活動報告

第17期役員研修大学 第6講座(10月17日)

「人を生かす」(経営)とは

杉浦 昭男氏  真和建装(株)

「『労使見解』と『共に育つ』は同友会の1丁目1番地」と杉浦氏

「『労使見解』と『共に育つ』は同友会の一丁目一番地」と杉浦氏

第17期役員研修大学第6講座、杉浦昭男氏の報告を紹介します。

「人を生かす」とは経営者の覚悟である

36年前、同友会に入会した頃は、多くの先輩から「同友会は利益をあげる学びではなく、社員と向き合う経営者の姿勢を学ぶ会だ」と何度も言われました。経営の本質は、社員との信頼関係をいかに築くかにあります。「同友会に入会したら、社員のことを真剣に考えてくれるようになったね」と周囲に言われるような学びが必要です。

同友会は、戦後の厳しい労働闘争の中で、人間尊重を土壌として誕生しました。すべての人間は、平等であり対等だということです。社長権限を持つ私たちには、対等な関係を築く努力が求められます。「人を生かす」の「生かす」は、相手の上に立つのではなく、社員を幸せにする経営者の覚悟だと考えます。

私の会社には2人の障害者が働いています。彼らは幸せになりたいと願い、一生懸命に生きています。私は、障害者が健常者と同等に権利を行使できるか、どうしたら幸せになれるかを考える中で、自ずと対等な関係を築いてきました。F君は「真和建装に入ってよかったと言える自分になりたい」、S君は「会長は楽しい、おもしろい」と言ってくれました。これは、私にとって最高の勲章です。

経営者の使命とは

「労使見解」と「共に育つ」は、同友会の一丁目一番地と言えます。経営者と社員の間にある埋まらない溝を、できるだけ狭める、社員がついていきたいと思う自分をつくり上げていくことが肝心です。

「桃李不言 下自成蹊」(トウリフゲン カジセイケイ)という言葉があります。例えば、1本の桜の木がその人生を謳歌し、きれいな花を咲かせたら、その美しさを認められ、たくさんの人が集まり、いつしかそこには道ができるという意味です。

人は誰でも、この桜の木のように「認められたい、幸せになりたい」という気持ちを持っています。そんな社員一人ひとりの自主性や潜在能力を発揮できる環境をつくることこそ、経営者の使命と言えるのです。