活動報告

障害者自立応援委員会「人間性を語る夕べ」(14) 9月13日

大切な2つの人生観

福谷 正男氏  (株)豆福

福谷 正男氏

会員の人生観から学び合う「人間性を語る夕べ」。「科学性、社会性、人間性」の「人間性」が最も集約され、話題となり、自らの課題に気づく場として開催しています。

人間の使命

報告者の福谷正男氏は御年79歳で、大切にしている人生観は2つあります。

1つは「恩送り(おんくり)こそが人間の使命」。これは、経営コンサルタントである佐藤芳直氏の著書『恩送り』で出合ったことばで、その意味は「祖先から受け取った今をさらにより良くして次の世代に手渡す」ということです。福谷氏は「恩送り」を読み、第2次世界大戦で亡くなった日本人の7人に1人が大正生まれの男性であり、戦後の復興を担った中心世代もまた大正生まれの人たちだったことを知りました。終戦の年に生まれた福谷氏は、大正3年生まれの父が歩んだ道に思いを馳せ、感謝の気持ちが湧き、授かった命を精一杯生きようと思ったそうです。

もう1つ大切にしてきたのは「『まめ』に生きること」です。「まめ」には、食用にする「豆」の意味の他、真面目によく働くこと、体が丈夫であること、誠実であること、実際の役に立つさま、などがあり、「これらを糧にし、日々暮らしている」と話しました。

命を生ききる

豆福でのこだわりは、お客様と共に「豆」「豆菓子」の素晴らしさを学ぶこと、日本の「豆菓子」を作り伝えることです。さらに、この2つを世に問いたいと、2017年に豆の本を出版されました。

ポルトガルに旅をし、「豆菓子」のルーツが南蛮菓子「金平糖」であることを確信した体験など、福谷氏の豆を極める情熱と学びの姿勢には圧倒されるものがありました。

同友会では、大先輩である(株)江崎本店会長の江崎信雄さん(創立会員・故人)から「経営者の魅力は要するに人柄」と教わったといい、「それを磨いてくれるのが同友会である」と語りました。また、江崎さんから受け取ったもう1つの学び、「自社のビジネスと文化をどう結びつけるかという着眼点」が自社に大いに生きたと強調されました。

最後に、アフリカ・ギニアの格言「1人の老人が死ぬことは、1つの図書館が燃えてなくなることと同じだ」を紹介し、「中小企業経営者の人生にはさまざまな経験が凝縮されており、それを遺すことはとても大切なこと。皆さん、死ぬまでに必ず1冊は本を書いてください」と参加者にエールを送り、報告を締めくくりました。