- 【概況】
- 【業況判断】 建設業と製造業、落ち込み顕著。「前年同月比」「次期見通し」は全業種で大きく悪化
- 【売上高】・【経常利益】 全業種で落ち込み。「次期見通し」建設業・製造業でコロナ禍に次ぐ値
- 【在庫感】「過剰」「増加」超過幅が大きく縮小
- 【取引条件】 全業種で「悪化」傾向。次期見通しは、流通業の「悪化」が鮮明に
- 【資金繰り】「窮屈」超過は変わらず、更に厳しい次期見通し
- 【設備過不足】・【施設稼働率】建設業の設備「不足」は解消するも、好材料なし。設稼働率の次期見通しは大きく「低下」
- 【雇用動向】 人手不足感はやや解消するも業種ごとに偏り
- 【価格変動】 多くの項目で、過去最大の数値を記録。製造業の価格上昇が顕著
- 【借入金利】 建設業・流通業の「長期借入金利」が最高値。金利の「上昇」傾向止まらず
- 【経営上の力点など】 「仕入単価の上昇」が一番の問題点に。中東情勢の緊迫化を含め、複合的な要因への対応を
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景況調査報告(2026年5月)第130号(PDF:3.2MB)
【概況】
「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した企業の割合を差し引いた「業況判断DI」の「今月の状況」は、前回の26から19へ7ポイント「良い」超過幅が縮小しました。業種別では、すべての業種でDI値が前回を下回りました(建設業:38→15、製造業:13→△2、流通業:18→17、サービス業:33→31)。とりわけ建設業(23ポイント)と製造業(15ポイント)は2桁の大幅悪化となりました。
「前年同月比」(同)は、前回の12から0へ、12ポイント「好転」超過幅が縮小し、「好転」と「悪化」が均衡しました。業種別では、建設業(11→△11)、製造業(2→△5)、流通業(7→△7)でDI値がマイナス値に転じ、サービス業(21→13)も9ポイント「好転」超過幅が縮小しました。建設業のマイナス値は4年半(18期)ぶりです。
「次期見通し」(同)も前回の33から10へと23ポイントの大幅下落です。すべての業種でDI値が2桁台で下落しました(建設業:30→△1、製造業:21→△7、流通業:26→5、サービス業:43→25)。
景況悪化のもっとも大きな要因は、仕入価格の激しい上昇です。「仕入価格変動DI」(今月の状況)は、前回の55から71へ16ポイント「上昇」超過幅が拡大しました。「文書回答」でも「すべての仕入れ価格が上昇」とするコメントが散見されました。
「景況分析会議」で報告された各業種の現況では、建設業からは建設費の上昇に加えて、金利の上昇もあって「分譲・投資用・戸建てともに住宅は減速」「デベロッパーにも住宅から非住宅へシフトする動きがある」など、潮目の変化を指摘する声が聞かれました。中東問題による資材不足については、「5月時点で完工の目途が立たない案件は着工を見合わせるものも出ている」との報告もありましたが、「建設資材価格は上昇しているが、入手できないということはない。状況も徐々に改善してきている」との声が聞かれました。
製造業からも、材料価格の上昇を指摘する声が多く聞かれました。とくに「ポリプロピレン1.6倍、ポリエチレン1.8倍」など、ナフサ由来製品が大きく値上がりしています。また、日中摩擦によるレアアース(タングステン)の調達難から、「超硬切削工具の価格が2倍になった」との情報も寄せられています。需要面については、「AI、データセンター関係の受注は好調で、高水準を持続している」(半導体製造装置関係)、「小型ロボットの中国需要が回復したことで、勢いは鈍化するものの当面は堅調に推移しそう」(ロボット関係)との情報がある一方、「次世代EVの開発が中止となったことで、先の投資計画も白紙に」(自動車関連)など、先行き不安を訴える声も聞かれました。
流通業では「客先に中東問題の影響が広がっている」「ビニール袋などの物流資材が7月頃までしか確保のめどが立っていない」など年後半からの影響が危惧されています。
企業の仕入コストの上昇は最終的には消費者物価を押し上げて消費需要を減退させます。「今のところ大きな影響はない」とされるサービス分野などにも今後スタグフレーションの波が押し寄せてくる可能性は高いと見られます。経営者は警戒レベルを高く保ち、慎重な経営の舵取りに一層注力すべきです。
