活動報告

西尾張支部例会(1月29日)

2020外部環境を読む
~TPPを始めとする、迫り来るパンドラの箱

岡田 知弘氏  京都大学大学院経済学研究科教授

パネル討論で実践の交流と経営環境の認識が深まる

パネル討論で実践の交流と経営環境の認識が深まる

TPPは「多国籍企業VS地域」の構図

「2020外部環境を読む」をテーマに、岡田知弘氏(京都大学大学院教授)を報告者に迎え、TPP(環太平洋経済連携協定)を中心とした外部環境変化が、今後の地域や中小企業にどのように影響するかを学び合いました。

岡田氏は今を「災害」と「グローバル化」の時代と特徴付けます。東日本大震災での地元企業の活躍を実例に、人間の生活領域としての地域を創り支えるのが、中小企業などの経済主体だと強調しました。その上で今回のTPPは、単なる自由貿易の促進に留まらない「多国籍企業VS地域」の構図であることを指摘。それはISD(投資家対国家の紛争解決)条項や、ローカルコンテンツ(現地調達、地域貢献)規制の禁止、規制緩和後の再度の規制強化を禁じるラチェット条項の存在など、国民主権・国家主権・地方自治権を脅かすものであり、中小企業や地域経済、住民生活に多大な影響を及ぼすと警鐘が鳴らされました。

条例は地域を守る盾

そのなかで岡田氏は、TPPに対抗し、地域を守る盾として「中小企業振興基本条例」「公契約条例」の重要性を指摘します。政府調達の基準が見直しを迎える3年後までに、これらの政策手段を活かし、地域内再投資力を高め、仕事と所得を創出し、住民生活の向上という好循環を創り出すことが求められます。その意味で、地域づくりの主体者としての中小企業と同友会に、期待と激励が寄せられました。

パネル討論では、世界を見据えた経営実践の交流と共に、中小企業を取り巻く経営環境への認識が深められ、これからの地域に果たすべき中小企業家の責任を再認識しました。