活動報告

どうゆうき

▼中小企業憲章(以下憲章)が制定されて5年が経ちました。憲章が制定された背景には、リーマンショックに端を発する市場経済の混乱、少子高齢化の問題、地方経済と中央との格差拡大、新興国の成長とグローバル化への対応など、多くの課題が山積する閉塞感がありました。閣議決定された憲章には、そんな難局を克服するための変革の担い手として、中小企業への大きな期待と、中小企業が果敢に挑戦できる経済社会の実現に向けた決意が書かれています。そして「どんな問題も中小企業の立場で考えていく」とも書かれています

▼これまでを振り返ると、小規模事業者に対する施策や中小企業者向けの会計要領、そして各地で進む中小企業振興条例など、いくつかの進展が見られます。他方、いわゆる第3の矢「成長戦略」の改訂が進んでおり、法人税改革や労働者派遣制度の見直し、TPPなど経済連携の推進、マイナンバー制度の活用などが盛り込まれています

▼特にマイナンバー制度は、多くの中小企業者が対応に苦慮しているなか、その後の活用策の議論が始まっているのです。中小企業へ与える影響が大きい政策について、果たして「中小企業の立場で考えて」いるのかどうか、憲章を拠り所(座標軸)とした議論を興していく必要性が増しています

▼憲章の理念を理念だけに終わらせないために、企業づくりを基盤として、同時に中小企業が「経済を牽引」し「社会の主役」になる運動を継続していく必要があります。憲章5周年は周年記念の行事ではなく、新たな出発を確認するための集いといえます。

政策委員長  和田 勝