[調査要項]
| 調査期間 | 2026年5月18日~5月27日 |
|---|---|
| 対象企業 | 愛知中小企業家同友会会員企業 |
| 調査方法 | 会員専用サイト(一部FAX)にて配信、自計記入、回収 |
| 回答企業 | 会員企業より1514社の回答を得た。業種内訳は以下 (建設業274社、製造業272社、流通業383社、サービス業585社) |
| 平均従業員 | 23.4名(中央値7名) |
なお、本報告は愛知中小企業家同友会・経営環境調査委員会(委員長、安藤寿・Lavie(株)代表取締役)が実施した調査結果をもとに、景況分析委員の業界情報を集めてまとめたものです。
【業況判断】
建設業と製造業、落ち込み顕著
「前年同月比」「次期見通し」は全業種で大きく悪化
今月の状況は、前回の26から19と7ポイント「良い」超過幅が縮小し、悪化傾向が鮮明になった。業種別では、建設業が38から15、製造業が13から△2、流通業が18から17、サービス業が33から31と、全業種で悪化しているものの、とりわけ建設業と製造業の落ち込みが顕著である。
前年同月比は、前回の12から0と12ポイント「好転」超過幅が縮小と、こちらも大きく悪化し、2022年2月期調査以来の数値を示した。業種別では、建設業が11から△11、製造業が2から△5、流通業が7から△7、サービス業が21から13と、建設業と製造業にとどまらず、全業種で悪化傾向を示している。
次期見通しは、前回の33から10と23ポイント「良い」超過幅が大きく縮小。これは、2021年5月期調査以来の値である。業種別では、建設業が30から△1、製造業が21から△7、流通業が26から5、サービス業が43から25と、こちらも全業種で悪化傾向を示している。
【売上高】・【経常利益】
全業種で落ち込み
「次期見通し」建設業・製造業でコロナ禍に次ぐ値
売上高DI(前年同月比)は、前回の18から11と7ポイント、「増加」超過幅が縮小した。業種別では、建設業は14から2と12ポイント、製造業は0から△2と2ポイント、流通業は17から7と10ポイント、サービス業が28から24と4ポイント、いずれも「増加」超過幅が縮小した。
3カ月先の次期見通しは、前回の19から△1と20ポイント、こちらも「増加」超過幅が大きく縮小した。業種別では、建設業は15から△16、製造業は5から△18、流通業は17から△1、サービス業は29から15と、いずれも2桁「増加」超過幅が縮小した。
経常利益DI(今月の状況)は、前回の27から22と5ポイント、「黒字」超過幅が縮小した。業種別では、サービス業は35から33と大きな変化はなかったが、建設業は28から21、製造業は20から9、流通業は19から14と、いずれも「黒字」超過幅が縮小した。
前年同月比は、前回の13から5と8ポイント、「好転」超過幅が縮小した。業種別では、製造業は1のまま変化がないものの、建設業は14から△3、流通業は10から△2、サービス業は19から14と、いずれも悪化傾向を示した。
3カ月先の次期見通しも、前回の30から12と18ポイント、「黒字」超過幅が縮小した。業種別では、建設業は25から1、製造業は22から△8、流通業は25から9、サービス業は38から27と、いずれも2桁「黒字」超過幅を縮小した。
いずれの業種も悪化を示しているが、なかでも次期見通しについては、建設業と製造業で、2020年のコロナ禍に次ぐ低い値を記録している。
【在庫感】
「過剰」「増加」超過幅が大きく縮小
今月の状況は、前回の14から3と11ポイント「過剰」超過幅が大きく縮小した。業種別では、製造業(17→2)が15ポイント、流通業(12→3)が9ポイント「過剰」超過幅が縮小と、いずれも同じ傾向を示している。
前年同月比は、前回の10から2と8ポイント「増加」超過幅が縮小した。製造業(11→0)が11ポイント、流通業(8→3)が5ポイント「増加」超過幅が縮小と、こちらも同じ傾向を示している。
次期見通しは、前回の13から2と11ポイント「過剰」超過幅が縮小した。製造業(13→0)が13ポイント、流通業(13→3)が10ポイント「過剰」超過幅が縮小と、こちらも同じ傾向を示している。
