活動報告

どうゆうき

▼8月になると、亡き父が話してくれたことを思い出す。父が創業したのは終戦から6年後の1951年2月。45年3月の大空襲で名古屋の中心部は焼け野原になり、父の生家も焼け落ちた。絶望的な状況だった。しかし、そこから日本人は立ち上がる。父も「食べるために」創業した。価値観も変わる混乱期、民間貿易の制限等の中、「自分で何とかする」、「すべては自分の責任」と考えなければやっていられない状況だった。経営者として最も大切なことは、創業者の自覚とともに、身に付けざるを得なかったようだ

▼戦後の経営はすべてが自分に返ってくる反面、「戦争のため」という大義のもとに会社が解体されることも、接収されることも、また空襲で命を失う危険もなくなり、貧しい中にも自由になった解放感と、頑張れば豊かになるという確信があったという。平和であることは、自由な企業活動の大前提なのだ。私たちが同友会で学び、純粋に社員との関係性や企業体質の強化、そして関わるすべての人の幸福を追求できるのもそれがあってのことだ。長期を展望する「ビジョン」の意味を考えれば、その重要性は明確だ。だからこそ私たちは強く平和を願うのだ

▼日本の近隣には、軍備を増強し、人権を蹂躙し、領土的野心を隠さない国がある。この状況下で、日本の将来と子孫のために私たちは何をすべきか。目指すものは「企業経営を通してより良い社会を創る」ことであり、その前提となる平和である。今こそ現実を直視し、憲法改正も含めた真剣な議論をすべき時ではないだろうか。

理事(ビジョン推進)  佐藤 祐一