活動報告

障害者自立応援委員会(12月13日)

あれから5年 綴られた物語
~障害者雇用の実践報告

橋本 昌博氏  (株)国分農園

2018年第12回バリアフリー交流会in西尾張で入社1年目の報告をするI君(左)と橋本社長

断れば学びの意味なし

緑化樹木の生産、販売、卸を営む橋本昌博氏は、同友会の学びをいかし、造園業界では先駆的に労働環境の改善に取り組んでいます。

障害者雇用に踏み切ったのは5年前でした。重労働で危険を伴う造園の仕事に、障害のある人が従事することは少なく、橋本氏も無理だと思っていました。

ある時、ハローワークに出していた一般求人募集に地元の特別支援学校の生徒I君から問い合わせが入ります。連絡を受けた橋本氏は当初、断ろうとしますが、「断れば、同友会で学んで身につけてきたことに意味がない」と思い直します。

まずは、実習から始めました。仕事前にI君はいつも大きな声で「さあ、頑張るぞ」と気合いを入れます。I君の覚悟と希望に圧倒された橋本氏は、「俺も生半可じゃだめだ」と腹をくくります。

雇用してからの5年

実習後、橋本氏は独断でI君を採用しました。社員の「誰が面倒みるんですか」という声を背に、I君との二人三脚が始まります。手の空いた時に誰かがやる仕事や、みんなが敬遠しがちな仕事をI君に任せ、会社全体のメリットにし、社員の理解を求めていきました。

年齢の高い社員は、その世代ゆえの障害者観があり、なかなかI君の実力を認めてくれません。橋本氏は、社員が納得するよう、5年後にI君が育てた植木を世に出そうと決意し、さらに適材適所の工夫に取り組みます。

そんな橋本氏を励ましたのは、I君の造園への熱意と、毎日元気に出勤する姿でした。責任感が強いI君は、同友会のバリアフリー交流会で仕事を教える準備も万端で、参加者への指導も上達。また、自分の収入で1人暮らしも始めました。

橋本氏は、仕事でも生活でも自信をつけ成長していくI君から、「みんなで働く会社になって社会に貢献する喜び」を教わったと言います。国分農園の実践により業界での障害者雇用が広がることを期待します。