【取引条件】
全業種で「悪化」傾向
次期見通しは、流通業の「悪化」が鮮明に
前年同月比は、10から2と8ポイント「好転」超過幅が縮小した。建設業(11→0)、製造業(13→10)、流通業(2→△5)、サービス業(12→4)と、業種により縮小幅は異なるものの、全体として「悪化」傾向を示している。
次期見通しは、9から△2と11ポイント「好転」超過幅が縮小した。建設業(8→△4)、製造業(7→3)、流通業(4→△10)、サービス業(13→3)と、同様の「悪化」傾向を示しているものの、縮小幅は前年同月比より大きく、特に流通業はコロナ禍に匹敵する「悪化」見通しを示している。
【資金繰り】
「窮屈」超過は変わらず、更に厳しい次期見通し
今月の状況は、前回の△19から△19へ横ばいで推移した。業種別では、流通業(△24→△21)のみ「窮屈」超過幅が縮小したものの、建設業(△21→△21)は変わらず、製造業(△21→△23)、サービス業(△12→△14)は「窮屈」超過幅が拡大した。
次期見通しは、前回の△14から△20と6ポイント、「窮屈」超過幅が拡大した。業種別では、建設業(△23→△24)、製造業(△17→△28)、流通業(△19→△20)、サービス業(△6→△13)と、全業種で同様の傾向であり、なかでも製造業の「窮屈」超過幅の拡大が顕著である。
【設備過不足】・【施設稼働率】
建設業の設備「不足」は解消するも、好材料なし
設稼働率の次期見通しは大きく「低下」
設備過不足DI(今月の状況)は、△11から△11へ横ばいで推移した。業種別では、建設業(△21→△12)、サービス業(△14→△13)は「不足」超過幅が縮小した一方、製造業(0→△7)、流通業(△6→△10)は「不足」超過幅が拡大した。
次期見通しは、△10から△11と、ほぼ横ばいで推移した。業種別では、建設業(△21→△14)のみ「不足」超過幅が縮小した一方、製造業(0→△2)、流通業(△6→△11)、サービス業(△12→△13)は「不足」超過幅が拡大した。
施設稼働率DI(前年同月比)は、前回の△2から△6と4ポイント「低下」超過幅が拡大した。業種別では、製造業(△2→△8)は6ポイント、流通業(△3→△5)は2ポイント、「低下」超過幅が拡大した。
次期見通しは、前回の3から△9と12ポイント「低下」超過幅が拡大した。業種別では、製造業(1→△14)は15ポイント、流通業(4→△4)は8ポイント、「低下」超過幅が拡大した。次期見通し、なかでも製造業の施設稼働率の低下が顕著である。
【雇用動向】
人手不足感はやや解消するも業種ごとに偏り
今月の状況は、△36から△31と「不足」超過幅が縮小した。業種別では、サービス業(△31→△31)は高い「不足」超過幅で横ばい、流通業(△36→△31)は5ポイント、建設業(△52→△43)は9ポイント、製造業(△31→△17)は14ポイント、それぞれ「不足」超過幅が縮小した。
次期見通しも、△34から△30と「不足」超過幅が縮小した。業種別では、サービス業(△29→△30)で、やや「不足」超過幅が拡大したものの、流通業(△31→△30)は1ポイント、建設業(△52→△43)は9ポイント、製造業(△30→△15)は15ポイント、それぞれ「不足」超過幅が縮小した。
人手不足感は解消していないものの、今月の状況、次期見通し共に、同じ傾向を示しており、中東情勢の各業種への影響具合を、そのまま反映しているものと考えられる。
【価格変動】
多くの項目で、過去最大の数値を記録
製造業の価格上昇が顕著
仕入価格変動DI(今月の状況)は、前回の55から71と、16ポイント「上昇」超過幅が大きく拡大した。この値は、過去2番目に高い数値である。業種別では、製造業(63→90)・建設業(66→89)・流通業(54→69)・サービス業(46→54)と、業種ごとに差はあるが、すべての業種で「上昇」超過幅が拡大した。特に、製造業の拡大幅27ポイントは、統計以来最大の数値である。
前年同月比は、62から72と、10ポイント「上昇」超過幅が拡大。業種別では、製造業(73→91)・流通業(59→72)・建設業(79→89)・サービス業(49→54)と、こちらも業種ごとに差はあるが、すべての業種で「上昇」超過幅が拡大した。なお、いずれも高い値であり、流通業とサービス業は過去最大の数値である。
