継続的な共育で人が育つ企業づくり
磯村 太郎氏 サン樹脂(株)
第19期社員と学ぶ共育講座(33社、100名が参加)第3講座・磯村太郎氏の報告を紹介します。
社員が会社にいる理由
私は、27歳の時、父が倒れたことをきっかけに入社しました。当時から、今いる社員は自分も含めて必ずいなくなり、人を採用して教育していかなければ会社を維持できないと考えていました。そのため、採用した社員を早く一人前に育て、会社の発展を目指していました。
しかし、新工場建設の際に採用した社員から退職の申し出があり、それまでの教育は生産性や会社の売上を伸ばすという会社都合の教育であったと気づかされました。社員にとって、会社が大きくなることはあまり重要ではなく、協力して1つの仕事を成し遂げたり、達成感のある仕事をしたりすることを求めていることに気づいたのです。
成長とは何か
2009年より、それまでの中途採用から新卒採用に切り替えました。同友会で学び上手くいっていると思っていましたが、あるとき6名の社員が一斉に辞めるという経験をしました。
当時、売上が下がっていた焦りから無理に売上を求めたことや、多能工を目指す方針によりかえって異動が多くなり、技術が身に付かない素人集団へと変わってしまい、やりがいを奪ってしまっていたことが原因でした。
社員の育つ段階をつくることも経営者の重要な仕事の1つですが、社員に成長してほしい、その目的までを伝えているでしょうか。社員の成長は会社発展の要です。
しかし、それだけを目的に成長を強要しても、持続するものにはなりません。自分の仕事がどのように世の中の役に立ち、社会に関わっているのか、自覚してもらうことが成長への意欲につながるのではないでしょうか。人間の成長とは何か、共に考え続けていきましょう。