活動報告

(連載5)時代が同友会に追いついた

同友会運動と「持続可能な開発目標(SDGs)」

中小企業問題全国研究集会 in 長崎 第2分科会の様子(2月21日)

全研での報告を終えて

私は、2月21日~22日に長崎で開催された中小企業問題全国研究集会(全研)の第2分科会「SDGsと人を生かす経営」で報告をさせていただきました。

実は、恥ずかしながらそれまでSDGsの内容をよく理解しておらず、報告者に決まってから慌てて勉強を始めたような次第でした。しかし、その内容を知るにつれ、中小企業憲章草案(以下、憲章草案)に描かれた、私たちが目指す社会像と企業像の間に共通点が多いことに気づきました。

SDGsは2030年までに達成すべき17の目標と169のターゲットで構成されています。内容は途上国への配慮が主眼であるものの、貧困や経済格差に起因する教育訓練不足、性差や障害の有無による雇用差別、廃棄物や気候変動による住環境の悪化など、今の日本社会にも存在する問題が数多く含まれています。企業に対しては、それら諸問題の解決を自社の経営課題として捉え、取り組むことを求めています。

今こそ憲章草案の学習を

自社でSDGsに取り組むというと、何か新しいことを始めなければならないと思う人も多いようです。しかし同友会理念は「自主・民主・連帯の精神」に基づき、「国民や地域と共に歩む中小企業」となるべく、地域や社会の諸課題に本業を通して取り組むことを私たち会員企業に求めています。全国の会員による実践報告も、既に数多くなされています。憲章草案の指針に則り同友会で展開されてきた諸運動と、自社の経営実践とを整理すれば、そのままSDGsの取り組みとして捉え直すことができます。

利益優先で開発を進めるグローバル企業への規制の必要性から登場したSDGsですが、こうした国際的な潮流を10年以上前に予測し、憲章草案にまとめ上げた同友会の先見性には、驚きを禁じ得ません。他方で、最近の愛知同友会では新入会員の増加により、憲章草案をよく知らない方が多数を占めるようになってきました。時代が同友会に追いついた今だからこそ、憲章草案を再度紐解き、自社の経営指針へ取り込んでいきましょう。

アサイウッドマテリア(株)  浅井 勇詞