次期見通しも、53から67と、14ポイント「上昇」超過幅が拡大。業種別では、製造業(61→90)・建設業(65→79)・流通業(52→66)・サービス業(43→52)と、今月の状況、前年同月比と同じ傾向を示した。建設業を除くすべてで、過去最大の数値を記録し、中でも製造業の拡大幅29ポイントは、こちらも今月の状況と同じく、統計以来最大の数値である。
販売価格変動DI(今月の状況)は、前回の39から46と、7ポイント「上昇」超過幅が拡大した。業種別では、サービス業(35→32)のみ「上昇」超過幅が縮小したものの、建設業(45→59)・製造業(38→51)・流通業(44→52)で、「上昇」超過幅が拡大した。なお、全業種DIと、建設業・流通業DIは、統計以来最大の数値である。
前年同月比は、46から52と、6ポイント「上昇」超過幅が拡大した。業種別では、サービス業(39→37)のみ「上昇」超過幅が縮小したものの、建設業(55→66)・製造業(51→60)・流通業(49→56)で、「上昇」超過幅が拡大した。なお、全業種DIと、建設業・流通業DIは、販売価格変動DI(今月の状況)と同様、統計以来最大の数値である。
次期見通しは、37から45と、8ポイント「上昇」超過幅が拡大した。業種別では、製造業(35→56)・建設業(42→60)・流通業(44→46)・サービス業(31→33)と、すべての業種で「上昇」超過幅が拡大した。こちらは、流通業を除くすべてで、過去最大の数値を記録し、中でも製造業の拡大幅21ポイントも、統計以来最大の数値である。
多くの項目で、統計以来最大の数値を記録しているが、中でも製造業の拡大幅が最大を記録している。
【借入金利】
建設業・流通業の「長期借入金利」が最高値
金利の「上昇」傾向止まらず
短期借入金利DIは、前回調査の28から27と高い値のまま、ほぼ横ばいで推移した。建設業(32→31)・製造業(42→41)・流通業(32→33)・サービス業(16→15)と、業種ごとでも同様の傾向である。
長期借入金利DIは、前回調査の32から33と、こちらも高い値のまま、ほぼ横ばいで推移した。しかし、製造業(45→45)・流通業(39→41)・サービス業(19→20)は、大きな変化はなく、同様の傾向を示したのに対し、建設業(34→39)は5ポイント「上昇」超過幅が拡大した。建設業・流通業では、過去最大の数値を記録しており、金利負担が増加していくと予想される。
【経営上の力点など】
「仕入単価の上昇」が一番の問題点に
中東情勢の緊迫化を含め、複合的な要因への対応を
全業種で見た経営上の問題点は、「仕入単価の上昇」(44%)「人件費の増加」(34%)「従業員の不足」(26%)「民間需要の停滞」(26%)と、続いた。「仕入単価の上昇」が40%を超えるのは、2023年8月調査以来である。
また「仕入先からの値上要請」(15%)が、前回の6%から目立って上昇している。「金利負担の増加」(9%)も、前回の7%から更に上昇と、高い数値を記録しており、厳しい状況がうかがえる。
文書回答や会議の場では、「仕入の納期は伸びているが、需要も落ちている分、幸い仕事を進められている」「材料・塗料の仕入は遅れぎみで、仕入価格は上がっているが、入手はできている」(建設業)、「油脂類が入手困難」「仕入先の価格上昇が激しく、価格交渉・転嫁が追い付いていない」(製造業)と、業種・サプライチェーンによって、中東情勢の影響が異なる形で表れている状況が交流された。
ただそれ以上に、「全ての材料価格が上昇し、価格転嫁はできても利益を圧迫し、賃上げの原資が足りない」(製造業)、「大手自動車メーカーの大型投資減もあってか、以前から新規出荷・販売台数は減少しており、メンテナンス案件ばかり好調」(流通業)と元々の物価上昇や、中国のレアアース輸出規制、脱プラスチックの潮流などが、複合的に悪影響を与えているといえる。
また、「商流上、秋頃より必ず影響が出てくる」(流通業)、「中東情勢の影響は少ないが、取引先が影響を受けて、プロジェクトの縮小と自社へ波及することが心配」「金利の上昇は、今後の設備投資において懸念」(サービス業)など、直接の影響はなくとも今後の対応を準備する声も目立った。
