活動報告

第18期共育講座 中間まとめ(8月25日)

労使見解を生かした経営指針

吉田 幸隆氏  エバー(株)

「労使見解は企業づくりの原点」

第18期社員と学ぶ共育講座(32社、112名が参加)中間まとめ・吉田幸隆氏の報告を紹介します。

労使見解を深める

自社は常滑市で自動車プレス工場を営んでいます。リーマンショック以前までは、黙って俺についてこいというスタンスで独り善がりな経営をしていましたが、状況が苦しくなり、先行きが見えない中、自社の存在意義や社員との関係を見つめ直しました。

同友会の「人を生かす」とは、同友会理念の根底にある深い意味を企業経営の基本的な考え(理念)としています。従って、すべての人間が自主的に生き、その素晴らしさを発揮できるように経営者が日々関わるという意味で「生かす」という言葉を用いているそうです。ここに経営者の姿勢が込められていると思います。

また、対等な労使関係とは、経営者と社員は人間として同じ命であるということです。経営者は社員の潜在能力を発揮させる努力をし、全社員の成長を諦めることなく機会を提供し続け、「中小企業だからできない」などという言い訳をしてはいけません。何故できないのかを考え、社員と徹底的に話し合い、理解と納得の上で改善していくことが重要です。

将来を見据えて

2008年のリーマンショック、11年の東日本大震災が起こり、3年連続で事業計画書の目標が達成できませんでした。金融機関に「経営環境が厳しく、計画通りにはできません」と伝えると、「同じ環境下でも達成できている企業があるのになぜできないのか」と責められました。腹立たしい気持ちもありましたが、言い訳をしている自分に気付きました。

ある社員から「最新機械を入れて業界一にしたい」と言われました。私には将来を見据えた設備投資を考える余裕が無く、「できたらいいね」と曖昧に答えました。数日後、彼から退職の申し出がありました。約4カ月の話し合いを経て、付加価値を高め、一緒により良い会社にする決意をしました。彼は現在、課長として活躍してくれています。

労使見解は企業づくりの原点であり、先駆者から学ぶのは、使命感や真摯に己を磨く自助努力のエネルギーです。自らの経験を増やし、素直に実直に行動することで、少しずつ全社一丸体制の風土になっていくのだと思います。