自主・民主・連帯の精神と『労使見解』
~同友会理念の歴史
加藤 明彦氏 エイベックス(株)
第24期同友会役員研修大学では、第1講座を開催し、エイベックスの加藤明彦氏に報告いただきました。以下にその概要を紹介します。
「人間尊重の経営」をめざして
同友会理念の1つ「自主・民主・連帯の精神」は、『労使見解』の基礎ともなった、同友会のめざす「人間尊重の経営」の考え方の基本となるものです。
自主・民主・連帯の精神を企業で実践することは「社員をもっとも信頼できるパートナーと考え、高い次元での団結をめざし、共に育ちあう教育(共に育つ)を重視する」ことです。
私も初めは「経営者と社員がパートナー」という考え方に納得できませんでしたが、先輩会員に叱咤されて気づかされました。「同友会は、会社の体質が強くなり維持・発展するにはどうするか、ということを勉強する会だ」と指摘され、それからは同友会らしい黒字企業をめざすために、社員との信頼関係を築き、「人間尊重の経営」に取り組んできました。
「民主」とは「生きることの保障」です。生きることそのものに価値があり、生命を全うし、継承する「命の重さ」に差はない、まさに生命の尊厳性です。それを企業内で実践することは、子どもが生まれ育つ環境をつくる(労働者の生活を保障する)ことです。そのために雇用を維持し、そこに生まれ育った地域の一員として子どもを育て、地域の環境を守ることが中小企業の役割です。
「連帯」とは「暮らしを守る」ことで、社会における生き方・社会観です。社員が、一度しかない人生の中で自分の「存在価値」を、自分自身で感じられるようになるために、単なる労働力ではなく、同じ時代を一緒に生きていく頼りがいのある存在として位置付けることです。
その人の資質を最も開花させるために
「自主」とは「個人における生き方・人生観」であり、それはまさに「個人の尊厳性」を尊重することです。一度しかない人生においてその人の持つすべての資質をベストな状態で開花させ、豊かな人生を送るためには、今こそ、ダイバーシティー、エクイティー、インクルージョンの発想と取り組みが重要な時代になっています。
「自主・民主・連帯の精神」の第3層・第4層の学びを深め、『労使見解』との結びつきを、社内に展開し風土として確立することが『労使見解』の社内実践です。