全業種における経営上の力点は、第1位に「付加価値の増大」(57%)、第2位「新規受注(顧客)の確保」(51%)、第3位「人材確保」(29%)、第4位「社員教育」(28%)と、前回調査時と同様で、傾向に変化は見られない。なお「人件費以外の経費削減」(12%)が前回の9%から、「財務体質の強化」(23%)が前回の22%からさらに上昇しており、強靭な経営体質へ向けて、多くの経営者が見直しを始めていると考えられる。
<会員の声(業種別)>
(1)建設業
●業況判断DIは「今月の状況」が38→15へ大幅に悪化し、「次期見通し」も30から△1へ低下するなど、先行きへの慎重な見方が強まっています。売上高DIは「前年同月比」で14→2、「次期見通し」で15→△16と大幅に悪化しました。経常利益DIも「前年同月比」で14→△3、「次期見通し」で25→1へ低下しており、建設業における先行き不安の高まりが表れています。一方、仕入価格DIは「今月の状況」が66→89と高水準で推移しており、中東情勢を背景としたナフサ不足や資材価格の高騰が収益を圧迫していると考えられます。建設資材や塗料、接着剤の供給不安に加え、人手不足や運搬コストの上昇も重なり、経営環境は一段と厳しさを増しています。
文書回答では、中東情勢の長期化によるナフサ不足や資材価格の高騰、住宅ローン金利の上昇などを懸念する声が寄せられました。住宅関連では資材不足による着工延期や工事の遅れが発生する一方、値上げ前の駆け込み需要も見られます。今後は資材調達の安定化と適切な価格転嫁への対応が重要な課題となっています。(事務局 愛澤)
1.総合工事、リフォーム、大工、室内装飾
- 中東情勢の長期化により、今後さらに資材不足や価格高騰が進めば、建設業界全体への影響が深刻化し、経営継続が困難となる企業が増加する。状況によっては公的支援が必要である。
- ナフサ由来製品の供給不足が続いており、内装工事に欠かせない床用接着剤の受注停止が発生している。接着剤には使用期限があるため十分な在庫確保が難しく、材料があっても施工できない状況が懸念されている。
- 7月以降、内装材の価格が20~30%程度上昇する見込みであり、資材価格の高騰による需要の冷え込みを不安視する声が上がっている。
- 相次ぐ資材価格の上昇により価格転嫁を進めざるを得ない状況となっており、値上げによる受注減少を懸念しなければならない。
2.基礎、鉄筋、土木、コンクリート、解体
- アスファルト合材価格は20年前と比較して約2倍に上昇している。貨物自動車運送事業法の施行による運搬体制の変化やアドブルー不足も重なり、建設業界全体で運搬コストの上昇が懸念されている。
- 資材価格の高騰と供給不安が続いており、見積提出後に価格が変動するケースも多く、適正な価格設定や受注判断が難しい状況となっている。
- 塗料価格の大幅な上昇や供給不足により、価格転嫁が進まない案件では工事の中止も発生している。また、入荷時期が不透明なため工程管理が難しく、人員配置にも影響が出ている。
- ナフサ不足を背景とした塗料原材料の供給逼迫や価格高騰が続いており、民間需要の低下や建設市場の冷え込みが不安。
3.給排水管工事、電気工事、設備工事
- 空調設備に使用されるナフサ由来のプラスチック部材について、入荷時期の見通しが立たない状況が続いている。2027年の省エネ基準強化に伴う駆け込み需要も発生しており、部材不足への懸念が高まっている。
- 取引先を含めてBCP(事業継続計画)への関心が高まっており、危機管理体制の整備を進める企業が増えている。災害リスクへの備えとともに、価格転嫁への理解を得るための説明や交渉にも取り組んでいる。
- 技術者不足が深刻化しており、日本人技術者の採用や育成が難しい状況が続いている。原材料価格や人件費の上昇により見積額と顧客の価格感覚との乖離も大きくなっており、価格転嫁や技術継承が課題となっている。
- 第2新卒向けの採用活動でも施工管理職の応募が少なく、将来的な技術継承への不安が高まっている。
- 個人顧客の中には修繕工事費を捻出できず、必要な設備更新や修繕を先送りするケースも見られ、今後の需要動向への影響が懸念されている。
4.建築設計・不動産
- 住宅価格の大幅な値上がりが見込まれることから、一部で駆け込み需要が発生している。一方で、資材不足や価格高騰により着工延期や受注停止も発生しており、住宅市場は厳しい状況にある。
