活動報告

労務労働、協働共生合同委員会(7月8日)

ハラスメントと上司マネジメント

佐藤 文子氏
社会保険労務士法人びいずろうむ

佐藤 文子氏

7月8日に開催した協働共生委員会と労務労働委員会の合同例会では、「ハラスメントと上司マネジメント」について、社会保険労務士法人びいずろうむの佐藤文子氏に解説いただきました。

上司の過干渉とハラスメント回避

パーソル総合研究所の「職場のハラスメントについての定量調査(2022年)」では、ハラスメントに影響する上司行動の代表的なものとして「マイクロマネジメント」と「回避型マネジメント」を取り上げています。

マイクロマネジメントは、「仕事の進め方を細かく指示する」、「仕事のスケジュールを綿密に立てるように求める」、「組織のルールに従うことを厳しく要求する」、「その日の仕事の進捗や内容を細かく報告するように求める」といったものです。ハラスメント度合いが高い上司がとるマネジメント行動として傾向が強いのはこれで、部下の人数の多さ等に相関してマイクロマネジメントを行う上司が多くなる傾向もあります。

一方で回避型マネジメントとは、「部下をプライベートなイベントには誘わないようにする」、「部下を仕事後の飲み会や仕事中のランチに誘わないようにする」、「部下が不注意なミスをしてもあまり厳しく叱咤しない」、「部下とのコミュニケーションを必要以上にとらない」といったものです。これらはハラスメントから遠ざかることができますが、副作用もあります。

傾聴行動について
出典:パーソル総合研究所「職場のハラスメントについての定量調査」(2022年)

心理的距離間と部下の成長実感

部下が感じる上司との距離感に関する調査(複数回答)を見ると、多いものから順に「上司からのフィードバックが少ないと感じる」、「上司は自分を育てる気がないと感じる」、「上司から関心を持たれていないと感じる」、「上司の対応はよそよそしいと感じる」、「上司にもっと積極的に指導してほしいと感じる」、「上司から過剰に気をつかわれていると感じる」となり、上司との心理的な距離感を抱いている部下ほど成長を実感できていませんでした。

ハラスメントを回避しながら部下を成長させていくには、「部下の話を最後まで丁寧に聞く」ことや「部下の思いや意見をいったん受け入れようとする」ことなどの「傾聴行動」が必要です。しかし、傾聴行動について上司が「自分はできている・しようとしている」と認識していても、部下側の認識はそれよりも大幅に低いことが調査から分かりました。