので、今度の動向に注意。
2.機械部品・機械製造
- 本来であれば年末工事に向けての物件が増えてくる時期なのだが、取引先に聞いても大きな物件はないとのこと。とても静かな年末になりそうだ。
- 昨年には無かった現象として、商談での相見積もりによる比較がなされ値下げの要請が時々発生している。これまでは人手不足により、やや売り手市場であったが、徐々に需給のバランスがとれてきたのではないか。
- 工賃収入の会社なので、機械化・自動化をするまでの生産ではないため、最低賃金が上がっていくと利益確保が難しくなる。
- 携わっている業界そのものは比較的恵まれた環境にあると思うが、仕事の中身が変わってきているのでよく見ていないと自分のところに仕事が無いという状況になってしまう。
- 価格競争が激化し、安売り合戦が始まっている。特化した分野にも参入しているが、売り上げの6割はどこでもできる仕事であり、利幅が減少し、苦戦している。
3.印刷・包装関連
- 8月から問い合わせも続き、小さい仕事ながら受注につなげていたが、この2ヶ月は本当に動きが止まった。「発注していた印刷会社が倒産してお願いするところがなくなった」という問い合わせもあった。調べたらお客様が倒産していたことも分かった。縮小すれば何とかやっていけると考えていたが、この先とても不安になってきた。
- 広告業界は特に成約率が悪く、それ以外の業界も徐々に悪くなっているように感じる。
4.食品・繊維製品・雑貨・身の回り品製造業
- 米大統領選挙の結果、TPPが先行き不透明となった。これから新規輸出について、或いは輸入品に対抗するために対策について、考え進めていたのだがすべて保留せざるを得ない状況である。
- どこの業界も同じだと思いますが、人手不足です。特にパートを募集してもなかなか来てくれない。
- ここ3年は仕入れの値上がりが落ち着いていたものの、砂糖など使用料の多い主要原材料の値上げが厳しい。商品としての本当の適正価格を考え、値上げをして行きたい。
- 売りはデフレ、仕入はインフレ、その間の会社は厳しい時代が続いている。一次産業には補助が出て潤っているのに、二次産業は疲弊しつつある。
- 為替が大きく変動している。衣料品は輸入中心であるため、円安は原価上昇となり販売価格に影響する。冷え込む国内消費であるため販売価格アップは痛手。唯一、インバウンド増を期待したい。
(3)流通業
●業況判断DIについて、前回8月調査結果と比較すると、今月の状況(8→23)が15ポイントの上昇となりました。また前年同月比では、△5→△1と4ポイントの改善がありましたが、依然マイナス圏内にあり、実感を持てるほど状況が好転していません。特に年末にかけては例年、消費財需要の上昇によって売上高DIが上昇傾向にあり、その影響が顕著に出ていると思われます。また文章回答では、業界全体の再編成に伴う対応に追われていること、為替変動による経費上昇と利益縮小が加速していること、長期にわたる人手不足、買い叩きの加速、先行き不透明による経営不安などが共通して出され、業界全体の閉そく感が続いています。(事務局 墨)
1.機械器具(自動車、事務機器、電設資材等)
- ロボット業界が相変わらず好調。中国、台湾向けを中心に大口の注文があり、国内も堅調。
- 自動車は米国向けが少し鈍ってきているため注意が必要だが、国内は昨年並みを維持。タイ・インドネシアは低調だが、設備の引き合いが増加傾向にある。来年末頃には、車の生産も増える計画なのでそのための動きが始まりつつあるが、それに必要な技術者が見つからない状況。
- 顧客である自動車整備業界の急激な二極化により、中小規模の自動車修理業が今後どうなっていくのか、また長期計画を考えるうえで、自動運転など最先端の技術の連日の報道がなされる中、メーカーによる修理点検の情報開示もないため補修業界自体どうなっていくのか等、先行きが見えない状況にある。
2.建築資材
- 急激な円安による仕入価格の急上昇で経営を圧迫。為替変動リスクの対応ができていない。
- タイル事業では、メインでもある遊技関係の新築・改築案件が減り、低予算の改装が増加。
3.繊維、衣服、雑貨
- 商材は輸入品が多く、為替変動の関係から、円安の影響が利益に直結する。
- 春先より卸売り(BtoB)から、ネットやカタログ通販という直売(BtoC)へ顕著に移行している。
- 気候の影響が大きい業界で、11月上旬の売上額は伸びたが、売上高を維持することが難しい。
4.飲食料品
- 個人飲食店の減少化とアルコール離れが、飲食料品市場に顕著に影響している。
- 一昨年から水産業界の大手企業の鰻養殖業へ参入し、国産加工鰻の生産量が2016年度で15,000t程度が予想されるが、国内加工鰻の高値によって消費者から敬遠され、3,500t~4,000t増加予想。代替品のシラスウナギが「昨年並み」の採捕であれば、国産鰻の流通価格は暴落する予想。