- 工場用地など事業用不動産への引き合いはあるものの、景気の先行き不透明感から成約には結び付きにくい状況が続いている。
- フラット35など固定金利の上昇が続いており、住宅購入者の負担が増加している。今後さらに金利上昇が進めば、住宅需要の冷え込みがある。
- 住宅業界全体としては、資材高騰と金利上昇の影響を受け、今後さらに厳しい経営環境となることが予想される。
(2)製造業
●業況判断DI「今月の状況」は13→△2、「前年同月比」は2→△5、「次期見通し」は21→△7といづれも大幅に悪化しました。売上高DI「前年同月比」は0→△2で「減少」が「増加」を上回りマイナス値となりました。「次期見通し」も5→△18と「減少」超過幅が大きく拡大しました。経常利益DI「今月の状況」は20→9と「よい」超過幅が大きく縮小、「前年同月比」は1→1で横ばい、「次期見通し」は22→△8と「赤字」超過幅が大きく拡大しました。仕入価格変動DI「今月の状況」は63→90、「前年同月比」は73→91、「次期見通し」は61→90と「上昇」超過幅が大きく拡大し、ロシアによるウクライナ侵攻や円安の影響が大きかった2022年以来の超過幅となりました。販売価格変動DI「今月の状況」は38→51、「前年同月比」は51→60と価格転嫁が仕入れ価格の上昇に追いついていない状況は顕著です。文書回答でも仕入価格の上昇分を転嫁できないという声が多数ありました。短期借入金利DI「今月の状況」は42→41、長期借入金利「今月の状況」は45→45と、依然として「上昇」超過幅が大きい状況です。
中東情勢の緊迫化を背景としたナフサ関連資材の供給不安や価格高騰に関する声が多く寄せられる結果となりました。先行きが不透明である一方で、物価や金利の上昇は続くことが予測されます。打てる手立てを全社一丸で考えていきましょう。(事務局 杉山)
1.鉄鋼業、金属加工
- 6月くらいから、我々の業界が影響を受け始める。シンナー、インキ、フイルム等の不足により、入荷が減ってくる様相。 受注産業なので、ラインが止まれば、生産も止まる。コロナよりも深刻で先が見えない。住宅設備の新製品の案件もあったが、延期となり再開の見込みも立っていない。
2.樹脂加工
- 自動車のモデルチェンジがないため新製品受注がない。今後の自動車業界の先が不透明になっている。
- 安定供給の為に、材料、塗料の入手を一番に動いている。価格は上昇しているが、それを交渉し、了承していただいている。それに対応いただけるか否かが今後の取引が出来るかの指標になってくると思う。
- 石油化学製品を扱っている為、中東情勢の影響も増して以前からの原材料の価格上昇が続いている。
営業業務としてお客様に価格転嫁する為、日々その仕事に追われている。先ずは価格転嫁をやり切らないといけない。 - ナフサの影響で原料価格の高騰、在庫確保が困難など先の見通しが全く見えない。コロナ禍の時よりも大きな影響が出る懸念をしている。
3.機械部品・機械製造
- 今年2月頃から半導体、電子部品業界を中心に受注が増加傾向であり、業界的にもかなり上向きになってきた顧客が増えている。ナフサ、レアアースなどの不安要素はあるものの、2027年をピークに半導体業界はしばらく活況との見通しを聞くことが多くなった。
- 有機溶剤等入手しずらいものが出てきているが、全く入手できないわけではないので何とかなっている。それよりは色んな仕入れ物の値上げ幅が大きすぎる。弊社のように受注から納品まで半年から1年かかる産業は値上げしても製作途中で値上げが重なり追いついていかない。効率化を高める検討を継続していきたい。
4.パルプ・紙・紙加工品製造業、包装資材
- 輸出用のパッケージは停滞している。先行きもまったくわからない状況。加工種柄、廃業が多いため注文数は増えているが、消費減少傾向から1回の受注数は減少傾向にある。
- 資材など値上げではなく、注文ストップする品物も出てきた。非常に困惑している。
5.木材・木製品製造業
- 副資材不足により建築現場の滞りが一部出ている模様だが、現時点では大きな販売不振にはなっていない。今後の物件については、着工延期や出荷先延ばしの要請は出始めているようなので、今後の動向には警戒をしている。
6.身の回り品
- 資材高騰・人件費上昇により販売価格の値上げを数年続けてきたが、小売価格が高くなりすぎて物が売れづらくなっているように思われる。
