同友会運動の歴史と理念
~21世紀型企業からエネルギーシフトへ
加藤 昌之氏 (株)加藤設計
第20期役員研修大学・第2講座の加藤昌之氏の報告を紹介します。
民主的なサイクルが学びを深める
バブル崩壊後、多くの経営者団体が会勢を減らす中、同友会が会員数を増やしながらその運動を発展させてきた背景には、同友会の学びのサイクルがあります。
1990年、バブル崩壊により倒産する企業が続出し、経済の閉塞感が広がりました。そうした中、93年に中同協総会で「21世紀型企業」が提唱されました。翌94年、愛知研究財団はイタリア・スイスを視察し、中小企業が地域の経済を担う事例を学びます。その後、学習会を重ね、95年には愛知同友会第34回定時総会で21世紀型企業となるための具体的な活動方針が検討されました。
厳しい経済状況下であっても、(1)情勢を踏まえて今後取り組むべき事柄の仮説を立てる、(2)視察を通して確信を持つ、(3)学習会で学びを深め広げるという民主的なサイクルを繰り返すことによって、同友会は目指す姿をより明確にしてきました。この着実な一歩一歩が、現在の中小企業憲章やエネルギーシフトの取り組みに続いています。
同友会が目指す姿をヒントに自社を変える
私は、1989年に入会し、役を通して知った同友会運動を自社に置き換えて実践したことで、経営の活路を見出すことができました。
例えば99年、愛知同友会は99同友会ビジョンを提案しました。私は、その大きな枠組みである「自立型企業」と「地域と共に」を自社に置き換え、「環境建築」と「街づくり」がそれに当たると考えました。そして、先ほど述べたサイクルを自社に取り入れて、社員と会社の方向性を検討し、共有しました。このような実践を着実に続けてきたことが自社の独自性や強みとなり、今ではサステナブル建築賞を受賞するなど、自社の環境建築設計に対する評価に繋がっています。
情勢を捉え変革してゆく同友会自体も、経営の見本となります。役を通して同友会の歴史・理念・方針を勉強することで、自社をより良くするヒントを見つけることができると思います。