活動報告

協働共生委員会オープン学習会(1月6日)

真の「働き方改革」に必要なもの
~「ひとの心」を高める「風土」と「制度」

向日 恒喜氏  中京大学経営学部教授

真の「働き方改革」を考えるオープン学習会に42名が参加

自尊心と「居場所感」を高める

協働共生委員会が開催した「働き方改革」オープン学習会は、報告者として中京大学経営学部教授の向日恒喜氏を招き、42名が参加して行われました。

政府が進める「働き方改革」について向日氏は、「ひとの心を経済のための道具とするものであり、中小企業にそぐわない」と指摘します。その上で、「ひとの心」に着目して「改革」を行うことで、良い職場環境づくりに活用できると述べました。

向日氏は、ひとの「自尊心」には、他者との比較による優越感に基づく「とてもよい」と、自己の中の基準に基づき自己を受け入れる「これでよい」の2面があるとして、ひとの心はこの2つの自尊心の向上を求めていると述べました。

また向日氏は、ひとが求める心理として「居場所感」を挙げ、それは自尊心と「安心感」を得られる感覚であると説明します。会社組織においては社員に対し、2つの自尊心と居場所感をバランスよく高める取り組みが重要だと述べました。

「制度」の土台となる「風土」をつくる

そのポイントは、多様性を引き出す組織風土づくりであり、個性を認め合うことで「これでよいの自尊心」を高め、組織の目的を明確化することで「とてもよいの自尊心」を高める取り組みであるとしています。

具体例としてサイボウズの、仕事・生活のバランスを選択できる「選択制人事制度」や在宅勤務、再入社制度と、その土台となっている「多様な働き方が認められ、理念が共有されている社風」を紹介しました。同社では、育児女性の離職率が大幅に低下し、生産性の向上と、育休中の経験を会社にフィードバックして在宅勤務ソリューション提案などにも繋げているとのことです。

向日氏は、自尊心には一人ひとり異なる背景があり、画一的対策ができない部分があること、企業だけで解決できない課題であることを指摘。「改革」を活用して社員が私生活において、家庭や友人関係、地域等のコミュニティを通じて自尊心を向上できれば、会社にとってもプラスになるとまとめました。