7.食品
- ナフサ由来原材料の値上げが続き、エネルギー関連もいよいよ値上げになるので、販売価格への転嫁が遅れないように進めている。
- 大手企業ほど値上げ要求を聞き入れてもらえないことが多い。
(3)流通業
●業況判断DI「今月の状況」は18→17と横ばいですが、他の業種同様に悪化の兆しが見られます。
一方で「前年同月比」は7→△7、「次期見通し」は、26→5と「よい」超過幅は大幅に縮小しており、悪化傾向を示しています。売上高DI「前年同月比」は17→10と「増加」超過幅は縮小、「次期見通し」では17→△1と、「増加」超過幅が2桁縮小しマイナス値に転じています。
仕入価格変動DI「今月の状況」は54→69、「前年同月比」は59→72、「次期見通し」は52→66といずれも「上昇」超過幅は大きく拡大し、すべてで調査が始まって以来、過去最大の数値を示しています。販売価格変動DIは「今月の状況」44→52、「前年同月比」49→56と、いずれも過去最大の数値を示し、「次期見通し」も44→46と「上昇」超過幅が拡大しました。仕入価格と販売価格に乖離が見られ、価格転嫁が難しいことが予測されます。
短期借入金利DIは32→33と「上昇」超過幅は、ほぼ横ばい。長期借入金利DI「今月の状況」は39→41と「上昇」超過幅が拡大し過去最大の数値を更新し金利負担の増加が懸念されます。
在庫感DIは「今月の状況」12→3、「前年同月比」8→3、「次期見通し」13→3のように「過剰」超過幅が縮小しており、在庫量の減少傾向が見られます。
経営上の問題点は「仕入単価の上昇」43%、「民間需要の停滞」30%、「人件費の増加」30%と続いています。経営上の力点は「付加価値の増大」58%「新規受注(顧客)の確保」54%と、この2点が特徴的といえます。(事務局 井上誠一)
1.機械器具小売業
- 自動車メーカーの生産台数計画は、一時、中東向けが作れないとのことで減少したが、向け先地を変えることで6月には1日14000台を回復するとのこと。しかし、設備に関しては、EV向けを除き、あまり動きは見られない。堅調に推移してきているし、今後もそのように予想できる。半導体製造装置は、年初から本格的に動き始め、今でもその流れが続いている。当分このぐらいのレベルで動くことが期待される。ロボットは、小型ロボットの需要が中国で回復し、生産量も今後20から30%ほど増えると予想されている。
- 自社の業界では、中東情勢による原油由来製品の供給不足と日中関係悪化によるレアメタルの供給不足のダブルで効いており、値上げ対応に追われ思った様な営業が出来ない。人材確保もままならず機会喪失も増えている。仕事はあるもやり切れない状況にある。
- コロナ禍の半導体不足→各メーカー不祥事にて需要はあるけど供給が出来ない状況が始まっています。
ホルムズ海峡封鎖により鈑金業務も止まりました。
2.道路貨物運送業
- 軽油単価およびその他原価高騰するも、それとともに貨物の輸送取扱量も減少しているため安易に値上げ交渉に進めない。まずは忍耐し、状況を見つつ経営判断をしていきたい。
- 他社の話を聞いてもそれほど配送量の変動はまだ出ていないように感じるが、顧客筋や他業種からの話を聞いていると中東情勢にて大きな影響を受けている業種も増えてきた為、夏ごろには影響が出てくるのではないかと予想している。燃料費などは大幅に上がっている為、コストに対する影響が非常に大きい。雇用に向けては順調に推移しているし、これからも期待できるが、業務量に心配がある為、資本力を持たなければと思う。
3.不動産取引業
- ナフサショックで建築資材を発注しても納期未定の回答。特にコーキング、クロスのり、配管、塗料は顕著。建物が完成しないとお客様へ引渡しができないため弊社も仲介手数料が入らない。また建物が完成しないのに土地を買う購入マインドも当然に低下している。そして住宅ローン金利も0.25%上がり、資材高騰で販売価格も上がり、夢のマイホームが夢で終わってしまう超高級品になってしまった印象。住宅が売れなければ引越し、家具、家電、ライフライン、外構など様々な業界にも悪影響が派生する。新築偏重から既存住宅流通へのシフト。
4.飲食料品卸売業
