活動報告

【連載】学ぼう、なくそう、ハラスメント(第7回)

カスタマーハラスメントから労働者・企業を守るために(2)

厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」P.24より

カスハラ対策の基本的な枠組み

カスタマーハラスメント対策の枠組みは、(1)事業主の基本方針・基本姿勢の明確化、従業員への周知・啓発、(2)被害を受けた従業員の相談対応体制の整備、(3)対応方法の策定、(4)社内対応ルールの従業員等への教育、(5)事実関係の正確な把握と事案への対応、(6)従業員への配慮の措置、(7)再発防止の取り組み、(8)プライバシー保護と不利益取扱の禁止の周知、となります。

セクハラ、パワハラなどと基本的には同じ枠組みですが、大きく異なるとすれば基本方針のあり方です。カスハラにおいては加害者が顧客となり、営業上の問題に直結するからです。

カスハラ対策をとったある介護施設の例では、カスハラを行う利用者を、場合によっては退去させる方針を出しました。我が国では「お客様は神様」という言葉が独り歩きした結果、顧客が過度な要求をしたり、それに無理をして応えたりするのが当然のような風潮がありますが、サービス業では、顧客満足には従業員満足が必須であり、このような方針となったのです。

現場でのクレーム対応

現場では、顧客のクレームがカスハラに発展することも見られます。クレームには誠意ある対応が求められますが、顧客からの暴力やセクハラ行為がある時はすぐに現場管理者に事案を引き継ぎ、1人で対応しないようにすることが大切です。また、企業の落ち度が明確でない時は、まず不快感を抱かせたことを謝罪します。その上で状況を正確に把握し、監督者や相談窓口と情報共有を行います。

カスハラ防止策として、現場では2人以上で対応する、店頭での対応を避けるなど、電話では録音機能を活用する、たらい回しをしないなど、対応マニュアルや設備を用意し、研修を行って準備しましょう。法的な縛りはありませんが、顧客の理不尽なハラスメントから従業員を守る環境整備が期待されます。

社会保険労務士法人びいずろうむ  佐藤 文子