活動報告

新型コロナウイルス感染症アンケート(第5回)

時代の要請をつかみ地域の将来を担う

持ち直すも製造業で影響大きく

今回の2月調査と昨年9月調査を比較すると、「マイナスの影響が出ている」割合は縮小傾向にありますが、業種別では製造業(80.3%→64.8%)が最も高い数値を示しました。逆に「マイナスの影響はない」割合の最大値は、サービス業(15.7%→19.9%)の2割です。(グラフ1参照)

(グラフ1)マイナス影響の有無

前年同月比(2020年1月と比較)で売上げが減少した企業は、全体的に持ち直しているものの、製造業が最多(55.8%)でした。前回調査(9月)と比較すると、流通・商業の売上げ減少割合が65.5%から46.4%と19.1ポイントの大幅な改善が見られます。サービス業の34.5%は、前年同月比の売上高を増加させました。

前年比(20年と19年の比較)では、全体が54.3%、製造業では77.2%が年間売上高を減少させています。サービス業の39.5%は、前年比の売上高を増加させました。(グラフ3参照)

(グラフ3)前年比の年間売上高

キャッシュフロー懸念、流通・商業で対策実施

営業キャッシュフロー(営業活動による現金の収支)の状況は、「黒字」が45.5%、「赤字」が25.8%でした。業種別では、「黒字」で建設業(50.3%)、「赤字」で流通・商業(30.5%)が高い割合を占めました。(グラフ4参照)

(グラフ4)営業キャッシュフローの状況

新分野展開や事業転換の取り組みは、流通・商業(25.5%)が「実施した」割合が高く、「実施しない」割合が高かったのはサービス業(26.0%)でした。(グラフ2参照)

(グラフ2)新分野展開や事業転換の取り組み

来年(2022年度)の採用計画での新型コロナの影響は、「採用を増やす影響」が14.3%、「採用を減らす影響」が9.1%でした。中でも建設業の19.3%が採用を増やすと回答し、他業種と比べて高い数値を示しました。

危機を乗り越え飛躍の準備を

記述回答の「国や自治体に対する要望や提言」では、「企業の規模に合った支援策を検討してほしい(建設業)」、「なぜ問題が起きているのかを明らかにした上で解決策を考える(製造業)」、「地方行政に予算も権限ももっと委譲して、国の関与を減らさないときめ細かい対応は不可能(流通・商業)」、「迅速な補助金の交付は大事なことだが、業種・要件にかなりの不公平感があった(サービス業)」など、公平性や手厚さを求める意見が散見されました。

今後は中小企業の危機対応として、「存続」と「成長」の2本柱が必要となります。まず基本に返り、これまで築き上げてきた自社の強みを最大限に発揮できる領域で、「負けない」態勢を早急に確立すること。その上で危機を乗り越える足場を固め、飛躍の準備をすることが求められます。

また、経済の長期トレンドをとらえ、時代は中小企業に何を求めているのかを的確につかむ努力がこれまで以上に必要となります。地域の将来を担う存在として、新たな時代の展望を示していくことが肝要といえます。

[調査要項]

調査期間 2021年2月18日~25日
回答企業 952社(建設161社、製造210社、流通・商業239社、サービス342社)
平均社員 24.5名(中央値8.0名)