「同友会らしさ」とは何か
馬場 愼一郎氏 データライン(株)
第16期役員研修大学第10講座、馬場愼一郎氏の報告要旨を紹介します。
シンプルで奥深い
同友会入会後、先輩会員から「それは同友会らしくないね」と言われました。その先輩方の言う同友会らしさというと、人間尊重の経営、共育ち、経営指針、仲間づくり等、同じ答えは出てきません。なかには、「経営指針は不要だ」と言う人までいました。しかし、形式的な経営指針の有無よりも、各社の状態に応じて、「意義のある指針とは何か」を突き詰めることが大切です。
同友会らしさは、ことばで表現すればシンプルですが、実際にやってみることが大切であり、各社の実践に照らし合わせればとても奥が深いのです。
歴史的結果と過程の中に
労使見解、憲章草案、21世紀型企業など、同友会には道標となる文書がいくつかまとめられています。労使見解であれば、戦後混乱期の激しい労使闘争の中、先輩経営者たちが真剣に討議を重ね、10年以上をかけて辿りついた考え方です。
討議を重ねまとめられた文書は、歴史的結果の財産です。結果と同じくらい、そこに辿りついた過程も大切です。表面的に労使見解を受け入れるだけでなく、なぜそれが産み出されたかを知ること。また、同じ悩みを持つ経営者が集まり、自社の実態を基に真剣に議論する姿勢が重要です。
生まれる新たな課題
私が入会した10年前は、売上が激減している最中でした。例会で、事態の挽回のために自分がどれだけ必死かを報告すると、「それ、君が1人でやっているわけじゃないよね」と言われ、当時はその意味に気づきませんでした。しかし、同友会活動に関わる中、次第に我流だった自分に気付きました。今も分かったつもりにならないよう、常に自問自答を心掛けています。
報告者の個別具体的な現象を同友会の考え方に照らして考え、議論し、そこで生まれる自社の新たな課題を持ち帰り、自分で答えを見つけること、これが「同友会らしさ」だと思います。