信頼関係に基づく、良い会社づくり
(中小企業における労使関係の見解)
古田 伸祐氏 (有)城西
第24期社員と学ぶ共育講座・第1講座が開催され、古田伸祐氏が報告しました。その概要を紹介します。
会社の将来を考える
当社はタイヤの販売・修理会社として1956年に創業しました。当時は自動車の普及に伴い順調に売り上げが上がるため、積極的に社員を採用していましたが、退職者の多い会社でした。
今になって考えると十分な給料が支払えておらず、社員は将来を考えることができなかったことが、退職の原因の1つだったと思います。社員の入退社が続いていた苦しい時期を一緒に乗り越えた社員が、現在課長として一緒に働いてくれています。
同友会へ入会後、経営指針書を作成し、情報共有や将来を考える経営会議を行いました。そこへ社員を巻き込み、経営理念を継続して伝えてきたことで、社員が自ら考えて行動できるところまでたどり着きました。理念では「協調と調和」を大切に、見栄えよりも実用性の高い経営指針書にすることを大切にしています。
とことん社員と向き合って
当社には、各役職に対する「役割期待」があって、その期待に応えられるよう目指すと手を挙げた社員と面談し、役職に就任させる人事制度があります。一時期、管理職と現場の間がいなくなってしまったこともありましたが、理念を伝え続けてきたことで、現在は新たな役職者が誕生しました。
私が入社した当時は会社に組織がなく、その経験から人が育つのを待って組織をつくるようにしてきました。現在では社員の発案から部署ができ、仕事が円滑に進む組織ができ始めています。これがスムーズな権限移譲にもつながっています。
毎年7月に開催する経営指針発表会では、事前に全社員と個人面談を行います。日頃のコミュニケーションとは別に、社員と話す場を設けることは経営者の責任と考えており、社員の家庭面から指針に対する個人目標まで傾聴することに重きを置いています。
現在、他人承継に向けて取り組んでいるところです。経営者の姿勢を正しつつ、理念追求型企業について、これからを受け継ぐ社員たちと深め合い、永続企業を目指していきたいと思っています。