2020年各種調査まとめ
愛知中小企業家同友会では四半期ごとの「景況調査」をはじめ、最近では「新型コロナウイルス感染症等緊急アンケート(3月・5月・7月・9月)」、「新型コロナウイルス感染症における金融・資金繰り調査(8月)」を行い、分析を行ってきました。ここでは全体を通じた特徴をご紹介します。
足下の景気状況
新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)緊急アンケートの「新型コロナの企業への影響」の推移を見ると、業種により影響が出ている割合に違いはありますが、新型コロナによる企業への影響は、時期を追うごとに拡大しました。5月下旬に緊急事態宣言が明けたことで、若干の改善が見られた業種もありますが、概ね影響は横ばい(高止まり)の状況です。他方で製造業は、緊急事態宣言が明けてもなお、影響を受ける企業が拡大しています。
景況調査(11月期)では、足下の景気は引き続き改善傾向にあるものの、コロナショック前の水準には至りませんでした。今回調査で数値上は好調さが見受けられた建設業からも、受注残が足下の業況改善に寄与しただけで、先行きは消極的な見通しで一致しました。業況の厳しさが引き続き現れた製造業は、自動車関係から研究開発案件が動いている声が聞かれる一方、波及効果は限定的であること。工作機械や半導体関連も、中国依存の一部を除き、低調さが継続しています。
予断を許さない資金繰り
8月に実施した金融調査からは、今回の新型コロナで直撃を受けた業種・企業において手元資金が3~4カ月以内などの回答割合が高くなっており、年末から年度末にかけて資金繰りが再び逼迫する可能性が指摘されました。追加融資については、全産業を通じて約3割が「困難」「分からない」と回答し、特にサービス業でその割合が高く、およそ4割に上りました。緊急の融資施策による資金的ゆとりがいつまで持続するか、予断を許さない状態です。
景況調査(11月期)の「資金繰りDI」によると、調査開始以来もっとも「余裕」を示していますが、春先に借り入れた資金が枯渇しつつある事例も報告されています。
地方銀行の再編が取り沙汰されるなか、金融機関の中小企業に対する貸出姿勢が慎重化すると予測されます。経営者には金融機関とのコミュニケーションを密に図り、金融環境の変化に最大の警戒を払うことが求められます。