- 政府はナフサは足りているというが、実際に物流資材は高騰し、商品をお届けする際に使用するビニール袋など、7月頃までしか確保のめどが立っていないものもある。このままだと、サービス低下、最悪の場合事業停止をせざるを得ない状況が生まれる可能性があり、非常に不安。我々を安心させる具体的な説明を国に求めたい。また、物価上昇による消費低迷を防ぐために、消費税減税などの施策を早期に実施してもらいたいと強く願っている。
(4)サービス業
●業況判断DI「今月の状況」は、33→31と僅かに低下しました。経常利益DI「今月の状況」は、35→33、売上高「前年同月比」は28→24とやや鈍化傾向が見られます。
仕入価格DI「今月の状況」では、46→54と大幅に上昇し、原材料やエネルギー価格の高止まりに加え、人件費上昇の影響も広がっています。さらに、中東情勢の緊迫化による原油価格や物流コストへの懸念も、仕入価格上昇の一因となっていると考えられます。一方で販売価格DI「今月の状況」では、35→32と低下しており、価格転嫁が十分に進んでいない状況がうかがえます。資金面では、資金繰りDI「今月の状況」が△12→△14とやや悪化しました。雇用動向DI「今月の状況」は△31→△31と横ばいで推移しており、依然として高い人手不足感が続いています。経営上の問題点でも「人件費の増加」「従業員の不足」が上位を占めています。
3業種毎に見ると、業況判断DI「今月の状況」が、専門サービス業15→35、対個人サービス業20→26、対事業所サービス業30→33となり、専門サービス業では大幅な改善が見られ、堅調に推移している様子がうかがえます。経常利益DIが、専門17→34、個人20→31、事業所40→39となっています。次期(3カ月先)見通しでは、業況判断DIが、専門19→27、個人28→28、事業所38→13。経常利益DIが、専門19→20、個人27→26、事業所43→20となり、専門と個人では高い期待感を示しましたが、対事業所では慎重な見方です。経営上の力点では、「付加価値の増大」が最重点であり、価格競争に頼らない付加価値の高いサービスが求められています。(事務局 伊藤)
1.建築設計
- 分譲・投資用・戸建てともに住宅は減速し始めている。工事現場の資材不足は小さな工務店ほど深刻な状況。
- 価格高騰をお客様に転嫁できるように 理解をしてもらう説明が必要。
- 仕入れが出来ずに仕事が進まない。値上げで資金が圧迫されている。
2.生活サービス
- 生成AIの発達により顧客での内製化が進み、発注減、単価が下がってきている。(印刷業)
- 印刷関連の仕事は仕入れ値が極端に上昇している。中東情勢により広告費が削減され、受注が減少している。(広告業)
- 原油価格の高騰、ナフサ不足によるプラ製品等の在庫確保難や、仕入価格値上げの取引先から要請あることで懸念される。(飲食業)
- すべての原材料において30%以上の値上げ。高価に売れる大手とか潤沢な資金がある企業から原材料を搬入している。価格が安いところに客が集まり、宣伝力のあるところに、良いお客さんが集まり、給料が良くて、大きな会社に、「優秀な人材」と「優れた商品」が集まる社会になっていく。(クリーニング業)
3.福祉
- 昨今の中東情勢の緊迫化や世界的なインフレの影響により、原油価格や物流コストが上昇し、日本国内でも物価高騰が続いている。特にガソリン代や光熱費、医療材料費など、訪問看護事業に直結するコスト負担は大きく増加している。人材確保のためには看護師等の処遇改善も必要不可欠となっている。しかし、訪問看護の診療報酬・介護報酬は物価や人件費の上昇に十分対応できておらず、事業所の収益構造は厳しさを増している。
4.自動車整備・販売
- 部品やエネルギー価格の上昇、人材不足の影響から、利益確保が追い付かない。
5.機械警備
- 中東情勢の悪化を受けて6か月以降に影響が出始めるため準備(戦略)を急ぐ必要がある。
6.専門
- AIの利用用途がどこまで広がるのか、AIに聞いても想像を超えている。これは仕組みを変化させていかなければならないと思っているが、本格的に手を付けられていないのがもどかしい。
- ホルムズショックは予想以上に大きく長引きそうだ。賃上げは「30年」の間、2~3%で済んできたが、これからは5~6%にしないといけない。賃上げの原資をどう導き出していくかを学びとっていきたい。












