活動報告

障害者自立応援委員会(1月14日)

経営理念を軸に皆で幸せ

小島 正寛氏 (株)中央技研

何のために経営するのかを語る小島氏

魂をこめる

複雑な断面のアルミ材を美しく曲げる

中央技研はアルミ材の特殊曲げ加工を手掛け、国内外に展開しています。社長の小島正寛氏はかつて、社員5名の会社に経営指針は必要ないと思っていました。しかし、「行き先のわからない船に乗りたいと思う?」と問われ、小規模だからこそ社員が安心して働くために指針が必要なのだと気付きます。

街の中にある自社製品を見ながら、曲線の美しさや豊かさを社員と語り合い、「世界中に曲線の美しさを広めよう」と経営理念を掲げました。これが経営の軸となり、海外展開も具体化していきます。しかし、何か物足りない気がしていました。それは、「何のために経営するか」「何を大切にして働くのか」という「魂」がなかったからでした。

そこで、自分の人生を振り返り、「かけがえのないあなたと私の幸せのために、思いやり、感謝、礼儀、信頼を大切にしながら、世界中に曲線の美しさを広めよう」と経営理念をリニューアルしました。この理念が、モノづくりの土台となり、障害者雇用にもつながっていきます。

思いやりの心とモノづくりの関係

昨年、発達障害のある21歳のA君を雇用しました。ことばやコミュニケーションに凸凹があり、誤解が生じやすく、物事の理解に時間がかかります。一度話しただけでは正しく伝わらず、丁寧に何度も確認していくことで真実が見えてきます。こうした社長とA君のやりとりを見て、彼に苛立っていた社員たちも徐々に変わってきました。

きれいごとでは済まない場面もありますが、ハンディを理解し、皆で支え、その雰囲気や気持ちを共有しながら、社内の空気が温かくなってきたのを感じています。こういう思いやりの心を持ったチームがモノづくりをすれば、お客様の使い勝手や安全性を先回りして考えられるため信頼につながり、クレームはほとんどないといいます。

小島氏は、「感謝の心や思いやりが会社になければ、人を幸せにはできない。仕事が多少遅くても心の優しい人たちと一緒に仕事がしたい」と、ありたい姿を語りました。