- 夏の天候不順の影響により、青果物の発育不足、病気発生などで仕入れ価格のかなりの高騰。顧客からの値下げ要求により、利益が激減。民間需要の落ち込みも目立っている。
5.運輸、情報通信
- IT業界では仕事も多く、人材不足の状況だが、大手メーカーへの販売単価が上がらない。相変わらず買い叩きが激しい。
- 人員不足によってトラック台数が伸びず、請求賃金の内容を見直している会社が増加。年々増す法定福利や、行政からの設備強化指示、車の高性能化などの設備高騰、負担が多いのに請求単価が20年は変更していない現状が続いている。
6.保険、不動産
- 保険会社から、代理店の大型化(=合併)を強制される代理店も多く、さらに取引条件(=販売手数料)を一方的に減額されている。毎年7%~10%減額されれば、経営に甚大な影響を及ぼす。
- 大手ハウスメーカーは、見込み客数、契約数とも増えており、その一方で、低価格を売りにしている業者は契約数を減少。建売業者が土地を仕入れ、建物を建てずにまた売地として市場に出てくる例も増加。工場用地、事務所用地の需要は減ってきている。
- 一般不動産需要は低下気味、在庫は増大気味と思われる。日銀発表の不動産貸付貸出増加は、借り換え需要(特に地銀、第二地銀、信金など)から、大手都銀への借り換えが加速している事が原因と思われる。よって不動産の実需が上がっているとは思われない。
- 駐車場業界自体は飽和状態になりつつあるが、この先2~3年である程度淘汰されてくると予想。大手によるエリア拡大とサービスの特化により、戦えなくなる中小規模の駐車場が増加する予想。
(4)サービス業
●今月の業況判断DIは29→34、経常利益DIは30→31、前年同月比売上高DIは21→23といずれも上昇しました。カテゴリー別の動きを見ると、それぞれ異なる動きを示しています。業況判断DIでは、専門サービス業36→41、対個人サービス業9→17、対事業所サービス業29→38。経常利益DIは専門36→36、対個人19→26、対事業所33→29。前年同月比売上高DIは専門28→36、対個人9→2、対事業所18→22となっています。専門サービス業、対事業所サービス業は概ね改善傾向にあり、対個人サービス業は前年売上高DIが大きく落ち込んでいます。個人消費の低迷による価格競争激化の影響が懸念されます。経営上の問題では、「従業員の不足」46%、「新規参入者の増加」33%、「人件費の増加」29%と依然として人手不足感が強く、人員確保と育成が課題になっています。これらの経営上の課題に対応するための「経営上の力点」では、「付加価値の増大」56%、「新規受注(顧客)の確保」54%の順と変動はありません。次期見通しは、売上高DIが22→14、経常利益DIは31→22と減少、業況判断DIは33→31と次期の見通しは悪化の予測です。不安定感が続く中、付加価値を高める経営戦略がますます重要となります。(事務局 伊藤)
1.飲食業
- 名古屋駅周辺は新しい飲食店が増え、競争の激化は相当なものがある。他店にはない価値をどう提供できるかが重要。
- 自然災害等により仕入原価(特に野菜)が大きく上がり代替え対応。個人消費の低迷により暗中模索の日々が続く。
2.自動車整備業
- 急な退職による人員の確保が必要になったが、人員が確保できず困っている。
- 自動車重量税の立替が当たり前の状況になり、立て替え金の負担が大変。
3.物品賃貸業
- 業界としては引き続き横バイ、停滞の様相の中、いかに自社の強みを前面に出し、新しい価値や商品・サービスの提供を継続していくかが突破口になる。ただ、今後も企業連携や合併・統合に伴う需要の変化はいつ起きてもおかしくないので、注意していかなければいけない。
4.産廃・環境
- 外部環境にかなり影響されるようになってきた。特に、為替等自社では情勢を読み切ることが出来ない時代に突入し、経営者としての舵取りがかなり重要になってきている。
5.洗濯・理容・美容
- 家計から出費を抑える傾向が更に強まっている。
- 新規参入は多く、すでに飽和状態にある。付加価値を高めた戦略が重要。
6.広告、印刷業
- 様々な視点で二極化現象が語られているが、徹底した「顧客のファン化」が鍵になると感じている。
- 広告業界は、先行き不透明。仕事は動いているが、利益率が低下し、やってもやっても財務内容がよくならないのが現状。
7.社会福祉・介護事業
- 介護報酬の引き下げが議論されており、状況次第では大きな影響を及ぼし兼ねない。新しい事業展開を考えていかなければ10年先の存続が不安。
8.専門サービス業
- 相続税案件は増加しているように感じるが、価格競争が起きているように感じる。付加価値をつけて差別化をさらに図っていく必要性がある。
- 国内経済の健全化の上に立ち、世界の紛争の鎮静化と共に、連帯を強める様な政策を展開出来なければ、強制的合理化経済圏では新しい経済発展の世界規模での構築は不可能ではないかと思う。