人生を預かる責任を持つ
磯村 太郎氏 サン樹脂(株)
第20期役員研修大学・第5講座、磯村太郎氏の報告を紹介します。
社員はパートナー
私が入社した時の社内平均年齢は46.3歳でした。手を打たなければ自社は将来存在しないという危機感から採用に踏み切りました。
2006年に工場を新設し、3名を採用しましたが、1人、また1人と退社し、10カ月後には3人目も辞めました。それまで退社理由は社員に根性がないからだと考えていましたが、「何かおかしい」「会社に問題があるのではないか」と思い至りました。
会社のあり方に悩み、社員にどう思うかを聞くと、「頑張った先に何があるのかわからない」と言われました。この時、会社の行き先を示す同友会の「経営指針」を思い出したことが、経営指針作成、共育講座、共同求人に取り組むきっかけになりました。
皆さんは社員をどのような存在だと感じていますか。私は、採用活動に取り組む過程で、労使見解の「社員はもっとも信頼できるパートナー」という考え方を意識するようになりました。「パートナー」とは、妻のような存在であるということだと私は考えています。そのように思える社員が少しずつ増えてきたのを実感していますが、今後の課題でもあると感じています。
未来のための採用
同友会で、採用に関して3つの大切さを学びました。
1つ目は、会社の理念・未来をはっきりと語ること。会社の理念に共感する人に入社してもらうためには、採用の段階で、現状も含めつつ理念やビジョンを明確に語れなければなりません。
2つ目は、長期的な視野で採用を考えること。今すぐ稼ぐ人材を求めて「今忙しいから採用」する形よりも、将来のビジョンの中で活躍する人材を採用する方が、指針書の精度を上げることや会社の成長につながると感じます。
3つ目は、まっさらな履歴書を預かる責任を持つこと。採用支援業界で「採用市場」と表現されることがありますが、学生は商品ではなく、1人の人間です。共同求人で会う学生の履歴書には学校歴以外、何も書いてありません。その人生を考えた時、サン樹脂で働いたという経歴が社員にプラスになるような会社・働き方にしていきたいと思っています。